ちいさな庭だより。2022年4月号。

[intro]
 いよいよ本格的に春、である。そして植物たちにとっても、わたしにとっても、文字通り「新生活」の始まり。植物たちが一気に芽を吹き蕾を上げて、どこか殺風景だった街なかのちいさなスペースが、あっという間に新たな庭になった。
 
[引っ越し完了…農園から裏庭へ。]

 昨年の晩秋から進めてきた庭の引っ越しが、ようやく一段落。日当たりや風の吹き方、雨の具合など、実際に鉢を置いてみなければ分からないことが多く、運び入れてから何度も配置を変えたりして、やっと落ち着いたところだ。農園と呼べるほどのものはベリー類とハーブくらいになってしまったので、今後は裏庭(実際に住まいの裏なので)からの便り、ということになる。
 

 新たな環境で最初に花をつけたのは、昨年5月の野点の際にいただいたタチツボスミレ。鉢がちいさいのですぐ土が乾いてしまうのだが、水をやるたびにたくましく復活してくれる。土用が明けたら一回り大きな鉢に植え替えの予定。その後アリアケスミレもあっという間に育って、花をつけている。ニオイスミレは花が終わって、種が芽吹きはじめたところ。この街なかのささやかな場所まで、またツマグロヒョウモンが来てくれるだろうか。ちなみに以前お伝えしていた蛹たちは冬を越えられなかったようだ。とても残念。次の機会があることを密かに願っている。
 

 ベリー類は野イチゴ、クランベリー、ブルーベリーもなんとか2鉢引っ越した。野イチゴとブルーベリーは目下花を咲かせている。クランベリーはこれから。持ち出すかどうか悩んでいたフサスグリ、相変わらずひとつだけだが思いがけず花をつけたので、引っ越すことにした。今は緑色の実がぶらさがっている。ブラックベリーは昨秋からカイガラムシの被害が深刻で、手放すつもりだったのが、今月に入り復活してきたので考え中。鉢が古くなっているのも気になっているので、植え替えてから持ってくることになりそうだ。花芽が上がってきたのだが、下旬の強風で折れてしまった。実は収穫できなさそう。でもまたいずれ、ということで。
 

 鉢が激しく割れたのに加えて雪で折れまくったホワイトセージ、植え替え後にふと見ると、根元からちいさな芽が多数出ていて驚く。ハーブ類はこの他コモンセージ、クレベランドセージ、コモンタイム、ワイルドタイム、パクチー、マジョラム、チャイブ、イタリアンパセリ、エルダーなど。ヨモギやミツバも。ローズマリーは隣接するご近所さんの敷地に、了解をいただいて置かせてもらうことになった。今は3種とも花を咲かせている。先日はお子さんの「お花咲いてるよ!」との声が聴こえてきて、和んだ。お世話になります。
 

 恒例の交換会でやってきたエリゲロンやフタリシズカ、ホタルブクロなど、またセンスオブワンダー活動で引き受けたアジュガも元気だ。アスチルベはうどんこ病のような葉をしているものの、花芽と思われるものが上がってきており、薬剤散布をして様子を見ているところ。もともとが地植えだったから、鉢では窮屈でストレスになっているのかもしれない。それでも我が家にある中では比較的大きい鉢なのだけれど。
 もともとこの場所にある鉢との組み合わせも考えつつの作業は、悩ましくもたのしいものになった。今後在来の植物たちも紹介できればと思っている。また、こちらの心配をよそに、引っ越した植物たちが比較的どれも元気そうなのも喜ばしい。転地療法的なこともあるのだろうか。
 

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