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ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#241

フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒のために作成したオーディオ・ブックですが、HNSの卒業生や看護師を志す人、現役の看護師の方々の他、引退された看護師の方や教育に関心のある方々など、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。

#241 :小説の誤りに関する所見(第1話)

小説は紋切り型の通俗的な誤りや、人々の無知を普及させるのにひと役買っている。そして今では、あらゆる階級の非常に多くの女性読者層をつかんでいる。小説で最も多い誤りをいくつか挙げてみよう。

その1、回復期の喜び
小説で語られるような形で、急速に回復する人は非常に変わった体質であるに違いない。今日では高度に文明化された大都市に住む中年の人々にとって、重病からの回復が、真の回復である場合は稀である。

回復はしばしば再発により遅々として進まず、戦い以外の何物でもなく、時間がかかり、決して楽しいものではない。
回復期の患者をくじけさせることなく、力になって励ましていく事は、看護師の最も難しく、重要な仕事の1つである。患者が喜んでいたり、くつろいでいたりと決めつけるのは愚かである。

熱中できるような関心事や愛情が持てない時、患者は気力の湧かない人生に引き戻されたことを後悔することが多い。一方、このような関心事や愛情にとらわれた時は、感情は自分の力に余ると思う仕事を成し遂げるために、痛ましいほど努力をする。
(2024年4月15日配信)

フローレンス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年・近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。


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