見出し画像

ナイチンゲール『看護覚え書き』を聴く#076

フローレンス・ナイチンゲールが著した『看護覚え書き』のオーディオ・ブックを配信します。HNS(=防府看護専門学校)の学生・生徒だけなく、卒業生や看護師を志す、すべての人に向けた配信です。ご自由にお聴きください。

#076 :患者は看護師から自分を守る    

   「ガタガタ」と音を立てないと、窓が開けられない看護師がいる。また、持ってくるものを忘れたため、何回もドアを開け閉めして出入りする看護師もいる。

看護師が部屋に入ってくるたびに恐怖の表情を見せる患者がいた。看護師が暖炉の火掻き棒などにつまずくからだった。

またそのような看護師が部屋に入ってくるまでに、這うのもやっとの患者がベッドから起き出して、看護師が蹴飛ばしそうなものを全て通り道から退けて窓を閉め、後で必要になりそうなものを皆隠しているのを見たことがある。

優れた看護師ならば、病室のドアや窓がガタついたり、軋んだりしないように、また窓からの風が変わったために、ブラインドやカーテンがパタパタしないように気を配り、特に夜に患者の部屋を離れるときには、この全てに注意を向けることだろう。

患者に言われるまで、あるいは患者を見て気づくまで何もしないと言うのでは、看護師をつける意味がないではないか。階級にかかわりなく、やかましい患者よりも内気な患者の方が多いし、看護師が忘れていることを毎晩注意したりせず、悶々と不快な夜を過ごす人の方が多いのだ。
(2023年8月4日配信)

フローレス・ナイチンゲール(Florence Nightingale):1820年-1910年:近代医療統計学および看護統計学の始祖。近代看護教育の母。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?