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『一万年の旅路』と10年越しのパタン・ランゲージとNOOについて話した〜スクラムフェス大阪2020

急遽参戦!四国トラック

6/26, 27とスクラムフェス大阪2020に参加&発表してきました。

ぼくらがやってるAgile459の読書会が一段落して、さぁ次はどの本やろうかねぇと考えようとしてた5月の連休明けに、突然川口さんとAkiさんからメッセがきた。

「スクフェス大阪をオンラインでやるのですが1トラックどうですか?」

1トラック=1セッションと勘違いしていたAgile459の面々は「やろうやろう」と決めたのだが、あとで「1トラックつまり10:00〜16:00」ということに気づいて驚愕したのでした...

Agile459で自分、@kobatomo3H@tafuzitaの3人で内容考えて、足りないAMはaraiさんと、さささんにお願いしてValue Stream Mappingのオンラインワークショップをやって頂きました。

事前のミーティングを結構やっていたのでなかなか準備が大変でしたが、自分の資料作りでテンパってる自分を尻目にドンドン前に進めてくれた皆さん、本当にありがとうございました!!

四国トラックの詳しいレポートは @tafujizaさんがまとめてくれてますのでそちらで!! 

実は今年の11月にAgile459の10周年イベントを企画しているのですが、コロナでどのように開催しようか悩んでいました。今回スクフェス大阪で大規模オンラインイベントの経験ができたので、イベント開催の引き出しも増えました。

さて以下は自分の反省を含めたレポートです。

伝えたかった『一万年の旅路』

まずはハッカーライフラボのLTから。といっても資料作る余裕はなくて以前書いたブログを出して話しました。(5分過ぎてた気がする、ごめんなさい。。。)

この本を昨年読んだ時の衝撃は相当なもので、当時やっていたAgile459のオンライン読書会(お題はイラスト版ティール組織)の時に散々宣伝したし、出張で東京を訪れて山手線を乗っていたときに偶然出会った羽生田さんに会った時も『一万年の旅路』ってのが凄いんですよ、と即座に伝えたほど。

その後、アメリカ建国にイロコイ族が密接に関わっていることに興味を持ったりもした。

まぁ「本を知ってもらえればいいかな」くらいの気持で登壇したのですが、思いの他多くの人に興味をもってもらったみたいで本当によかったです!

せっかくだから、パタンやNOOでも

四国トラックで1セッションをやると思っていた時は、Agile459のオンライン読書会の報告をすればいいと思っていました。基本は自分以外の方に登壇の機会を増やせばいいなーと考えていたのですが、1トラックだと知ってから「あ、俺も話そうかなー」という気になったのでした。

今年に入ってから周囲でまたC. アレグザンダーやパタン・ランゲージに興味を持つ人が増えたのに気づいて、5月にやったアレグザンダー勉強会に先立って、10年前のマイブームの時の思い出をまとめたのですが、その後の話をまだ書いていないし、せっかくだからパタンについての話をしようかなと考えました。

スクフェスはトラックが膨大になり、まぁ人もこないだろうし、マニアなネタでも問題なかろうということで主にネイチャーオブオーダーを中心に話をすることにしたのでした。しかしこれが後に多大な苦行を強いることになるのですが...

なぜネイチャーオブオーダー(NOO)をメインにしたか

今回の講演をすると決めた時には「パタン・ランゲージ」よりも「ネイチャーオブオーダー」に焦点を当てようと決めていました。なぜならば、アレグザンダーはパタン・ランゲージを昇華させてネイチャーオブオーダーを出版したのに、未だに周囲ではパタン・ランゲージ(しかも暗黙知→形式知を書くことばかり)の話題しか出てきません。これは10年前も今も同じです。

ネイチャーオブオーダーの原著は2004年に出版されています。もう15年以上経っているにもかかわらず、全4巻のうち邦訳は1巻のみなのでこういった事も理由の一つではあります。更に、確かにネイチャーオブオーダーは難解な点はあります。パタン・ランゲージほど人々の理解を得られていないのも事実でしょう。

しかしパタン・ランゲージの理論に納得、共感したのであればその先に進まない理由はありません。

なんで今更「2009年の研修」の話をするの?

そして、今回含めようと考えたものの一つに、2009年の夏に受講した中埜さんの「参加のまちづくり入門演習」のことでした。

この体験については、アレグザンダー勉強会にむけて「私とパターン、そしてアレグザンダー」(1st Decade)にも書きましたが、実はこの研修に出た時の内容を直接発表した機会はこの11年一度もありませんでした。

なぜなら、自分が口伝えするのではなく、自分と同じように体験してほしいと中埜さんの「参加のまちづくり入門演習」の開催プロデュースに回ったからです。この研修を受けて、私のパタン・ランゲージへの見方は180度変りました。なのでそれを皆に体験してほしいと考えたのです。

その結果、2010〜2012の間で一定数の方には私の思い通り体験してもらいました。しかしその後諸々の理由で自然消滅してしまいました。

この研修を受けていない人にパタン・ランゲージの話をしても、こっちの意図することは伝わらないのだろうな、と半ば諦めながらこの10年過してきました。そういった経緯があり、今回はこういった機会を得られたことは感謝しかありません。

「パタンランゲージでいきいきとした未来を作る」という観点に興味を持ってくれる人が少しでも増えれば嬉しいです。

10年越しのNOOの発見

今回、話をするにあたり、アレグザンダーの持っている邦訳された著作は全て読見直してみました。そしてメインにしようとしていたネイチャーオブオーダーの二巻(未邦訳)を11年振りに精読しました。当時見落としていた部分や理解できていなかった部分に気づけてとても有意義でした。

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今回、気付けた部分はUnfolding(展開)(=構造保存変換・構造保全変容)プロセスは、進化適応型プロセスやリーンスタートアップの仮説検証と同一ではないのかもしれないということです。この点は資料に記載していますが、なんとなく同じだと考えていたので再考するよいきっかけとなりました。

『A Scrum Book』とのリンク

また、10年前と異なる点は『A Scrum Book』が出版されていることです。

『A Scrum Book』にはフレームワークとしてではなく、パタンとしてのスクラムの取り入れ方を書いてくれています。

スクラムは「フレームワーク」を標榜していますが、いきなりフレームワークを現場に当てはめるのではなく、場面によってはその時に合うパタンを適用しながらより自然な滑らかな構造保存変換を実現していく方がよい場面もあります。(ネイチャーオブオーダーの用語は使っていませんが以前似たような観点を記事にしたこともあります。)

『A Scrum Book』の出版で、「フレームワークとしてのスクラム」に加えて「より自然なスクラムの始め方」によって、より「滑らか」に多くのチームがアジャイルチームに構造保存変換できるようになるといいですね。

そして『A Scrum Book』に中埜さん、そしてプロジェクトランゲージについての記述が載っていたのを発見して驚きました。2010年に二人を繋げた意味があったことに意味があっただと大変感謝しています。

実は2010〜2011年頃にCopeに当時Webサイトにのみ掲載されていたスクラムパターンを「翻訳してもいいか?」と聞いたことがあります。しかしその時、彼は「英語でまだまだ議論して洗練していきたいので日本語訳はやめてほしい」という回答があり断念した記憶があります。

それ以降、毎年Scrum PLoPとして洗練していった内容が『A Scrum Book』として結実したそうなので今後邦訳されるのが楽しみです。ScrumPLoPには@haradakiroさんが参加しているのでうまいことやってくれるはずです😋

残されたお題

ネイチャーオブオーダーで難しいのは「15の基本特性」「生命構造」「センター」「全体性」をどうやって発見するかです。そこができなければ本当の意味での構造保存変換=基本分化プロセス=センタリングプロセスは実現できません。

自分なりの仮説はいくらかあるのですが45分という時間では、ネイチャーオブオーダーと参加のまちづくり入門演習のことしか話す時間がありませんでした。次の機会にとっておくことにします。

センターとしての個人、個人の中のセンター

最後に「センターとしての自分」と言う点を付け加えておきました。こんなことアレグザンダーは直接は言ってませんが、全体性を捉えるためには、個人が自分の全体性に目を向けないといけないと述べています。言い替えると「自分らしさ」「自由」です。

実は、この観点は以前読んだ時にはまったく頭に残っていなかったのですが、この10年自分なりに試行錯誤した結果として掴んだ「個人の全体性」についてアレグザンダーも似たような意味合いのことを述べていた(ネイチャーオブオーダーの10章)ので驚いたのです。

センターは別のセンターの組み合わせから構成されていて、センターは全体であり部分であると考えたときに、組織の中の個人がセンターであり、更にセンターとしての個人は複数のセンターから構成されているということになります。

私は愛媛に移住してから、多くの挫折や試行錯誤を経て自分自身と向き合うことを中心に行ってきました。その結果、自分が大事にすること、自身の意思でやりたいことを選ぶこと、生まれながらの資質を生かすこと、自然とつながること、他者とつながること、地域とつながること、様々な身体活動で人のポテンシャルを取り戻すことを通じて、私自身の全体性を見出してきました。(これらについてはまた別途どこかで発表できるといいなと考えています)

個人の全体性についてはティール組織も言及していますが、自分の全体性、より大きな全体の中の部分として、自分がどのようにありたいか、振る舞いたいかを考えてみるきっかけになれば嬉しいです。

もっとみなで世界を「いきいき」させよう

最終的には、 パタン・ランゲージもNOOも、「世界の全体性をより強める(=いきいきさせる)」ための考え方です。

アウトプットとか、アウトカムとか、インパクトとか、カタカナ英語を使うケースが多いですが、これからは「それを行うことで、(自分|利用者|世界)は、より「いきいき」するのか?」と心に問うてみてください。

私も微力ですが、世界を、周囲の人を、そして自分自身を、よりいきいきさせるために行動していこうと思います。そのために色々な方と共有したいことは多いですが、徐々にできればと思います。

最後に、このような機会を来れたスクラムフェス大阪の実行員の皆様、四国トラックを一緒に作ってくれたみんな、拙くわかりずらい話にも関わらず試聴してくださった皆様、本当にありがとうございました。


皆様のサポートによって、より新たな知識を得て、知識と知識を結びつけ、実践した結果をアウトプットして還元させて頂きます。