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今でも覚えてる過去の仕事で酷かった話

・退職届の意味

その昔20代の頃にとあるゲーム会社に転職したのですが、そこであった納得できない事を今でも覚えているので書き残しておこうかと思います。もっとも、昨今のブラック企業とかの話題に比べれば相当にヌルいお話ですが。

その会社は九州方面にあった会社ですが、大手メーカーからの出資を受けて東京で開発をする事になったらしく東京で開発人員を募集していました。それに応募して採用された訳ですが、この会社(というか社長と役員)がかなりアレな会社で、そこから一年程で怪しい感じになって行きます。

具体的に言うとローンチに出すはずだったタイトルが全く完成せず進捗も全くダメで、会社が資金繰りに窮していたようです。

そのタイトルが進まなかった原因は前述のメインプログラマーだった役員で、過去にそれなりに有名なタイトルを作った人のようですが、その当時は仕事をしない上に虚言癖のある相当問題のある人間になっていました。

ちなみに、この当時開発が進まないのは当方が原因だと役員は社長に言っていたらしく、理不尽に社長から数時間説教されたのを覚えています。若かったので役に立っていたかは微妙ですが、少なくとも何の権限も無い新人が開発遅延の原因だというのもおかしな話です。周囲の同僚もその辺は社長に言ってくれていたようですが、社長は耳を貸さなかったようです。

資金がショートした会社がやる事と言えばリストラです。私も含め、数人に会社を辞めて欲しいと個別の面接で言われました。その中にはこのタイトルのために九州から上京させられた人もいて、会社の処遇に相当憤慨していたのを覚えています。

「辞表を出して欲しい」と言われ数日後に持って行ったのですが、渡す寸前に何か違和感があって一度辞表を引っ込めました。その時に社長が焦りに似た表情になったのを今でも覚えています。結局、その違和感の理由が分からなかったので数秒後に渡してしまいましたが、これが誤りだと気づいたのは相当時間が経ってからでした。

当時若かったのでその辺の常識を知らずに辞表を渡してしまいましたが、会社都合の退職は別に辞表を出す必要はありません。逆に辞表を出してしまうと自己都合退職になってしまい、失業保険の支給が3か月後になるなど色々な不利益が生じます。後で知った事ですが、会社都合退職者を出すと国から会社への補助金等も無くなるらしく、そのための退職届でもあったようです。

つまり、違和感は正しかったのです。この一件から違和感や直感を重視するようになりました。必ずしも正しい訳ではありませんが、理由を調べる価値は十二分にあります。

一般的に会社都合で退職させる場合、会社に人件費削減以上のメリットはおそらくありません。自己都合退職にできれば他の様々なメリットが会社に発生しますが、逆に退職者にはデメリットが発生します。こんな当たり前の事が若かった当時は分からなかった訳です。この件に気づいてからは流石に色々と調べるようになりました。

・・・・・

・後日譚

紆余曲折あって、数年後に最終的にこのタイトルを発売する事になる会社に入社しましたが、驚くべき事にそのタイトルはまだ完成していませんでした!(笑)

その後、流石にあきれ果てた出資者側がメインプログラマーを別の人に入れ替え、その役員をプロジェクトから外す事で完成し発売される事になります。

この経緯を見ても誰が問題だったのかは疑う余地がありません。少なくとも当方が原因だという事は在り得ません。会社を去ってから数年経っても完成しなかったのですから(笑)

ちなみにこの会社、当たり前ですが既に存在しません。この件から数年後に倒産しています。倒産後、件の役員は他社に転職したようですが、そこでも全く仕事をせず大問題になったという話を聞きました。その他にも過去のタイトルを餌に出資させて結局何も作らないという詐欺まがいの事を繰り返していたとも聞きます。

昔はそれなりだったのかもしれませんが、当時は既にただの迷惑な人になっていました。過去のタイトルを好きだった人は何も疑わずに尊敬して騙されますが、作品と製作スタッフの人格は分けて考えるべきです。

何より、人は時間と共に変わっていきます。正しく歳をとるのは思いの外難しいのです。

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