第2部 6. 利益管理・原価管理(2)

② 在庫は悪である
過剰な製品在庫や仕掛品は最悪、過剰な原材料在庫は悪です。
まず製品在庫ですが、一旦作ったものは元の原材料に戻すことができません。長期在庫になれば品質は劣化し、在庫管理の手間が増え、倉庫の保管料はかさみ、会社の資金繰りを圧迫し、たたき売りすれば利益が減少します。期末には評価下げのリスクもあるし、盗難リスクもあります。損害保険料も増加します。一つも良いことがありません。工程中の仕掛品を過剰に持つことも過剰製品在庫同様のデメリットがあります。更に工程中に仕掛品が多いと、作業員の動線が長くなって作業効率が低下し、事故の原因にもなります。
基本的には原材料の在庫も製品や仕掛品と同じですが、別の製品に加工できる可能性があるだけマシです。

この考え方がトヨタ自動車のカンバン方式であることはご存知でしょう。カンバン方式のコンセプトを応用して生産から流通までの在庫管理やプロジェクトのスケジュール管理を、小説の形で分かりやすく解説したのが、エリヤフ・ゴールドラットの一連の本です。まず、「ザ・ゴール」を読むと良いでしょう。必要に応じ「ザ・ゴール2」、「チェンジ・ザ・ルール」、「ザ・クリスタルボール」、「ザ・チョイス」、「クリティカル・チェーン」、「何が会社の目的を妨げるのか」(いずれもタイヤモンド社刊)を読むと理解が深まります。
カンバン方式を評価しない人の中には、サプライチェーンが災害などで影響を受けた場合には生産がストップして損が出ると言う人もいます。ですが、これは一時的なものであり、中長期的に見て過剰在庫を持つことのデメリットの方がはるかに大きいと考えています。

なお、製品在庫の適正水準は、事業(本)部が決めましょう。事業損益の最終責任は事業(本)部にあり、工場サイドにはないことを社内的にはっきりさせておきましょう。


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