中国共産党はいかにして国を統治しているか


中国共産党の党員数は9千万人(家族を含めると2億7千万人)で、人口の7%を占めます。
この7%の人が国を動かしていると言っても良いでしょう。全国人民代表大会(国会)の議席の約7割が共産党員と言われています。また、党員の予備軍として中国共産主義青年団(共青団)があり、団員数は9千万人です。共青団に入ることは、将来党員となり幹部になるための重要なルートの一つと考えられています。彼らは共青団で培われた人的ネットワークを持っており、党員になってからもそのネットワークを活用します。

共産党の最高機関は党中央委員会で、常務委員会のメンバー7人(チャイナ・セブン)が実質的に政策を決めています。
党中央委員会の下部組織として、省(直轄市・自治区)党委員会/市党委員会/県党委員会/鎮党委員会/村党委員会というように、中央の党委員会とほぼ相似形の組織が全国に張り巡らされています。党中央委員会の決定事項は、上記の各階層の党委員会を通じて下部に伝達され、特に重要な事項は各階層の党委員会で勉強会が行われます。
ご存知の通り行政組織の長である省長、市長などは、党の序列では2番目で、党書記がトップです。

党員は非常に勉強家です。私が会った県(日本の市に相当)のある局のトップは、着任後半年の若い女性でしたが、担当分野の主要な数字は全て覚えており、黙って聞いていれば1時間くらいは書類を全く見ずに話ができたと思います(時間的な制約もあり、私は20分ほどで話を止めてもらいました)。

もう一つ例を挙げましょう。私が駐在していた市(人口7百万人)で、外資誘致のための会議があり、その市に進出している外資企業も招待されました。会議は市長の主催で市長(党のNo.2)は話もしますが、会議で配布された資料は書記の指示のみです。資料をそのまま読めば30分程度で終わるものですが、書記の話は1時間半に及びました。書記は、資料に書いてある項目順に話を進めていきますが、一部については具体的な数字や事例を出して話すので、必然的に時間がかかります。習近平主席が3時間演説をしたという新聞記事を読んだことがあると思いますが、党の指導者は、中央から末端に至るまで長時間演説することに慣れています。また、多くの場合、原稿なしです。しかも、細かい数字がすらすらと出てきます。現場にもよく足を運んでいます。このように、党員は若い時からそれぞれの階層で日夜勉強を続け、その上党内の権力闘争を勝ち抜かなければなりません。このような党員相手にビジネスをするのはタフだということが分かると思います。

会社の役員に同行してある省の副省長と会った時のこともついでに紹介しておきましょう。この副省長は、実務派として知られた人でしたが、面談の話題は国際経済・金融情勢から会社の経営方針に至るまで幅広く実務的で、世界的に見ても十分通用する経営者の見識を持っていました。

このように、党は国家レベルから地方レベルまで広く現実に即した情報収集のネットワークを張り巡らせており、多くの党員は懸命に勉強しています。これが党のグリップを強力にしている訳です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?