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どうして登記簿面積と実測面積がこんなに違うの?


「測量してみたんですけど、登記簿面積の倍くらいあることが分かりました。なんでそんなことが起こるのでしょうか?」

この理由は、分筆が繰り返されることにより、誤差が残地に集積していくことにあります。

土地を分筆をするときには、分筆後のそれぞれの土地の面積を記載して登記申請しなければなりません。あたりまえのことのように感じます。

でも、平成17年に不動産登記法等の法令が改正されるまでは、分筆により新たに地番が設定される土地だけを実測すればよいことになっていました。
分筆により残された土地(残地)については測量を要せず、分筆前の登記簿上の土地面積から新たな土地の実測面積を差し引き計算すればよい、とされていたのです。

例えば、登記簿上面積1,000㎡の120番2の土地があり、そこから100㎡の土地を分筆するとします。
分筆登記申請の際に添付する地積測量図には、新たに地番を設定する100㎡の土地についてのみ、きちんと測量して土地の辺長などを記載すれば足りることになっていました。
残りの土地の面積については、「1,000㎡-100㎡=900㎡」と記載しておけば足りたのです。

もともとの登記簿面積1,000㎡が正確な面積であれば、それでも大きな問題になりません。
残念ながら、登記簿上の面積が正確では無い場合も多いのです。
昭和時代に作られた地積測量図は、フリーハンドで描かれていたりして、もう、図面の見た目から適当な感じです。
まず、そのような図面に記載された面積はあてになりません。
あらためてレーザーの測量機器で測ってみると、登記簿面積よりも実測面積の方が大きくなることが殆どです。(これを縄伸びと言います)

誤差のある大元の土地の面積から、正確な面積が差し引かれるということは、分筆が行われるたびに、残地部分に誤差が集積されていくことになります。

例えば、元々5,000㎡あるのに、登記簿上は4,800㎡となっている土地があるとします。この時点では縄伸びは200㎡で、全体に対して4%の誤差に過ぎません。ところが分筆が繰り返されていくことにより残地の登記簿面積が200㎡になったときは、残地の実際の面積は400㎡もあることになります。
大幅な縄伸びが生じてしまうのは、このように誤差が残地に集積していくからなのです。

平成17年以降は、原則として分筆する際には残地についても実測することが義務付けられました。分筆がされる度に、残地も含めて正しい面積が登記されるので、大きな誤差は消えていくことになります。
逆に平成17年以降に分筆などがされていない土地については、大きな誤差が残っている場合もあるのです。

特に、枝番が「1」である場合には注意が必要です。
土地を分筆すると、元の土地(残地)の地番は変わらず、新しく分筆した土地には新しい地番が付けられます。
枝番が「1」ということは、その土地は新たに地番が設定された土地ではなく、現在まで残地であり続けた土地であることを示しているのです。
したがって、地番の枝番が「1」である土地に誤差が集積されていることが多いので注意が必要なのです。

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