見出し画像

【政策参与のおはなし(その20)】DX推進室の取り組み進捗について(2024年4月16日DX推進室協議メモ)

これは何?

2022年4月の「政策参与のおはなし(その12)」のその後にあたるもので、設置後2年が経過したデジタル・トランスフォーメーション(DX)推進室の取り組みの進捗について振り返りつつ、今後の方向性について考えたものになります。

年度はじめのメンバーとのミーティングの際にお話したことを再構成しています。協議そのものは、取り組みの共有をしていたり、大きな話もあれば個別具体的な話も出ていたりしています(時間としては2時間強)。ということで、しゃべった順番を入れ替えたり、ある程度まとまりを持たせるために個別の話の省略や説明を追加したりしています。

関連する「その12」はこちらです。同じことを述べている部分はあるので、そこが私が考えるポイントだということになると思います。

これまでの取り組みとこれから

国のデジタル田園都市国家構想交付金を活用して日野町も積極的に事業を実施しています。もともと、参与として着任した2021年度の時点から総合計画の実現(地方創生の推進)とDXは同じことだというお話をしてきましたが、この間に国も、地方創生・デジタルの交付金がデジタル田園都市国家構想交付金として統合されたことにあるように、そうした考え方がスタンダードであったことが明確になってきたと思います。

日野町ならではのDXのこれまでとこれから

そうした中でスタートした日野町ならではのDXは、最初のデジ田甲子園で滋賀県代表になった事業もあります。今年度で3年が経過し次の展開を検討する段階にあるので、まず足元の達成・未達成状況を検証していくことが必要だと思います。

また、総合戦略も第2期(2025年度までの5年間)について、施策の検証を行って随時改訂をしていますが、検証でいただいている意見には本質的な問いも含まれているので、単年度での対応や成果だけでなく中長期のものを見据えて事業を実施していく視点も大切でしょう。

働き方・業務改善推進本部の取り組みを活かす

昨年度設置された「日野町働き方・業務改革推進本部」のワーキンググループによる提言をどのように実現するか、また次の動きを作っていくかという観点もあります。これは新たに追加された日野町ならではのDXだと思います。その際に、職員アンケートで寄せられている意見も十分受け止めつつ検討結果や考え方を庁内にも引き続き共有していくことが大切です。

必要な視点は引き続き同じ

そうした検証・検討を行う中で、軌道修正が必要な事柄もあると思いますが、いずれにしても日野町ならではのDXを行う際に必要な視点は「デジタル」「データ」「デザイン」であることは引き続き同じです。順に概観してみましょう。

デジタル:システムの標準化の先に

2025年度末までのシステム標準化の対応状況が、全国的に明らかになってきています。様々な事情により移行困難の自治体も出てきている中で、日野町は県内6町でこれまで取り組んできた経緯も踏まえてスケジュール上は、その期限内に着地する見通しと伺っています。

ただ、これまでからも指摘しているとおり、この2025年は通過点に過ぎません。1つが2030年をターゲットに整備されていくベース・レジストリであり新しいデータ体系であるGIF(政府相互運用性フレームワーク)に基づいたサービスを作っていくこと、サービスレベルではマイナンバーカードを基軸にした行政・民間・準公共分野でのUX向上を順次実装していくことが待っています。

第8回マイナンバー制度及び国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ資料(2023年3月)

標準化対応が急激な坂道に感じられますし、システムが無事移行された、まさに坂道を登ったときにほっとできないこともいろいろ出てくると思いますが、その先を見据えておくことは大切です。それがデータとデザインの観点で、これまで日野町でも取り組んでいることだと思います。

データ:EBPMとロジックモデルの重要性

この3月末までで日野町ワクチンメーターの更新は終了しました。

ここでやっていたことは、データで進捗状況を関係者(役場や議会、町民)と共有することで信頼を獲得しながら事態に対応していく、この場合は安心して接種いただくこととその状況をリアルタイムで確認できるということでした。

このほか、2月〜3月の確定申告相談の来場者に対する受付状況の表示も継続して運用できるようになりました。昨年度は、これまでの運用をベースにしながら、職員さんのアイデアを元にデータフローを一部見直して運用し、さらに安定的に運用することができました。受付状況ダッシュボードは、町民さんにも好評というかごく当たり前のようにご覧いただいているようです。

受付状況ダッシュボード(2023年度版)

こうしたことは、オンデマンドタクシーの「チョイソコひの」でも利用状況を公開しているところにつながっています。利用時間帯の偏りやエリアごとの利用状況など、実際の利用者との間で変化しうる事象を見定めて、その変化をロジックモデルとして仮説を作り、利用者と一緒にサービスを育てていくといった観点が重要になってくると思います。

そうした意味で、現在はシステムからのデータを元にしたPDFでの共有を、データマネジメントの観点からダッシュボード方式に更新するなど、職員研修も交えながら取り組んでいくことも考えられます。

これらは、EBPMでも「データの見える化」というステップは、国も重視しているところで、ある意味で日野町は国に先駆けてやってきているとも言えるでしょう。

第2回デジタル行財政改革会議資料より(2023年11月)

その意味では、こうした政策立案と実施のプロセスを把握する方法として他の事務事業でも検討することができるでしょうし、日野町でも隔年で更新している統計データオープンデータの取り組みもこうした文脈で考えることもできます。その際にそうしたデータをどのように作成しているか業務フローの見直しも含めて検討できればと思います。

デザイン:利用者視点を学ぶプロセス

かねてより東京海上日動火災さんと官民連携でサービスを開発してきましたが、今年度もこの取り組みが実装できるようにチャレンジしていくと思います。

実装されるサービスそのものも大事なのですが、役場にとってはこうした官民連携でサービスを開発していくプロセスをぜひ学ぶ場としても活用してほしいと思います。サービスデザインで言われるところの「利用者視点」が必ずしも「町民視点」だけでないもっと俯瞰された視点であることを、言葉で説明することはできても、実感を持ちにくいことも確かです。この取組みはそれを実感する瞬間があるだろうという意味でもぜひ体験してほしいですし、それを庁内に伝えてほしいわけです。

また、せっかく事業者が関わってもらっているので、日野町ならではの部分をもっとリクエストしてよいと思います。どうしても役場側の考えを踏まえたこじんまりとしたものになってしまう可能性もあるわけです。もっとわがままになっていいと思います。

その意味で、今年度の取り組みはこれまでを踏まえてさらによいものになるように、DX推進室が原課を支援する方法やその関わり方も含めて意識付けが大切です。

地域のDXの観点

町長から「地域コミュニティのあり方を考える」というメッセージが出ています。これをデジタルとの関係で取り組んできたことも日野町の特徴と言えます。

結節点としての公民館

先日西大路公民館にお伺いして、公民館でどのように事務をしているかなど拝見しながら、昨年度公民館全体で取り組んだイベントカレンダー共有や共通サイトのプロトタイプについて意見交換をしました。

他の公民館もそうだと思いますが、学校との連携をはじめ地域における結節点(ハブ)として活動されていることがよく分かりました。自治会などの地域運営組織もそうですが、それぞれの組織や機能を地域の人がうまく繋いでいるということだと理解しています。これは日野町の強みでもあり、解決しなければならない課題が発生する最前線かもしれません。

デジタルの視点はどこに注がれるべきか

これまで実施しているロボットコンテストスマホ教室は、いずれも公民館を拠点に実施してきました。やっていることの見た目は異なりますが、公民館という地域の入り口をデジタルの入り口をにする象徴的な意味合いがあります。これは、場所の提供という意味合いではなく、また単に「デジタル」としてイメージされる事柄を実施するものでもなく、必要な視点は地域の結節点である公民館に集う人の流れを作ることと、異なる世代の交流を生み出すための仕掛けとして、リアルの結節点でデジタルのつながりも作っておくという点です。

それをまずは役場発で事業を進めていますが、今後は地域の様々な人と連携した形で実施していく準備をしているということでもあります。地域には様々な人材がいます。彼らのやりたいことや一緒にやっていけることと擦り合わせながら、次の動きにつながっていくように、今年度もこれまで以上に関わっていけたらと思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?