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XP祭り2023で登壇し、懇親会で感じた「変わらない価値」

XP祭りで登壇、東京にいたんだけど…

昨年、基調講演をさせていただいたXP祭りですが、今年は普通にプロポーザル出して話してきました。

その週の木金は別件で東京だったので、そのまま土曜で登壇すればいいと思っていたのですが、直前で「登壇はオンラインだけ」ということを知って愕然としましたw

仕方ないので、実家から登壇して、夜は懇親会のために街に出るというパターンを実施してきました。

基調講演について

今年の基調講演は、市谷さんでした。資料作りながらなので、しっかりは聞いてはいなかったのですが、ひたすら真実を探求するプロセスと、そこに対する覚悟、その過程の中で様々な人に出会えた市谷さんらしいジャーニーに溢れた内容でした。

最終的に「自分に向き合う」という点も、彼とはまったく違ったジャーニーをしてきた自分が行き着いた結論と同じなのが、とても面白かったです。

久しぶりに会って話してみたいなー、と思いました。

自分の登壇「アジャイルマニフェストのこれまでと、これから」

今回は「アジャイルマニフェストのこれまでと、これから」というタイトルで発表しました。最初は自分なりのマニフェストの発表を中心に置こうと思っていたのですが、アジャイルマニフェストの生まれた経緯を調べれば調べるほど、当時の時代からこの宣言が生まれた意味を感じざるを得ませんでした。

今回の発表の準備をして気づいた発見としては「異なるアプローチで競争している人々が集まり、マニフェストにある信念・価値を元にして、お互いの違いではなく共通点を見出し合意したこと、の偉大さ」です。

アウトプットだけではなく、その生成プロセスに意味があるというのがアジャイルそのものです。

セッション中、いくつかこれまで出てきた改訂案もご紹介しましたが、どれも「まぁそうだよね」とは納得出来る部分はあっても、細部は人によってあーでもない、こーでもないと異なってしまうのかもしれません。なぜならアイデアを出す人の文脈によって微妙に異なってきてしまうからです。

マニフェストの更新にとって必要なのは「それぞれの方法論者が集まり、2001年にスノーバードで行われたような、マニフェストに基づいたプロセスで、違いではなく共通点を見出す」ことなのでしょう。それができなければ、2001年の記念碑的な署名は超えることはできないと感じます。

ただ、マニフェストの本質の所で説明したように「含んで超える」ことで、自分たちの現場・組織のアジャイル宣言を作り上げることは可能です。自分たちのアジャイルマニフェストを「含んで超える」ものを作り上げるのもよいのではないでしょうか。

生き生きマニフェスト(仮)のこと

今回は、アジャイルマニフェストは内容そのものよりも、その生成プロセスが重要だという結論になったので、当初予定していたオレオレマニフェスト(生き生きマニフェスト)については、軽く流した程度でした。

ただ、私が今後本格的に広めていきたい「人間理解のパラダイム」や、C.アレグザンダーのネイチャーオブオーダー以降の思想を組み入れた「パタン理論」において重要な位置づけになるので、今後も引き続き丁寧に発表していく予定です。

懇親会について

公式の懇親会は開催されていなかったので(スタッフ懇親会は行われてたみたいですが)非公式懇親会の方に参加させていただきました。

久しぶりにお会いする方、初めてお会いする方、いろいろいらっしゃいましたが、やっぱり「ワイワイ話す」のっていいよなぁということを実感しました。

昔のXP祭りでは、懇親会一次会200人(!)、二次会60人ってのもやってたみたいです。そういう人のエネルギーが行き交う中で、現場の悩みや互いのやってることの交換ができるのはいいですね。

コロナ禍以降でコミュニティに入ってきた方は、こういうイベントは違和感あるかもしれませんが、

人がエネルギーを交換するのに一番効率的なのは同じ場を共有すること

というのが実感出来ると思います。リモートでも工夫すればできるけど、リアルの場はまた一味違います。こういうことは、言葉ではなく体験して感じてもらうことが大事なので、食わず嫌いの人はぜひ体験してほしいです。

アジャイルという時代の流れの中で

今回の登壇内容で参考にさせてもらった『Wild West to Agile』はとても良い本でした。あくまでも個人史と、見てきたソフトウェア開発の発展を結びつける内容は、私自身の体験とも重なりました。

懇親会で、『アジャイルソフトウェア開発スクラム』の監訳をやられた紺野さんとセッションに登壇した砂田さんにお会いしました。

私は『アジャイルソフトウェア開発スクラム』翻訳者の一人だったのですが、当時はDeepLやGoogle翻訳などの翻訳支援ソフトもなく、ひたすらそれほど得意でもない英語を翻訳して、自分の翻訳の質の低さに絶望した記憶と、一緒に翻訳をやった「たかはしゆういち」さん(XPJUG初期スタッフの一人)が図書館でみつけた、『The New New Product Development Game』(野中&竹内論文)を見せてもらって、「へ〜、日本のアイデアが源流になってるのか」と驚いた記憶しかありません。(当時はネットでは入手できなかったため)

そういった当時の背景などを、懇親会で砂田さんに聞かれて答えていたのですが、実は昨年XP祭りで発表した『XPの旅』、一昨年発表した『忘れられたXPer』は、元々は『日本アジャイル昔話』という書籍(同人誌)を書きたくて集めていたネタで構成したものでした。

執筆は一度止めてしまっているのですが、後世につなげるものとして、やっぱり残しておきたいという気になりました。

来年も何か発表できるといいなぁ。



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