ただ嬉しくて、でも寂しい
最近、
長期入院の赤ちゃんが次々と退院されています
それはとても喜ばしいこと。
産まれてからずっと1人で入院し
中には何度も手術を繰り返して、
様々な苦しい思いや痛みに耐えて
ようやくおうちに帰る赤ちゃん。
ご家族の元に帰り
一緒にご自宅で生きていく赤ちゃんを
心から応援したいと思っています。
ただ、私の本心には寂しい気持ちがあるのです
産まれて数ヶ月、ご両親と担当ナース、
ドクター以外は
触れることが出来ない状況にあった赤ちゃん。
少しずつ容態が安定してきて、
1日のうち1時間ほどは
私達保育士が関わることが出来るように
なれたのです。
その1時間は殆どが赤ちゃんは泣きっぱなし。
とは言え、泣く声も大きくはなく、それでも
赤ちゃんの精一杯の力を振り絞り、
「お母さんじゃないとイヤ!!」
という気持ちを身体を反らし、泣いて訴える。
Aちゃんはオストメイトで何度も手術をしていた。
※オストメイトについての記事は以前書いています。
よろしければご覧ください。
体調が優れず、何ヶ月も点滴をし続けていて
泣いたり身体を反らしたり激しく動かして
点滴が抜けることも。
Aちゃんと出会った頃は2ヶ月近く
抱っこは禁止。
身体をさすったり、
トントンと背中や足を刺激したり
歌をうたったりして、諌めていました。
Aちゃんは一瞬は泣き止むけれど
「お母さんはどこ?
お母さんじゃないとイヤ!!」
と言わんばかりに泣いていたのです。
Aちゃんの心を諌めるには到底至れず、
歯がゆい私が。
そんなAちゃんが退院した。
ずっと泣いていたAちゃん。
3ヶ月ほど前から
保育士も抱っこ出来るようになり
次第に
身体も大きくなって、
1人でオモチャで遊んだり
絵本をペラペラめくってみたり、
時折ベッド越しに見えるナースや
保育士に目を向け
にこーっと笑顔を振りまいてくれる。
退院前の1ヶ月前くらいからの成長ぶりには
驚くばかり。
お母様に抱っこされるAちゃんの後ろ姿は
私が見てきた
ちぃさくて泣いてばかりのAちゃんと
同じ赤ちゃんには思えないほど
しっかり前を向き
背中越しにも伝わる、
自分の意志をしっかりと持った赤ちゃんに
成長していました。
退院当日、私は勤務の日。
ご両親に抱っこされるAちゃんに
ご挨拶に伺えました。
「Aちゃん!」
と声をかけると いつも通りにこーっと笑って
両手を私の方へ差し出して
「ハイ、抱っこして!」
とアピールしてくれました。
「もう、抱っこしないんだよ。
今からAちゃんはおうちにかえるんだからね
いっぱい遊んでねんねして大きくなってね」
と声をかけると、Aちゃんは両手を出してにこーっと。
私はAちゃんの両手を優しく握って、
「おててありがとうね。じゃぁぎゅっぎゅって
してバイバイしましょう」
とAちゃんの手を握ってバイバイしました。
Aちゃんは手を上下に大きく揺らしてニコっと。
ご両親にご挨拶をしてお別れしました。
ただ嬉しくて、でも寂しい
これが本音です。
病院である以上、
元気になっておうちに帰ることが
赤ちゃんとご家族にとっては1番大切。
そして、幸せなこと。
Aちゃんがお帰りになった後、
直ぐ赤ちゃんの入院がありました。
病棟は多くの赤ちゃんが入院しています。
明日も私は
可愛い赤ちゃんたちに寄り添います。
出会いも別れもありますが、
可愛い笑顔が溢れる素晴らしい場所です
今日も1日が始まりました。
自分の機嫌を取り
気持ち良い1日を過ごします。
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