「なぜぼくが新国立競技場をつくるのか?-隈研吾」を読んで

要旨:ザハ案が前代未聞の事態で撤回され、火中の栗を拾うことになったA案、隈研吾さんの新国立競技場を設計するに至った歴史と、設計に込められた文脈や意図、加えて、隈さんの仕事の姿勢、建築家としての仕事のあり方を赤裸々に書いた本。

心に残ったキーワード
 ・受け身で戦う。
 ・コンクリートから木の時代に変わる。
 ・ロジックより無口。
 ・20世紀的なコンクリートと鉄で時代を統合した繊細で目配りのできた巨匠、丹下健三の代々木体育館。第一世代の丹下から、第2世代の磯崎、槇、黒川、第三世代の安藤忠雄、伊東豊雄。ここまでは、アーティスト的であり、20世紀的。その先鋭がまさにザハ。
 ・21世紀の五輪となる競技場が、20世紀的でいいのか?実はテーマは「人にやさしく、誰もが安心して集い、競技を楽しむことができる」「周辺環境と調和し、最先端の技術を結集し、我が国の気候、風土、伝統を現代的に表現する」「地域の防災に役立ち、地球全体の環境保存に貢献できる」の3つがスタジアムに課された条件。これから、「木」を使うことを直感。
 ・建築家の役割は、究極的には「調整。建築の本質が、「調整」。それぞれが納得して使える建築を作るための「調整」。「調整」こそ、一番クリエイティブな作業。


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