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誰かのため、私のため ~オストメイトと共に~

私の働く病棟には様々な疾患に罹患中で長期
入院されている赤ちゃんが何人もいます。
Aちゃんは長期入院中の赤ちゃん。
産まれた日から入院で、6ヶ月以上経つAちゃん
Aちゃんは様々な疾患と向き合っている
オストメイト。

『オストメイト』とは、
お腹に排泄のための ″ストーマ(人工肛門・
人工膀胱)″を造設した人。
オストメイトは
ストーマ用装具を装着することによって、
積極的に社会参加をすることができます。
入浴についてもストーマ装具を必ず装着する等
ルールやマナーを守って入浴すれば、
便・尿など排泄物が漏れたりすることもなく、
衛生上の問題はありません。

先日らじるらじるにてオストメイト当事者の
中島小百合さんが当事者としての経験を
語っていらっしゃいました。
中島さんはオストメイト手術後、とても辛くて自宅から出られずにいた時、世界で約22万人
のオストメイトがいることを知ります。
海外のSNSにオストメイトコミュニティーが
あり楽しそうにしている写真の投稿を見て、
「しょんぼり生きていかなくてもいいんだ!」と思えたことがきっかけで英語の発音指導、 音楽関係通訳、翻訳家として活動されています

真ん中で微笑むオストメイトの中島さん

そして医師であり日本初のオストメイトモデル
エマさんを知りました。


← 医師でありオストメイトモデルエマさん
→ おへそ近くにストーマ装着されています


話をAちゃんに戻します。
Aちゃんに私が触れられるようになったのは、
3ヶ月ほど前。
それまで保育士は触れない状態でした。
Aちゃんの状態が安定し、保育士の触れる許可
がおり少しずつ触れられるようになりました。
Aちゃんは人懐っこくて興味関心が高いです。
初めてAちゃんと会い、抱っこすると
大泣きしていたAちゃんは泣き止んで、
ずっと私をジーッと見ていました。
その後Aちゃんは何度か手術を乗り越え、
現在はお洋服を着ていると
外見上でオストメイトの赤ちゃんとは
わかりません。

ご両親は毎日5時間以上面会されAちゃんに
寄り添い続けていらっしゃり、
Aちゃんは とても愛情深く育っています。

Aちゃんは絵本が大好き。
少し前まで何ヶ月も点滴を打っていたため、
なかなか自由にならなかった手が点滴から解放されて自由となり、
今は私が読む絵本を自分の手でページをめくり
好きな動物の絵を手で触っては私の顔を見て
「ね!これいいよね!」
と言いたいような素振りで満面の笑顔を
してくれます。

さかのぼること3ヶ月前、
ご両親から、
″Aちゃんとどう遊んだら良いかわからない″と
ご相談を受けました。そして
″ 保育士さんがどうやって
Aちゃんと遊んでいるか見せてほしい ″
とご希望が。
私がAちゃんとうたをうたうと
お母様お父様一緒に自宅でうたを練習されて
翌日からAちゃんと一緒にうたったり、
私が読む絵本を興味深くみつめるAちゃんを
見て、ご両親は
“こんなに絵本に興味をもっているなんて!″
と大変喜ばれ、
翌日から毎日絵本を読み聞かせされることに。

それから3ヶ月。
Aちゃんは絵本大好き・うたも大好き、
沢山のこと・人に興味関心を持つ、
笑顔の可愛い赤ちゃんに成長しているのです。

記事にオストメイトとしてご紹介したお2人に
話を戻します。
お2人共に周囲からの偏見や差別意識により、
深く傷つき辛い経験を語っていらっしゃいます
しかし、現在はお2人共に仕事を持ち、
オストメイトとして、公の場に積極的に話す
機会を設けていらっしゃいます。
以前ならばオストメイトを隠したかったけれど
過去の自分が苦しく辛かったからこそ、
″誰かのために勇気と希望を伝えたい″から
今は積極的に話すのだ、と。

私は病棟でAちゃんを毎日抱っこし
寄り添わせていただいています。
Aちゃんのために寄り添っているけれど、
Aちゃんとご家族様から、
愛情深く育てることの大切さ•尊さを
学んでいます。

今日もAちゃんのご両親から託された愛情を
ご両親がお帰りになってから、Aちゃんに
たっぷり注ぎます。

自分のしていることが自分のためだけでなく、
誰かのためになっているならば、
とても幸せです。

今日も1日が始まりました。
自分の機嫌を取り
気持ち良い1日を過ごします。

#ジブン株式会社マガジン

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