ネコゴコロとヒトゴコロ その9
ひっくり返る
猫はからだが柔らかいせいか、「なぜその場で、その姿で?!」と思わず
呆れてしまう寝相を見せてくれます。ひっくり返って“でれ~ん”とお腹を見せて熟睡しているその寝姿はあまりにも無防備で、思わず顔がほころんでしまうこともしばしば。
実は、会話においても正しい寝姿、いや、正しい文法でしゃべるばかりが能ではないときがあります。言葉をひっくり返したほうがインパクトがあって、相手の印象に残りやすいからです。
その例が『倒置法』。
A「それ、すごいね!」
B「すごいね、それ!」
AとBを声に出して言ってみれば違いはすぐにわかります。
断然Bのほうが印象に残ります。『倒置法』を使って、言葉をひっくり返すと、強調したい言葉が先に耳に入ってくるのでインパクトが大いに違って聞こえるのです。
しかも、こちらが感心したり絶賛していることが相手にも伝わりやすいので、発言者に対する相手の好感度もグッと向上します。
誰だって自分の話を好意的に、しかも熱心に聞いてもらえていると知ったら、嬉しくて心が弾みますものね。「もっと話をしていたい」「一緒にいたい」という意欲も高まります。
『倒置法』を使う際に大事なのは、言葉と表情が一致していること。いくら「すごい!」を強調しても、それに見合った表情をしていないと、相手が違和感や不信感を抱くからです。
ひっくり返ってお腹を見せて寝ている猫だって、いかにも気持ちよさそうな表情を浮かべているからこそ微笑ましく思えるのであって、苦悶の表情を浮かべていたら逆に心配になってしまいます。
それと同じで、「すごい!」と口では言っていても、表情がそっけないと
効果が半減するどころか、「この人、本当に感心してくれているのかしら」と不信感を覚えさせてしまいます。
自分の気持ちを正しく相手に伝えたいのであれば、言葉に感情を込め、時には身振り手振りも加えながら表情豊かに話すことが大事だということです。
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