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エクセス コンプライアンス リザルト 4章 

4章 「ズレ」

・・・何秒くらい沈黙が続いたのだろうか、呆気にとられた私に対して老人が言い放った。

「モニター、始まってますぞ」

「・・・・は?・・・ちょっとまって下さい。どういう事ですか?」

「・・・そうですな。不破さん、ここに来るまでの詳細を教えて頂けますかな?」

「・・・私を疑ってますか?何を言ってるんです?」

「・・・・。そうですな、不破さん、一度一緒にこの社屋から外に出てみましょうか。」

「・・・???」

何を言い出してるんだ、この老人は。わざわざ時間も無い中このモニターに友人の紹介だけで来てやったのに、何たる侮辱的な言いようだ。

「別に良い。これで私は帰らせていただく。」

「・・・いや、多分”出来ない”と思いますぞ。まあ、一人でも良いので一旦外に出てみてくだされ。」

・・・???どういう事だ・・・
まあ、良い。私は一人で外に出る事にした。部屋やエレベーターの位置は
覚えてる。

・・・と思ったが、早速違和感を覚えた。エレベーターの表記は「4F」とある。確かここは7階だったはずでは・・?

よくよく周囲を見渡すと、ここも可笑しい。こんなびっしりコンテナのように詰まった機械の部屋は無かったハズ・・・それに反対側は・・・書斎?
こんな目立つモノを私が見逃していた?そんなバカな・・・

・・・老人の言いたいことが全く理解出来なかったが、とりあえず戻る事にした・・・・・
・・・・ちょっと待てよ、「老人」?
私は老人と会話していたか?確かかなり若い女性だった記憶が朧気にある・・?

「大丈夫ですかな?」
ふと、元の部屋から出てきた老人が声をかけた。

「・・・すいません、貴方は誰でしたっけ?いや、変な質問なのは把握してます。どうも頭が混乱している」

「・・・その状態になる人は初めて見ましたが、原因はわかっとります。多分不破さんは"複起点に異常を抱えた時間軸で生きていた"、という事になりますな・・・」

・・・老人?いや、私は若い女性の話を思い出してみた。
確か未来の分岐点、ターニングポイントのような事を”複起点”と言っていた。それに異常・・・なんで私はそれで一時的な記憶障害のようになるんだ・・?話が見えてこない・・・。

「私は・・・私は・・・?」

「・・・ちょっとマズいのかもしれませんな。少し休みましょう。"7階"に医務室があります。」

・・・7階?元々居た場所・・・?いやちょっとまて、確か此処にきてビルをながめた時は5階建ではなかったか・・?

形容し難いカオスに、冷や汗が止まらない。

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