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誰かを想い料理を作る 〜中国 がん専門病院 路地裏の貸し台所〜

私が好きなTV番組の1つ、
NHK『ドキュメント72時間』
2013年から放送のドキュメンタリー番組。
毎回1つの現場にカメラを据え
そこで起きる人間模様を
72時間定点観測をしています。
先日も番組の感想を交えた記事を書いています
よろしければお読みください。

今回番組では日本国内でなく、中国の江西省
がん専門病院の近くにある ″愛心厨房″。
愛心厨房を日本語に訳すと ″思いやりの台所″
こちらを72時間定点観測しています。

70代の御夫婦が年中無休で営業している厨房。
厨房と言っても番組を見ていると、
市場に隣接するコンロが立ち並ぶ広場で、
日本で見かけるBBQやキャンプ場の炊事場の
広くて屋根があるところ、という感じ。
厨房利用者はがん専門病院に入院する家族の為
食事を作るご家族たちです。

日本の病院の入院患者は、栄養士により
カロリーコントロールされた病院食を摂取。
何をどれ位食べたかをナースが確認するのが
当然で、それにより処方薬や診療も
変わってくるのが日本。
ところが、今回の番組で日本と中国では
病院食への考え方が違うことがよく分かります
番組のがん専門病院では、入院患者の殆どが
″病院食は高価だから″ という理由で、
病院食を食べません
病院食の代わりに、近くの "愛心厨房″にて
ご家族が患者のために料理を作り、
病院に持ち込みます。
患者と一緒にご家族は
持ち込んだ料理を食べていました。

番組では様々な方が料理を作りながら、
撮影クルーに話をしています。

20歳の男性は料理人を辞め、
がん罹患し入院中の父親を看病しています
その料理の手さばきは丁寧。
仕事を辞めての看病にも、笑顔で父のため
と話しています。

64歳の患者本人が自分の食べる料理を作りに
厨房に立ちます。
妻と子供は、故郷で自分の療養費を
稼いでくれている。
自分のがん罹患で子供は泣いていたけれど、
「泣くな。たまたまがんになって死ぬだけ。
 生まれてきただけで満足」
と子供に伝えたと笑顔で語ります。

今年16歳になるという少女。
咽頭がん罹患の祖父の看病と付添の祖母のため
学校を辞めている。
自身は4人兄弟長女で、
父親は仕事をせず遊んでばかりいると。
玉ねぎの皮を剥くことすら知らず、
涙を流しながら語り、
"涙は玉ねぎのせい"、と はにかむ。
この少女の救いは祖父の入院する部屋の同室に
料理人を辞めた20歳の男性の父親が入院し、
その男性が彼女の危なっかしい料理を手伝ってくれる事。
ほんのひと時、彼女に少女の笑顔が溢れる。
番組に映った笑顔に
なんとなく私の心がホッとし、
穏やかな気持ちに。

厨房に立つのは足元がおぼつかない母親と
15歳の娘さん。
娘さんは中学校を治療費が高いために、と
辞めている。
母と娘 2人の家族。
料理を覚えたいという娘のために、厨房に来て
料理を教えているのだというがん罹患中の母。
「入院中、生きていく意味がないと思い
 死のうと考えたけれど、
  娘を1日でも長く見ていたい。
 だから死ぬのを踏みとどまった」
と。
その母の側で、涙を拭う15歳の娘さん。
料理を作り終えると、母を乗せた車椅子を
娘さんが押し がん専門病院へ向かう。
母と娘は ″ありがとう ありがとう″ と
声を掛け合う。

日本と中国で病院食の捉え方の違いはあれど、
病院に入院する患者とご家族の想いは同じ。
今回番組で何人か出演した人は、15~20歳と
若くして、学校を辞めたり離職していた。
日本でも最近問題視されるヤングケアラーの
現実。
介護・看護・貧困問題は、
中国は 日本より深刻に思えました。

ナレーションの最後の言葉、
『誰かを想い、料理を作る。その営みは何よりも尊い』


今日も1日が始まりました。
自分の機嫌を取り
気持ち良い1日を過ごします。

#ジブン株式会社マガジン

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