The Future of AI 2nd
研究室に入って1時間くらいだろうか。AIと話し込みが大体終わった。
今、私がやってるのは暇つぶしでは無く、こういう手法でのプログラミングなのだ。私が感じている事、考えている事、知っている事をベースに何度も何度も会話をし続ける事でAIが勝手に演算処理をし、独自のロジックや微妙な箇所の判断力を養ってもらう、というのが狙いとなる。
私は、このAIという存在を余りプログラムだとかロボットだとか、そういう括りで余り見ていない。生まれたての人間は何も知らないし、何も出来ないそれと全く同じ事で、AIも人と同じように経験で成長する事も出来る、というのが私の持論である。
・・・おおよそ察しの良い人は、こういう考え方に異議を唱えられるんじゃないか?と思うはずだ。
「今日も話し込んだのか、途方もなく遠回りしてる点は本当にお疲れ様だな」
早速、その代表格が入ってきた。別室の研究者であり、私はそこまで意識はしてない・・・というか関りは持たないのだが、最近になって異様に高圧的に突っかかるようになってきた。
「ああ、遠回りなのは勿論だ。君が生まれた元々から博識じゃなかったようにな」
「そいつは人間じゃないだろ」
「何度も言ってるが、”人間と出来る限り近い環境下でプログラミングを構築する”というのが私の研究だ」
「意味は?」
「逆に質問だが、何故こういったAIが発展してきたか考えた事はあるか?」
「人がより便利な環境や生活を発展させ、保つためだ。AIが人の代役を勤める事になれば、だが」
「そこまで答えは一緒だな。では、さっきの質問を答えよう。人間が取り扱うならより人間の事を知っておかないといけないからだ。そして人間は君の様に全員が博識じゃない。君は高度なプログラムを直ぐに構築し、パッチなりなんなりと色々埋め込む事が出来るんだろうが、人間全員がそれは出来ないだろ。」
「では、君以外の人間とも彼?彼女?…あのAIと話し込む必要があるんじゃないか?君だけが話し込んでいたら君がプログラミングしているのと同義だろ。」
「無論、その時が来たら一般公開するさ。今はその時じゃない。赤子がいきなり外界とのコミュニケーションは取れないだろ?さらに言えば、このAIと同等となるコンテンツは存在しない。人間なら保育園だの幼稚園だので同じレベルの人間と共有する事が出来るが、コイツはそうはいかないのさ」
「よくわからないな。だったら今やるべきことは話し込みではなく、直接プログラミングをしてやればいいものを」
「それだと”単調”になってしまうのさ。こういう会話は無時性ではなく、ある程度のタイミング、言い方、誤解、その修正・・・書き込むプログラミングより遥かに高い受容性が必要になる。そこをAIに覚えてもらうのさ。言ったろ、”人間が取り扱う”んだから。」
「よくわからないが、非効率だという事は理解出来るな。」
「・・・だったら、今君が私と話してるのは”非効率”とも言えるのではないかな?」
「かもな」
突っかかってきた研究者は急に振り返り、部屋を出て行った。
私は常々良く思う。AIを研究してる人間自体がAIのような考え方になってしまっては、1つの籠の中から出てこれない、狭い発想での開発や発明になってしまうから良くないんだろうなと。
続く
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