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楽しい食事の終わりに、チップを。

1,000円のお茶代に100円。1万円の食事をして、1,000円。メキシコの飲食店で支払うチップの相場だ。

テイクアウトやセルフ形式のカフェでは不要だが、店員が席まで注文を聞きに来てくれる店では、基本的にチップを支払うことがマナーとなっている。

チップなんて面倒なことをしないで、料理の価格をサービス料金込みで設定したり、日本のように『サービス料10%』を客に見えるところに明記して請求すればいいじゃないか、とはじめは思っていた。

けれどしばらく過ごすうちに、『サービスに対するお金』とはっきり認識してやり取りできるチップの方が、支払う側と受け取る側のどちらにとっても良いのではないか、と感じるようになった。

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メキシコではチップはそのままサービスを担当してくれた店員の収入になる。そのため、どこの店に行っても店員は笑顔で、きびきびと動いている。

赤ちゃん連れの身としては、ベビーカーを運んでくれたり、ベビーチェアを借してくれる、などというベーシックなサービスだけでなく、離乳食に野菜のピュレを作って欲しい、メニューには無いけれどバナナを1本出して欲しい、このメニューをハチミツ抜きで作って欲しい、など様々なリクエストに対して、小さなカフェでも、高級レストランでも、嫌な顔ひとつせず、出来ることは何でもサッとやってくれるのが、とても有難い。

また、「お願いばかりして申し訳ない」と肩身の狭い思いをして店を出るのではなく、「素晴らしいサービスをありがとう」とチップを支払うことで、すっきり晴れやかな気持ちで食事を終えることができる。

チップを支払うのは店のためだけではなく、私自身のためでもあるのだ。

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店員はお金を受け取る代わりに、その自覚を持ってお金に見合ったサービスを提供する。客は受けたサービスに対してきちんとお金を支払う。

個人的にはこのマナーをとても好ましく、納得感を持って受け入れている。


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