コント『者』の解説
コント『者』
脚本・演出 高山 銀平
2017年1月 カカフカカ企画第24回本公演『カカフカカVR』にて上演
(『カカフカカVR Blu-rayディスク』に収録)
このコントが上演されたのは2017年ですが、台本を書いたのはその3年ほど前のことでした。
実現するまでになぜ時間がかかってしまったのかと言いますと、
このコントで一番重要だったのが物語を進める二人の教師でなく、
目の前に鎮座する多くの男子生徒たちだったからです。
男子生徒たちの凛々しい背中や、決意が込められすらりと伸びる腕、
これこそをお客様に楽しんで頂きたかったのです。
僕の理想が叶うなら100人を超えた男子生徒でやりたかったのですが、
そんなわけもいかず、男性役者が比較的多く集まった公演でようやく実現に漕ぎつけたというわけです。
公演期間中、役者たちが次々に肩や背中に痛みを訴え始めました。
この謎の現象について座組の中ではあれこれと推察や憶測が飛び交いました。
やがて痛みを持つ者の共通点として皆が男子生徒役であったことがわかり、
「あぁ」
という、ため息にも似た寂しい相槌が交わされ、
騒動はまるで何もなかったかのように消え去ったのでした。
演劇の本番中は戦争状態に似ていると思います。
役者という名の兵士たちは過密スケジュールからくる疲労により個々の判断力が鈍り、
上層部(演出家)からの指示を受け入れるだけの悲しい傀儡と化すのです。
戦争反対。
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