マガジンのカバー画像

Lyrics

34
自作の歌詞をあつめています。
運営しているクリエイター

2022年8月の記事一覧

スタンス

しまいに君を抱くのはもう お決まりで 伝えきっていない想いは 胸にもたれて 閉めきった部屋 飲み干したビール 酔えない会話 今日もやり過ごすように 会えない日々は 誤解もせずに もどかしくなる 馴れ合いすぎたスタンス にぎわう街の木洩れ日を 浴びながら 交わっていくふたつの影 ゆれるソファー 病みついてしまう互いの癖 不意にかみあう視線は気まずくて 疼きだしたこの身にまかせる 不安にかられる心 ごまかして 君にそそぐ涙はもう 涸れたかな 僕のすべて 見逃しているん

潮騒

雨があがり 散り散りになった雲が 心を奪う あの唄は嘘だ 上を向いたら あふれるくせに 砂をかんで 沈んでいく足元が 微熱を奪う あの人は言った 秋の頃には お別れだって 交わしただけの約束は 夕焼け色をして 僕の空にゆっくりと 手を振って 流したものが気休めなら 向い風に乾きそうなのに あなたがいない砂浜は もう 拭っても拭っても 涙がザラつくんだ 今思えば その時を安らかに 過ごせたのは あの人にとって 幸せだったのかもしれない あなたは誰の傷跡を 僕に触れさせた

夢オチ

どれほど深く 思っているのか 君はどこでも 聞くけど その薄いリップクリーム 今は拭えないでいる 何度も君に 赤恥をかいて 僕は変わったはずなのに 裸になって さらした心で 君を裸にしてきた 高嶺の花模様 今は描けないでいる 周りがさめた噂をしても 僕は笑っていたくせに 知らないうちに はがれてしまった それで終わってしまうのかな 眠れぬ夜を いくつも越えて 君を想っていたくせに

パズルとカメラ

僕は君への想像を 満たす言葉を欲しがった 君は不安定な情緒を 煽る言葉に病んでいた 僕は土曜日 留守電に 拙い言葉を吹き込んだ 君は火曜日 落書きに 感じた言葉を書き込んだ 最初の言葉 あの言葉 消えないしシミのようだった 僕は誰かのせいにして 君はすました顔をした 僕は左のポケットに 卑しい言葉を忍ばせた 君は右手のジェスチャーに 際どい言葉を匂わせた 僕は上からあふれでる 甘い言葉を飲み干した 君は下からにじみでる 苦い言葉を舐め取った かすれる言葉 あの言葉 冷め

僕の好きな小説家が 僕のかけらを指差して 僕とおんなじだと言って 僕の全てを蝕んだ 頭がイカれたフリをして 辺りの好奇な目を惹き あたかも異能者のごとく 新しき時代の到来を説く 過去の遺志を改竄して 未来に石を投げつける ありのままの言葉を捨て ありとあらゆる辞書を引き ありもしない思想を練り ありふれた結末を添える 意味をたどれど 声はしない 浅い息継ぎだけがする 黒い鳥が舞う波打ち際 渚の果てで嘔吐した 砂に染み入る疚しさに 何処かへ消え去りたくても 引き換えに