ランジャタイを初めて見た時の話
2017年、12月。
昼過ぎ頃、M-1グランプリ敗者復活戦が始まるのを今か今かと待っていた。
長い前置きが終わり、ようやく1組目。
トップバッター、ランジャタイ。
それが、初めて見たランジャタイだった。
あまり覚えていないが、結果から言うと、とてもスベっていた。
彼らが登場し、センターマイクの前に立つ。
私は別に左の人の髪型が変だとは思わなかったし、女性だとも思わなかった。ただこんな漫才師がいるんだな〜くらいの軽い気持ちで見ていた。
そして冒頭。
「この、くそったれ人生にね〜、おさらば、ぽんぽんということで」
右の男がこんな感じのことを言った。
まずは続きをちゃんと聞いてみようと思った。
…
どうやら、なんやかんやあってヨガを紹介してくれるらしい。
どんなヨガなのだろうか。
…
いつまでたっても、ヨガをやってくれない。
右の男はずっと、
「家帰ったらやってよ?絶対やって!?まじでまじで、絶対やってよ!!約束して!!」
と、左の男に語りかけている。
既にそのくだりを8回はやっているが、3回目以降に客は飽きていた。
誰も笑っていない。
長い長い静寂が続いた。
それでも彼らは頑なだった。
ずっと同じテンションでそのくだりを続けた。
私は個人的に、同じことをしつこく繰り返す系のお笑いは好きじゃないので、とっくの昔に飽きていた。
飽きるというか、もう、漫才が始まってから1回も笑っていない気がする。
しかし不思議なことに、彼らに対して不快感は感じなかった。
「左の人のツッコミ、優しくて自然体な感じがいいなぁ…この感じを磨いてネタを練れば、伸びしろあると思うんだけどなぁ」
とか思っていた。偉そうに。
笑いこそなかったが、ちょっと応援している自分がいた。
それ以降、彼らについて調べることもなく、個人名も知らないまま終わった。
これは後に調べて分かったことだが、漫才の終わりに伊藤ちゃんが衝撃のセリフを言い放っていたらしい。
「決勝でお会いしましょう」
…
今考えるとゾッとする。逆になんでこれが私の記憶に残っていなかったのか不思議でしょうがない。
実に伊藤ちゃんらしいセリフだ。
そして2022年現在。
すっかり私はランジャタイのファンになっていた。
あの時、敗者復活戦で初めて見たあの日から、なぜ彼らを追いかけなかったのだろうと後悔する。
調べて分かったことだが、彼らはM-12017の2回戦、3回戦、準決勝で「太鼓寿司」のネタをやっていたらしい。
それでいて、敗者復活戦では今までの予選で1回も披露していない「さよならぽんぽん」のネタをぶっこんできたのだ。
怖すぎる。
私はランジャタイのネタの中で「太鼓寿司」が一番好きなので、もし敗者復活戦で「太鼓寿司」を披露していれば、その時からファンになっていたかもしれないのに…
お客さんも笑ってくれたかもしれないのに…
本当に、この人達は…
大好き。
面白すぎる。
ずっとファンでいよう。
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