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ミャンマー連邦民主主義憲章の仮訳(1)

ミャンマーの連邦議会代表委員会(CRPH)が3月31日に公表した連邦民主主義憲章(https://www.facebook.com/crph.official.mm/photos/pcb.143586837767296/143583854434261/)の前半の第一部の仮訳です。ミャンマー人の翻訳家(Htet Naung Win氏)が日本語に訳したものを、ツイッターで入手した英文を参考にしながら修正し、その翻訳家と確認しながら作成しました(ちなみに私は、ミャンマー語を解しません。)。

(4月12日) 第2部の翻訳と合わせて語句を統一するため2カ所修正(①立憲政治→立憲制、②国家統一諮問委員会→国民統一諮問委員会)しました。

CRPHが描いている国家像が現れており、国民主権、民主主義、基本的人権の保護といった普遍的価値を実現し、軍政を終わらせるという理念に基づいています。

統治の手法としては、集団的なリーダーシップに基づく集団的な行動ということが強調されています。議院内閣制を採用したうえで大統領(国家元首)を別に設置するという点にも現れているように思えます。強大な国軍と対峙するには諸勢力の結集が必要なことは当然ですが、一人に権力を集中させることの危険性に配慮していると思われます。また、ポストDSSKの統治のあり方を模索しているように思えます。

また、少数民族への連携が重視されており、州の権限が強い連邦制を採用しています。州に主権があること、州憲法の制定権があること、州は独自の立法、行政、司法機関をもつこと、独自の徴税権が認められていること、州が天然資源の管理権を有すること、州が独自の実力部隊を持てることなどが挙げられます。

当然、軍の政治に関する権利は制限されており、2008年憲法で認められている軍の政治における特権的な地位(総議員の1/4が軍出身者であるとか、安全保障に関する3大臣は軍の指名によるなど)は廃止されています。また、実力部隊に対する文民統制が定められています。

なお、入手した英文によると軍の統制は、人間の安全保障(Human Security)原則に基づくとなっているのですが、ミャンマー語版だと直訳をしたようで、読んでも意味をなさないということでした。安全保障体制を規定している第3原則の33項も難しいです。英文を翻訳する形でこの憲章が作成されたと考えるのが自然でしょう。

第2部の訳はこちらです(https://note.com/kkenta0425/n/n1d865e6f48bf)。



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