ちいさな庭だより。2020年4月号。

[intro]
 
自主的蟄居をはじめて、およそ1か月。病のことやら今後の見通しやら、不安の種はなくならないけれど、とりあえず時間だけはあるので庭の整理整頓を進めている。夏椿の若い葉の緑が、まぶしい。車庫をはさんでその向こう側、外庭のレッドロビンの赤もまた。わたしたちは何かと右往左往しているけれど、植物たちはそれぞれに、ちゃんと季節の巡りを嗅ぎ取って、どんどん育ってゆく。こんな折だけれど、その姿を見て少しだけ口角が上がる。 
 
 
 

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[畑のこと…よしもと農園の、今月のヒトコマ。]
 
 中旬までなんとなくうすら寒い日が続いていたけれど、できるときにやらないと先延ばしにするばかりではかどらないな、と思い、よっぽどの天気でない限り、月の前半は庭に出て何かしらの作業にあたった。
 まずは内庭の畑の草むしりから。ソーシャル・ディスタンシング、ということで、ひとり黙々と。そして土を起こして、だいたいの畝をつくる。今年はあまり種類を欲張らないつもりでいたのに、いざ苗を買いにでかけると、ついあれもこれも、と目移りしてしまう。地植えの方がいいとわかってはいるけれど、それでは少々手狭になるので、父が自作した木製の大きめのプランターも活用することにした。
 プラスチックのプランターには、すでにいちごの苗がいくつか植えてあるのだが、それ以外にランナーで広がった苗が畑のあちこちにあるので、かつて父がしていたように集めて植えつける。下旬にはすでに白い愛らしい花を咲かせている。グリーンカーテン用の竿などはすでに撤去してあるので、部屋の窓からも様子が分かってよい。
 山菜を好んだ父は、野蒜や三つ葉、またこちらではヨシナと呼んでいる蟒蛇草を庭の片隅やプランターに植えていた。それらを木通の根元に移植して、山菜コーナーに。
 何が植えてあるのかよくわからないプランターや鉢は、すべて一旦空けてみることにした。土をふるいにかけて古い根などを取り除き、いつもより少しだけ丁寧に整理する。放置していた一部のプランターには、赤紫蘇が芽吹き始めていたので、玄関先から持ってきたラベンダーやアルテミシア・ルドビシアナの近くに、そっと移植。ただ植えるのでもいいかもしれないが、せっかくなら窓から眺めてもこころうれしくなるような配置にしたい。もちろん、日当たりや雨のあたり具合など、植物にとっての居心地もそれなりに考慮して。

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 実ものはブルーベリーが花を咲かせている。フサスグリは今年も一房のみ。どうすれば実つきが良くなるのか、さっぱりわからない。ブラックベリーはいよいよ枯れてしまったかと思ったのだけど、根元から新しい葉が出てきていたので、植え替えて様子を見ることに。なんとなく花がつきそうな気配もある。クランベリーはようやく葉に緑色が戻ってきた。

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 そして、先月号でふれた、杏である。まさかの結実。10コあるかないか、といったところだけれど自家受精した、ということかな。今後がたのしみ。葉が繁ってくるので、見失わないようにしなければ。

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