コント『塞ぐ』の解説

※※ どうぞ動画を見てからお読み下さい ※※

コント『塞ぐ』
2008年6月 カカフカカ企画第19回本公演『セサミストレート』にて上演
(カカフカカベストコント円熟編に収録)

それまでのカカフカカコントのほとんどはキャラもの(パロディ)ばかりで、
この『塞ぐ』に関しましては如何に最後の連続キスのくだりまで《つまらなく》見てもらうかかが課題でした。

どこにでもいるような人物たちやその設定、演技を大袈裟にせず坦々と3分ほど経たせ、観客を大いに不安にさせる、
いわゆるハードルを下げてオチを爆発させる狙いです。

特にカカフカカ企画は早稲田大学のサークルを卒業したばかりで、
外小屋での一発目の公演、そしてこの『塞ぐ』がまさにその初っ端を飾るものでしたので、
常連のお客様の中には「あ、こいつら、外に出て格好をつけたな」と落胆された方もいらっしゃったことでしょう。

申し訳ありませんが我が手中でした。


テクニカル的に重要なのが《動線》です。
セリフの稽古に比べて段違いに動きの稽古をした覚えがあります。

注目してご覧頂けたらと思いますが、《次々にキスをしていく男》は実はそこまで動いてはいません。

キスをされてしまうキャラクターたちの方が、まるで光に吸い寄せられる羽虫のごとく男に近づき、
漏れずにキスをされた後、次にキス待ちのキャラクターのためにスペースをさりげなく譲っていくという、
日体大の集団行動のような美しい動線を描いております。

打ち上げの席で初参加の役者さんが打ち明けてくれました。
僕が言った「セリフは棒読みでいいから、とにかく動線を体に沁みつかせて」
という謎の指示に大いに戸惑ったそうです。

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