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一時的にGAFAMから距離を置く理由

以下の6つのイベントが近いうちに表面化するかもしれないから。

理由1:統計的に8-10月は下がるから

理由2:好景気・物価高・金利低下が共存しているから(異常事態)

理由3:テーパータントラムのリスク

理由4:決算前後で買われ過ぎ(アマゾン株価、年内高値更新はまず難しい)

理由5:投資家センチメントが過度に楽観(巨像と化した個人投資家が目一杯株式投資している状態)

理由6:GAFAMの独占やり過ぎへの制裁がそろそろ出るかも?


理由1:統計的に8-10月は下がるから。これは簡単。プロならだれでも知ってる経験則。月別パフォーマンスでいちばん悪いのが9月。8月、10月も褒められたものではない。ここ数十年でもそうだが、大昔まで遡ってもこの3か月のパフォーマンスはへたするとマイナスである。裏を返せばここで下がった場合、絶好の仕込み場となる確率が高い(セルインメイの下の句(聖レジスデー辺りに戻ってこい)もそう言ってる)。

しかも、今回は他の条件もかなり揃っている。例えば

理由2:好景気・物価高・金利低下が共存するような異常事態である。これは早晩正常化する。つまり、近々金利上昇か成長率鈍化のいずれかが発生するということである。普通、好景気で物価高なら金利は上がるが、物価高は一時的だから金利は上がらないのだという。性善説では、潜在成長以上の経済成長をしながら物価が鎮静化するというのだが、それはかなりのnarrow path(実現困難)だと思う。今も商品市況は資源、非鉄金属、穀物等、かなりの高値水準に上りつめていてモノによっては1年後のCPIも高いことを確定的にしている。インフレ圧力は近年まれにみる水準まであがっているということである。未曽有のバラマキを実施したアメリカ経済はそれに耐えうるかもしれないが、アメリカ以外の国はマージン圧力を受ける製造業を中心に株式相場が崩れそうだ。とりわけ、中国、日本といった加工貿易国へのダメージは大きい。まず、株価が世界経済への悪影響を織り込む可能性が高い。アメリカとてまったく無傷ではいられない。

理由3:テーパータントラム(Taper tantrum)のリスク

景気回復と物価上昇を受けて、FRBが利上げに向けた議論を開始しようとしていることもリスクである。従来なら既に利上げしていておかしくないレベルの景気&物価動向。景気失速懸念(株式市場の急落)でもない限り、テーパリング、利上げの手順が早ければジャクソンホールで示される公算だ。今のマーケットはそれに耐えられるかどうか不透明であり、場合によってはバーナンキ時代と同様に株価急落に見舞われる可能性がある。もはやジャクソンホール前にリスクオフが具現化する可能性の方が高まっているように思える。

理由4:決算前後で買われ過ぎ(アマゾン株価、年内高値更新はまず難しい)

昨年特需のあったソフトウェア企業のトップラインは4-6月期に明らかに鈍化しているにもかかわらずバリュエーションは低金利を理由に更に割高水準まで押し上げられている。典型的なのが危惧していた通り昨年特需のオンパレードだったアマゾン(AMZN)。プライムデーを11月から6月に前倒しする工作を施したにもかかわらず、売上は伸び悩んだ(実質1-3月期比マイナス)。更に7-9月期の売上ガイダンスは減収(前年同期比13%増程度)の見通しである。もっと言うと10-12月期には昨年あったプライムデーが無くなり、ほっておくと前年同期比増収すらおぼつかない有様だ(おそらく似たようなキャンペーンを作ると思われるが)。利益率を上げることで減収増益決算になると思われるがその程度であれば、AMZN株価が年内高値を更新することはかなり難しいと言わざるを得ない。また、パブリッククラウドやハードウェア系は好調が伝えられているが、これらはサービスに遅行するので今描いている成長曲線は、今後下方修正されると考えるべきであろう。株価はこれを見越したプライスアクションが危惧される。つまり、超低金利でディフェンシブになるはずのITセクターがピークデジタルで頭を抑えられそうだということ。

理由5:投資家センチメントが過度に楽観(巨像と化した個人投資家が目一杯株式投資している状態)

個人投資家比率が急拡大していることは再三報道されている通り。例えば、2021年第1四半期に新規開設された個人投資家口座が2020年通年に匹敵するとか個人投資家の売買比率が3割に近づいている等。相場の変動率(ボラティリティ)が上がってしまっている一因であることは言うまでもない。そして個人投資家やヘッジファンドの株式投資ポジションは現在ほぼフルインベストメント状態になっている。従って、何かショックがあった場合、下げ率が大きくなる可能性は高い。

理由6:GAFAMの独占やり過ぎへの制裁がそろそろ出るかも?

実は、これが一番大きなリスク。但し私の妄想の域を出ない可能性も低くないので話半分にしていただきたい。

GAFAMは米国のキャッシュカウであり、その意味で米国内から根本的な独占構造改革が実施されることはないと考えている。一方、中国が昨年11月以来、自国のプラットフォーマーの独占構造にメスを入れている最大の目的はGAFAMの独占を引き剝がす或いは中国国内に侵入できなくすることではないかと考えている。既に8か月が経過しており、その間、個人情報を多く扱うIT企業からたくさんデータを収集して、国家としてどう管理すれば、中国IT企業の収益性が損なわれず、且つGAFAM対策にもなるのか、そんな感じのプラットフォーマー規制。そろそろ骨子が固まっているころではなかろうか?仮にいいアイデアが含まれていれば欧州各国から追随する可能性があろう。



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