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エレキギター始めてみたchp2「大事なこと」

私『カッコつけ』だ。
エレキギターを始めることにした。
初心者用の教則本を購入するため、仕事帰りに書店へ寄り道した。
1冊手に取り、ざっと目を通した。楽譜や記号はさっぱりわからない。
目を通しているうちに、若い頃聴いていたバンドや歌手を思い出した。
「あの曲が弾けたらなぁ。」「あの曲もええなぁ。」

夕食後、テーブルで最初の項目「はじめるまえに」を読む。
ギターの各箇所の名前と役割。
ギターの持ち方と弦の押さえ方。
ピックの持ち方。ストロークとピッキング。
それぞれ写真付きで説明してくれている。
ここはさっと読み飛ばす。実践で覚えていくタイプだ。

息子の勉強机を借りて、まずは「チューニング」
窓ガラスに反射した自分が映っている。
白髪まじりのおっさんが右手にピックを持ち、束ねた古新聞に右足を乗せ、薄笑いを浮かべてエレキギターを構えてる。
なんだかお尻がこそばゆい。

初心者用10点セットの中にクリップチューナーがある。
音感のまったくない自分でも、すんなり合わせれる。
「これでチューニングも楽勝やな。」
本を開き、ギターにチューナーを取り付ける。
6弦から合わせる。
「むむむ・・・どっちに回すの?もっと回すの?もしかして逆か?」
ごめんなさい。弁えます。

全部のチューニングがやっと完了した。
ふたたび本を開いて次は「パワーコードを弾いてみよう」
パワーコードって初めて耳にする。
そのくせに、少し知っただけで「ちょっとギターかじってます。」って
エエかっこしたくなる。
「TAB譜」と言うのも初めて知った。
楽譜が読めなくても、弦を押さえる箇所がひと目でわかる。
「これがあったら楽勝でギター弾けるやん。」
楽譜の下に書いてあるTAB譜と指版を交互に見る。
「人差指で・・・6弦の・・・7フレット・・・」
「薬指で・・・5弦の・・・9フレット・・・」
TAB譜と指版を何度も何度も往復する
ごめんなさい。身の程知らずでした。

なんとか弦を押さえて弾いてみた。
「♪ビリビリビリ~ン」音がビビる。
『♪ビリビリビリ~ン」余計な弦まで鳴ってしまう。
もっと簡単に出来ると思ってたのに。
読み飛ばした「はじめるまえに」を読み直す。
写真を見て試行錯誤を繰り返し、何度も弾いてみる。
慣れない指の形のせいで、手も腕も痛くなってきた。

「う~ん・・・キレイに鳴らん。」
ふと窓を見た。
仏頂面したおっさんが映っている。
口がへの字に曲がり、額にシワを寄せている。
「ふっ・・・ダセぇ」笑けた。
大事なことを忘れていた。おっさんに言ってやった。

『カッコつけろ』

「♪ジャラ~ン☆彡」
初心者セットの小さなアンプから、気持ちのいい音色が鳴り響く。
白髪まじりのおっさんの顔が、プレゼントをもらった子供のようになる。

「さぁ、次のパワーコードは・・・」











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