夜中

今は何時だ。

霞んだ視界に差し込んでくる僅かな光の反射でなんとか時計を見つけ出す。

何時間くらい眠っていたのだろう。
確か昨日はお風呂からあがった後そのまま布団に飛び込んだ。

体感では一瞬だ。しかし時計の針は90度も動いている。

こんな夜中に目が覚めるなんて面倒だなと思いつつも用を足し、暗闇に慣れてきた目で足元に警戒しつつ冷蔵庫を目指す。

冷蔵庫のノブに手をかける。

低い駆動音が部屋に重く響く。

急に飛び込んできた光に目が眩みつつも開封済みのペットボトルを手に取る。

水が喉を通り過ぎ、感覚が確かになってくる。


ここで昨日の夜歯磨きをしていなかったことに気づく。

虫歯ができやすい体質がゆえ、歯磨きをせずに寝るのはご法度だ。

もう既に寝ていたことには目を瞑りつつ、暗闇の中で自身の感覚だけを頼りに蛇口を探す。

歯ブラシを手に取り歯磨き粉をつけ、口に運ぶ。

意外と暗闇の中でも歯って磨けるんだというどうでもいいことに気づきテンションが上がり、クラブステップを踏みながら歯を磨く。

そろそろ視界が鏡で自分の姿が捉えられるほどに戻っあたりで口を濯ぐ。

今までにない爽快感と高揚感。思わず勢いよく水を吐き出す。

間違いなく水が洗面台の周りに飛び散っただろうと若干の後悔を抱えつつ明日の朝になれば乾くだろうと、衛生的にはどうなんだそれという状況に目を瞑って、洗面所を去る。

口の中に歯磨き粉の匂い残っているのも癪なのでもう一度冷蔵庫を開け、水を飲む。

最後の一滴まで飲もうと、ペットボトルを揺さぶってみる。

飲み終わったペットボトルをなんとなくこの位置だろうという不確かな感覚を基に割り出したゴミ箱の位置へと投げてみる。

明らかに外した音がするが、近づくのも面倒に思い明日の朝の自分に回収を任せる。


再び寝床に戻った時にはもう1時間も経っていた。

再び布団を被り完全に視界を取り戻した目を閉じる。

明日は、朝から大変な1日だ。
早く寝なくては。


なんだか興奮して寝れないが。

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