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これからの参加型合意形成プラットフォームについて考える(2021年9月18日 Code for Japan Summit 2021 セッション)

これは何?

Code for Japan Summit 2021のセッションの文字起こしです。YouTube動画(字幕付き)もご覧いただけます。

また、そのときにいただいたコメントなどは、このセッションでも言及しているとおりMetadecidim Japanの参加スペースに移管して、レスポンスなども行っていくつもりですので、そちらも合わせてどうぞ。

スライドとグラレコ

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セッションスタート

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私のセッションはこれからの参加型合意形成プラットフォームについて考えるというものであります。

自己紹介

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自己紹介です。私は、Code for Japanでこれからちょっとご紹介しますDecidimを担当してます。経緯はちょっと忘れてしまったんですが、Decidimの番長っていう言われることあるいは自分でもそういうふうに言われてることが多いので、番長と呼んでいただければと思います。でもこのイラストは全然番長感がないので、何か下の服のところが学ラン風にしたりしたらいいのかなって今ちょっと思ったりもしました。(※ここ拾っていただいてグラレコでは学ラン着てる風になってます!)

前口上

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Decidimは、おかげさまでというか皆さん聞かれたことあるかも知れません。また他のこの点のですね、今日はオンライン型の合意形成プラットフォームという言い方を、極力していきますけれどもDecidimにはこういうのがあるとかですね、他のものにはこういうのがあるとか、あれがあるとかないとかそういった、機能の比較をするセッションではないです。そういったご関心がある方は、各種ネットの情報とかですね、私に個別に聞いていただいてもいいですけれども、そういったことではないです。

あと、番長ていっても何かを元締めしているみたいな感じのを受けとり方があるかもしれませんが、所詮番長でしかなくてですね、やってますっていうことなので、すべてをちょっとわかってるわけではありません。皆さんのご意見とかですねあるいは質問という形で「そうかそういったこともやっぱり話さないといけないかな」ということはすごくあると思ってますのでぜひ皆さん、今視聴者を見ると71人がご視聴いただいてるということでいろいろコメント欄等にも投げ込んでいただければと思います。

元ネタ

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で今日の話ですね。元ネタがありまして、ちょうど今日私の手元にも届いたんですが、皆様ご存知の10月号ですね今日発売されたSoftware Designさん
174ページから4ページものでこれは第118回の連載となってますが「あなたのスキルは社会に役立つ」いうことで、Hack for Japanの皆さんの取り組みの紹介をするひとコマをお借りしてですね、Decidimについて紹介しています。Decidimを例にしてこのコロナ時代、ここでは参加型民主主義プラットフォームと言ってますが、どういったものをやっているかということをご紹介しておりますので、ぜひそちらもお手に取っていただければと思います。

今日のお品書き

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お品書きにしたがってDecidimの概要とか、どんなふうに使っているか等々についてお話しできればと思います。後半についてはこれからプラットフォームを考えようということで、皆さんと意見交換ができればと思っています。

Decidimとは?

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まずDecidimです。Decidim公式のホームページ、最近日本語版ができました。

これはおそらく日本でも、いくつかこれからご紹介しますけれども、取り組みが進んできたのでDecidim本家側もですね、注目している動きが日本でも始まってるということの証拠かなと思います。昨年のちょうど今頃はまだ英語のドキュメントばかりでですね、その頃から始められた、後にも出てきますが加古川市さんとかですね、兵庫県さんとかいわゆる超アーリーアダプターの方々は、そうした海外のドキュメント等と格闘しながらですね、私どもと一緒に取り組んできたところでありますが、今回1年経ってみて日本語のドキュメントあるいは事例というものがたくさん出てきたような1年だったということが示されているかなと思います。

Decidimの特徴

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Decidim自体はバルセロナで始まったオープンソースのプラットフォームでありますが、特徴があります。ぜひDecidimの日本語のサイト、先ほどご案内した通り見ていただければと思うんですが、ここにイメージがですね、四つ並んでるかと思いますが、ここに特徴が表れているなと思ってまして左から右に画像を見てください。

機能と使い方イメージ

最初は左、何かネットワークでいろんな人が会話してるなみたいなところからですね、右に流れていくとちょっと何か、実際に人が集まってですね、スマートフォンを持って何かコメントしたり、いろんなテーマについて考えてる人がいるっていうのが出てきて右に移っていくんですね。それをもう少したくさん集まってきて、注目していただきたいのは、このモニター越しに何かモニターの向こうとこっちがやりとりしてるみたいな絵なんですね。最後に一番右ですが、それをタブレットでも見るっていうようなことがあります。

これ後ほども出てきますが、オンラインの参加型合意形成プラットフォームと言ってますが、オンラインとオフラインをどう捉えるかはありますけれども、その二つをどう融合するかっていうことをすごく重視しているプラットフォームになります。

合意形成を進めるプロセスとコンポーネント

もう一つのポイントはこうした合意形成を進めるためのプロセスがそのオンラインとオフラインをどう使うかっていうことと、もう一つにそれを進めるための機能がですね、いろんなものがあるということであります。こうしたものを使ってる方がですね、こうしたいろんなコンポーネント例えばミーティングをするために、「いついつどこでどんなアジェンダでやって議事録はこんなのです」そういったミーティングするとアナウンスをして、実際にミーティングをして、結果をまとめて次のアクションを決めましょうと。これ日頃から皆さんされてることだと思いますが、そういったいわゆるテンプレートがですね、いろいろ揃っていると。なのでWordPressにそうした合意形成を進めるためのテンプレートが備わった、ツールなんだなというふうにおっしゃってる方いらっしゃいますが、簡単に言ってしまえばそういったことであります。

ですので、Webを開発したり運営したり、あるいはそれに参加するような人たちからすると、一見そういったものと、いわゆるWebと一緒だというふうに、感じだと思いますし、それはそれで正しいと思います。
そうですし、それだけでしかないとも言えますし、それをどう組み合わせるか、いろんな機能を理解をして自分たちが進めたいプロセスにどう活用するかということが必要なものだと思っています。

システム構成

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ちょっと技術的なご案内だけ1枚挿し込んでおきますと、Decidim自体はRuby on Railsをベースにして作っておりまして、いろんな機能、Gemという形で開発しているというコンポーネントになっています。

Code for JapanはAWS上で、それを動かしてましてちょっと右側に見えてるようないろんなAWSの機能を活用してですね、運用を始めているということであります。安定版の最新はですね、0..24.3が最新ですけれども現状その前にですね、0.23で今動かしておりますけれども、その中でもいろいろ「この手のやつあるある」で、不具合があったりしていますので、随時、バージョンアップを対応しているというような状況になっています。

活用事例〜加古川市〜

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ここから活用事例がありまして、よしやるぞと言って手を挙げてあっという間に構築をしたというこの加古川市さんです。ちょうど1年もうすぐ1年になりますけれども日本で初めて導入されて使い方もいろんな使い方を日々フロントランナーとしてやっていただいてます。最初は、スマートシティの推進のための構想をつくるためにですね、開設をして半年にわたっていろんな意見を集めるときの使い方ですね、特徴的だったのは、地元の県立の加古川東高校の皆さんの授業にも活用いただいてですね、地元の高校生を含めていろんな意見を集まったというのが特徴的だったと思います。

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もともとはそのパブリックコメントでは、拾えないような意見をいただこうという形でですね、いろんなところに声をかけたり、高校の授業に足を運んでですね、私も行きましたけれども、すごく熱心に意見交換ができて、若い世代の若いなりの感性と、率直な意見交換、このDecidim上にも入ってそれを他の参加者も見ていただくことによってですね、いろんな議論が活発になったなということがあって、そういった意味でもその日本で初こういった形で実現しているというのがまさに象徴的なことであると思います。

また、これからもそうした象徴的なことをファーストペンギンとして頑張ってますということなので、ペンギンにしては、大分羽がめっちゃ動くペンギンじゃないかって思いますけれども、素晴らしいなと思ってます。

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そうしたなかの取り組みで、最近私がすごい面白いなと思ってぜひ皆さんにもご紹介したいなと思ってるのがオフラインとオンラインとオフラインの融合という言い方、先ほど申しましたけれども、ちょうど来年の4月にですね、名前は「かこてらす」という名で、公民館とかですね、子育て施設をと一体にした複合施設を、オープンするというときに、その愛称募集をしたんですよね。

愛称募集そのものは一般的なことかもしれませんけれども、このDecidimを使うときには、いくつかの候補から選ぶというプロセスだったんです。

さらに、それを単にオンラインでするということではないということでもあります。この施設は、4月までにできて、その後地域の皆さんに愛されていく施設になるわけです。そうしたいからこそ、愛称を募集して皆さんにも知っていただこうかということですし、そのプロセスは結局何のためかというと、名前を決めるということだけじゃなくて、そういったものを作っていこうとかですね、こういう施設にしていこうというのが、情報発信してそれを皆さん知るわけです。そういうプロセスを組むことが重要な訳です。

プロセスのデザイン

施設に愛着を持とうといっても、何かのきっかけで知らないと「何かできたな」ぐらいのものになります。そうではなくて「ちょっと行ってみよう」と思ってもらうために、オフラインである街角でシール投票する、これ役所だったらよくやるパターンと思うんですけども、それだけじゃなくてDecidimでも同じようなこともするとか、Decidimだけにしなくて、その立地する地域の町内会の方には回覧板でしっかり見ていただく。そこで、シールを貼るなり、これがいいと選んでもらう、これがいわゆる参加の一つだと思いますけれども、どれか1個やったからもういいんじゃなくてですね、Decidimもシールも回覧板も重ねてやっていく、その知っていただきたい人たち、使っていただきたい人たち、それぞれに応じた形でそのプロセスを組み込むという、「プロセスのデザイン」というものがすごく印象的だなと思います。

そのときにDecidimはどこに使ったらいいんだろうという考え方をされていたのが、これは他のこうした参加型の合意形成を進めていくためのやり方としてもすごくいいなと思った次第です。

活用事例〜内閣府等〜

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そんな感じで加古川市で始まった取り組みをいろんな人たちが見てですね、じゃあ自分たちもやってみようという話が進みました。一つはもうこれ期間は終わったんですが内閣府等ですね、スマートシティのガイドブックというのがすごく分厚い、いろんな事例が持っているものがあります。

その策定のときにも意見を収集してですね、いろんなディスカッションをするために、これオンラインのワークショップというかディスカッションするときに、もうDecidimに直接グループワークをしてですね、投稿してみましょうということもされたりしましたけれども、国でもそうしたものを使い始めています。

活用事例〜兵庫県〜

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次は、兵庫県庁ですね、先日ちょうど今年度知事が変わりましたけれども、来年度から新しい県のビジョンをつくっていくに際して、現在ある将来構想、骨子案があります。それに対していろんな人たちが意見を持ち寄ったり、あるいは地元の高校生とか大学生の人たちとリアルに意見交換をしていますけれども、そうしたものを、Decidimにも取り込んで、いろんな人たちに観ていただくといった場として活用をされていました。

これは意見募集自体終わってるんですが、引き続きやりとりそのものをアーカイブとして運用しています。この期間を定めて何かをする後も、こうしたものを記録としてきちんと残していくという考え方を取ってることもすごく重要なことかなと思います。

活用事例〜滋賀県〜

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そうこうしていると同じ都道府県庁の滋賀県さんもですね、このちょうど15日からオープンしました。出来たてホヤホヤです。

滋賀県さんは琵琶湖がある点で特徴的なように、環境に対する先進県ということもあって、県のビジョンの中でもCO2ネットゼロ社会を目指すための計画を今策定をしています。それに対して意見をいただく場として運用を始められた訳であります。

活用事例〜よこはま自民党〜

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これはCode for Japanが手掛けているものではありません。

今までは国とか自治体とか、行政機関側が使ってるようなケースでありましたけれども、別にこれ、バルセロナも若干そういったことがありましたが何かいわゆる行政がやるだけじゃなくて、よこはま自民党さんが横浜の未来に向けた政策を一緒に考えましょうという形で、政党がDecidimのようなオンラインの参加型合意形成プラットフォームを使うというようなケースも出てきています。

この点は重要かと思います。行政が意見を出して市民がいろいろ意見を寄せ合うみたいな関係は、ある意味で双方向に近いものもあると思いますけれども、本来は市民と行政だけじゃないわけですね。いろんな人たちが参画する社会と考えたときに、こうしたプラットフォームをそれぞれの主体が使って、意見を集めてまとめていくというようなプロセスがあると素晴らしいなと思います。

活用事例〜大学など〜

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もう少し小さいですねコミュニティでも使いやすいという面があって、それが一番面白いなと思ってるのは大学のようなもの、先ほど加古川でも授業というのがありましたけれども、大学の授業でやると結構皆さん使うというようなことが見えています。

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あとは、大学や行政といった公の存在のようなものでなくて、今ちょうど開催中でありますが、ルール?展という展覧会でも使われています。

これは展覧会で自分もその作品を作ってみよう何か、例えばさきほどのシールを貼るじゃないですけど何か自分もやることで、その展示物が成長していくみたいなテーマの展示ってよくあると思いますが、その一環で参加することそのものを展示に見立てて、いろんなルール・決め事を考えるためにDecidimを展示物にしつつ、そうした参加型のプラットフォームっていうのが今始まってますっていうようなことを紹介しつつ、自分もそれに参加してみましょう、それによってルールを作っていくみたいなことを骨格にしてやっています。

Code for Japanがアーティストみたいになったと言ったらいいんですかね。そういった活用のときにDecidimも使うというようなこともあります。主体は誰でもよくて、そのプロセスだったり、関係をどう作るかっていうことにDecidimが寄与するものがあるのかなと思ってる次第です。

今後の話

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今後の話は、今ちょうどまさにジャストナウで準備してますのが、先日、Code for Japanと連携協定を結ばさせていただいた福島県西会津町です。

これまで兵庫県とかです滋賀県とか国とか、加古川市も26万人という比較的大きい組織・エリアだったわけですが、この西会津町は人口6000人弱の町です。

小さなまちにDecidim?

町というか町っていうのはいわゆるひらがなの「まち」といったようなイメージだと思いますが、6000人の小さなコミュニティにこうしたオンラインのものっているんだろうかって、ひょっとしたらお感じかもしれません。

つまりはですね、大きい都市だからなかなか声が拾いにくいので便利だからオンライン使おうということではなくてですね、西会津町はむしろその6000人でしっかり意見を寄せ合うために、あとそれは、町民だけじゃなくて、関係人口の人たち、今町には住んでないけど、昔いた人とかですね、今別のとこ住んでるけど関わりがあると、いろんな人たちが西会津のことを考えて
いくためのプラットフォームとして使う。それはすなわち、こうしたものを使って対話する、あるいはコミュニケーションすることそのもののDXを目指すためにDecidimも使うというような考え方をされています。

日本ならではのDecidimの使い方

またこうした考え方、つまり比較的大きいまとまりではなくて、小さいコミュニティ、先ほど大学ということも紹介しましたが小さいコミュニティでこそ使ってみようということを考えてらっしゃる方が多いというのが、ある意味日本の特徴と言えます。国際的にも使われてるDecidimが、日本においてはどういう使われ方をするかという視点でも重要なことかなと思ってる次第です。

これからのプラットフォームを考えよう

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このセッションをご覧の皆さんもいろいろ質問とかチャットもいただいてるところなので全部拾えないかも知れないので、恐縮ですけれども見ながらと思っています。

なんか、流行ってる参加型合意形成プラットフォーム

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最初に私から少し補助線的に申し上げていくと、Decidimだけじゃなくて、例えば台湾だとvTaiwanが有名だと思いますし、アメリカとか、ヨーロッパでも様々な合意形成プラットフォームが使われています。日本でも同じです。

それはとにかくコロナになってオンラインで何かしようという動きがある。そのオンラインがうまく機能する部分が、皆さんお感じいただいているんだと思います。私もその1人ですけども、何か流行ってるなと思ってるときには、きっと理由があるっていうことかなと思います。

流行る理由は何だろう

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コロナ禍でのオンライン化現象

一つはコロナ禍でオンライン化っていうのが一つの現象になったということでしょう。

SNSの限界と可能性

二つ目はSNS。既存のSNSという言い方がいいかも知れませんけれども、みんなが使うようになったからこそ、その限界が出てきている。例えば、例えばTwitterとかFacebookとかインスタとか他にもかつていろいろありましたよね。地域SNSという物も最近再評価が進んでいるような気もしますけれども、いろんなツールがあってそれぞれ特性に合わせて使いましょうっていうのは言うのは簡単なんです。

みんな使ってるTwitterを想定していただけるといいと思います。東日本大震災のときに、Twitterがすごく役に立ったっていうことは皆さん記憶の通りです。私自身も当時は京都府の職員でですね、会津若松市の避難所に1週間支援で入りました。3月20日ごろでしたが、浜通りの方々がいろんなとこを転々とされて会津の方まで移ってきて、ちょっと腰を落ち着けて、でもその後ちょっと先行き見えないような状況でした。そのときにTwitterがすごく役に立ったそう実感としてあるんですけれども、一方で今回テーマである合意形成をする、意見を交換するみたいなときに、果たしてTwitterがある有効なんだろうかってのは皆さん疑問を感じていると思います。こうしたものがDecidimをはじめとした、今新しく生まれつつあるこういったプラットフォームが果たす役割がきっとあるだろうという、そこのせめぎ合いみたいなのがあるんじゃないかなと思います。

DXの観点

もう一つはそのツールをどう使うかだけじゃなくて、その中に何をしたいかという観点、例えば加古川市さんの事例もそうでしたし、西会津町さんの話でもしたようなことは、DXとまで言わなくても、もっと簡単なことでもいいと思いますが、そうした様々な使われ方を考えることが大事です。

いただいたコメントから

それでは、皆さんご意見がいろいろおありかなと思うのでその切り口から、それぞれのコメントもちょっと見ていきたいと思います。

「パブリックコメントでは拾えない声」これはありますね。

おっしゃる通りで、逆に「パブリックコメントで拾える声もある」それも大切にしようということでもありますよね。

パブリックコメントって、メールで出すとかホームページのフォームで入力するとか、お便り書くもあると思うんですけど、そうしたものとは違う形のもの、例えばDecidimは日本で始まって1年ということでもあるので、結構皆さん新鮮な気持ちで書き込んでいただいています。そういったプラットフォームとしての形、手紙とかメールもプラットホームだと思うんですけど、そういったものの形として何か新しいものが始まったときに、よくある感覚として皆さん楽しんでいただいてるかなみたいなことはよく感じますね。

西会津では若者や町から出た方が女性陣などの声を取りにいけるようにしたいです

ここでターゲットっていうと供給目線になってしまうのでそういう言い方はしませんが、参加について考えることは、いろんな人たちに参加していただきやすい場をどう作るか、そうしたときにコメントで書いていただいているように、若者が入ってきやすい/若者がその場を作っていくってどういうことか、みたいなことがすごく重要なポイントかなと思いますね。

確かに決まったものに意見を聞かれるより、これからの意見の方が当事者的な意見を出しやすそう

そうですね。他の方もコメントされていますが、「民主主義社会に自分ごと化できる仕組みだと思います」っておっしゃる通り、あくまで形としては行政が提供して何か意見もらいましょうみたいな形を取ってるとは言え、加古川市さんもそうですし兵庫も滋賀もそうなんですが、これはみんなの場ですということをトップページで謳っています。

これって結構、役所が言うとちょっと何かかっこつけてんなって思うかもしれないんですが、こう最初に書いたのはこれ兵庫県さんですけれども、それは強く言っていかないといけないし、それにふさわしいものになるように中の人たちも努力すごくされています。

コメントにどうして返していったらいいんだろうっていうのをすごく悩まれながらですね、向き合っていらっしゃいますし、そういったことも向き合ったときに、じゃあ今まで役所側としてどういうふうにしてたんだろうなあっていうのを、この自問する時間にもなってるようで、そういったちょっとうまく答えられないんだけどと思いながら、悩みを含めて書いていることも相手に伝わっていると思います。

一方で、意見に対して答えられないっていうことがあったとしてもですね、コメントでやりとりしてる間に、もともと投稿いただいた住民の方も「言ってることはよくわかった」と書いていただくことがありました。おそらくそのやりとりを見ている人も、自分では書かないけども、そうだなと思っていただいているように感じる場になってるなってのは結構ありますね。

合意形成をした「後」にその言葉を、アクションに形作っていくためのプロセスが、「参加」を継続するモチベーションとして重要です。その後工程のデザインについてはどのように構想しておられますか。

これは、Decidimができること/できないことがあると思っていて、日本においてはまだディベートという意見交換する場であったり、先ほどご紹介した加古川市さんが使った投票機能がある提案コンポーネントのような積極的に何か選ぶコンポーネントは扱っていますが、その後にアイディアをまとめて形にしていくためのコンポーネント、これも用意されています。それをどう使っていくかという議論。

あとは既存の行政が使う場合は、行政の仕組みがそれそのものだと思いますね。ただ、予算をつくっていくときにいろんな調査をしたり、ワークショップをしたり、職員の人が考えたりもするでしょう。そういった政策立案そのもののプロセスがどう変わっていくかっていうのが、むしろこれから問われることなのかなというふうに思ったりもします。

ですので、そこはまさに既存の、今まで別にこういったDecidimみたいなものがないときから実践されてるところをうまく生かしていくことだと思います。もしそれがまだ十分じゃないということであれば、Decidimがそれを担うではなくて、むしろその温故知新というかですね、「従来やってること」それを私なりの言葉で言うと「オフライン」という言い方をよくしているんですが、従来の仕組みがどう活性化されるかという観点も問われるというかですね、そういったことが重要だなと思います。

加古川の事例は、施設名が決まった後、どういうふうに進んでいくかを可視化、建物がでてできていくさまを共有できるようにしたいと思ってます

まさにそれを自分が決めた/自分を参加した名前の施設がどういうふうに作られて、そこで何が行われるかみたいなことも含めて協議していくと、「じゃあ行ってみよう」とか、建物はできますが動かすソフトはやはり住民さんという側面が強いと思うので、その参加する側に、「子育てに自分も貢献しよう」とか「社会作りに貢献してみたい」といったことが始まっていくその一助になるみたいなことが考えられているのかと思います。

既存SNSではできなかった「価値観のすり合わせ」を支援する機能を実装できるといい

Decidim自体には、まだそういった機能はないですけど、オープンソースなのでそういったモジュールをうまく組み合わせるとか、コメント自体はAPIで取り出せるので、それをどう可視化してうまくファシリテーションしていくかみたいなことは、従来いろいろな実践例があると思うので、それを上手くオンライン上で表現できるようなことができたらいいなって思いますね。

プロセスが明示できる点はDecidimの大きな特徴です

そうですね参加型プロセスという、ページ側ではそのプロセスを何時から何時まではこういうことをしてますというプロセスを明示して、それごとにコンポーネントを貼り合わせるみたいな、そういう仕掛けになっています。

一方でちょっとわかりにくいのは「参加スペース」というのもあって、ワンショットで何かするみたいなことのページでして、同じようにコンポーネントが使えるんですけど、その使い分けってなんだろうなっていうのはなかなかちょっとスカッとはわかりにくい面もあって、期間があるものは期間があって、何かプロセスがあるのは参加型プロセスですっていう何か同じことを繰り返しているようなものとして説明されていて、ちょっとなんだろうっていうのはよくあります。

まとめ

他にもいろいろコメントもいただいていますけれども、若干まとめっぽくしないと多分締まらないので、まとめも少し進みつつということです。

オンラインとオフラインの融合

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オンライン化現象については、おそらくキーワードは非接触・非同期の部分をどう考えるか、今までのお話の中でもオンラインとオフラインをどう組み合わせるか、Decidimができることというよりも、これまで合意形成をするときに、同期的にみんな集まってやるみたいなことと、どうしても決める人と何か意見がわかれているとき非同期の部分が出てくると思うんですけど、それをどう同期してるようにするか、それが双方向に意見を言い合いましょうみたいなことが目指されてきたか、ということかと思います。

一方で、それをあえて分けるみたいなことも重要なんじゃないかなってのがあると思います。これちょっと抽象的な話になってしまいますが、実践例を積み重ねていってそれの中で良さとか課題みたいなのもみんなでシェアしていくことが、まずは重要かなと。「これがこうです」というようなことがまだ言えるような状態じゃないのかなと。

新しい技術の実験場としてどのような活用が期待されるのか?

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今しがたちょっと出てたSNSの限界とか可能性っていうのは、まさに日進月歩進んでいって、こうしたDecidimのようなものがあると、コメントで皆さんいただいた通りそういうのを使ってみたいという、期待を寄せられることが多いと思います。

これは、そもそもそういったものでいいと思うんですけれども、それだけでいいのか、とやっぱりモヤっとします。まだちょっとよくわからないからこそ楽しいかなということですね。みんなで一緒にやっていきたいなと思っています。

手前に相当変わらないといけないもの、あるよね

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で、DXと大きく構えたり、時々「新しい民主主義」という観点で、いろんな、実験的な取り組みを考えていらっしゃる人たちもいます。あるいはこのCode for Japan Summitでも明日ですねIssuesの皆さんがそういった取り組みについてもご紹介されると思いますが、これはいろんな取り組みがあってこそです。ここに書いてる「手前に、相当変わらないといけないもの」っていうのに対するチャレンジの一つ一つが日本でも始まりつつあってですね、そういった関心皆さんお寄せいただいてるのがある意味、原動力というか推進力になっていってるのかなって思っています。

続きは、Metadecidim Japanで

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このセッションだけで何か答えが出るようなものではなかなかちょっとないので、Metadecidim Japanという、これ本家でもあるものをちょっとパクってですね、ページをDecidimでこしらえています。

せっかくなので、まだ時間ありますよね。こういったページを作っていて、さっきちょっと言ってました「参加スペース」の中にですね、振り返りセッションみたいな、ちょっとこしらえてみました。まだ中身はないんですけどちょっとチラ見せするとですね、今回お寄せいただいているコメントとか、グラレコもここに貼り付けてコメントをいただくとか、十分お話できなかったことをちょっと足してみるとか、関連する情報のリンクをガイドするとか、そういったことをやることでですね、多分、Decidimもこう使うんだなということを少しお感じいただけるかなと思います。

ログインしなくても中は見れるようになってますが、例えば投稿したり、何かコメントいただくとか、そういったときには新規登録をいただくという形になります。

何かDecidimの操作説明みたいになってますが、登録するときに表示名とアカウントIDとメアドとパスワードくださいってなってますが、自治体さんでは、加古川市さんとか兵庫県さんとかもそうで、ここで本名等を登録いただくみたいな形にもできます。Metadecidim Japanについてはそこまではしてないということですが、メールアドレスがないと認証等ができなくなってます。

ご興味あればですね、参加いただくことでいろんなことができるようになりますし、このページ実験場みたいなもので、さきほどの事例では早稲田大学ですが授業で使ったときのドキュメントみたいなのも置いています。

コメントを読む再び

参加する人に当事者意識を芽生えますよね

それはまさにコメントでそういうことをおっしゃる方もいらっしゃって、それは何て言うんですかね、多分すごい気づきになっている、つまり、そう思って書くっていうことは相当思ってるっていうことだと思います。その後にというか、コメント自体にいいねボタン押せたりするので、いいね!があったりすると、やはり自然とそういうふうに思った方が他にもいらっしゃるんだろうなって思いますよね。

・Decidim間で議論内容が繋がったりすると面白いですね
・NHKとかでこの地域ではこういう議論がされてますみたいな番組ができると予測してます

NHKでもすでにお便り投稿みたいな番組、SNSを使ってハッシュタグつけてそれを紹介するっていうのがよく出てきてますけど、その先が多分こういったのものも使っていくってことですかね。NHKの方もDecidimのことご存知なので、何かそうしたチャレンジがあるとかないとかっていうのは特にないんですけど、別にNHKさん限らず何かそんなこと考えられますね。

別に何か我々シビックテックでやってみようというのでもいいかなってますね。

陳情とか請願は準備が大変で却下率も高い

まさにおっしゃる通りで、従来型のそのプロトコルというか、インターフェースとして、手続きとしての持ってたものは、こうしたデジタルのプラットフォームが登場してくるとその有効性とか、そのいかにも役所役所しているみたいなものが試されるというか、っていうのはすごく思います。

ちょっとスライドには載せなかったんですが、参加型民主主義と言ったときに、特に自治体では住民参加条例みたいなものを結構20年前ぐらいですかね、パブリックコメントとかが制度化されるときに、そこからもっと進んで政策を提案していこうとか、何人以上の署名があったら自治体側はそれを検討しなければならないというような手続きを定めた条例が結構作られたりしました。

そのときにWordでテーマとどういう提案なのかっていうのを書いて出してくださいって条例で様式を指定している訳です。でも、今こうしたオンラインになって、やりとりでも例えばGoogleのスプレッドシート、みんな意見を集めてみんなでディスカッションをして、共同編集でまとめて作る方が、アイディアもより質を高めたりとか幅を広げたりするのにいいのは皆さんわかってますよね。

でも、それをWordにまとめるの?とかWordにして見せなきゃいけないの?ってそこでガクって結構なるんですけど、その制度は、そもそもいろんな意見を集めて今までの仕組みだけでは取り入れられなかった政策を作る方が、その地域のためになるということで条例があるのに、それを実現するための仕掛けをまだWordに限定してているのはどうなんでしょう。

何かその辺のアップデートどうなってんのかなっていうのをすごく感じることでして、私もお声かけいただいてお話するときに自治体の方も結構ご覧なってるので、実はもう既にそういった意味でのプラットフォームを持っていて、その中身がまだアップデートされてないので、ぜひそこをいじりましょうよっていうことを都度お話しています。

ぜひ何か市民からの提案制度といった仕掛けを制度として、もしお持ちの自治体の方は、Decidimを入れるというんじゃなくて、Decidimのようなものを見たときに自分たちの仕組みってどうなってたっけっていうのをぜひ振り返ってみていただくといいのではないかと思います。すごく時代が変わってるのにそこがそのままになっていることですごく可能性を逃してるんじゃないかなみたいなことは結構あったりします。

そういったことも事例は、Metadecidim Japanの中で集めていければなと思いますし、それを実際にやってみましょうみたいなことは、ぜひ自治体の方に手を上げていただくとか、住民、Code for側から積極的にやっていくことも出来たらいいなと思います。

市民発の政策作りとかでやってみたい

やってみたいですね。

トレンドと相関みたいなことも、参考として見ると面白そう

そういうことだと思うんですね。何か決めるっていうことが、一つのことを決めるだけじゃなくて、そのプロセスを良くするために使える可能性が広がっていると思って、そいうことも試してみたいっていうのはあります。

以上で、終了時間になってしまったので拾えなかったチャットのコメントはまた、レスポンスできればと思います。ありがとうございました。


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