【出し遅れの証文】今頃になって防衛予算の「事項要求」はズルいと言い出した記者クラブ、朝日新聞


防衛省、金額示さぬ「事項要求」100項目超 長射程ミサイル運用も
https://digital.asahi.com/articles/ASQ8N74L0Q8NUTIL004.html


>防衛省は来年度予算案の概算要求で、今年度予算比で約4千億円増となる5兆5千億円超とは別に、要求金額を示さない「事項要求」を100項目以上盛り込む方向で調整に入った。

>事項要求は、大まかな予算を要求する概算要求で、例外的に金額を定めず項目のみを盛り込むことが認められたもの。政府は2023年度の予算で、防衛や少子化対策などを対象とすると決めていた。

>全体で100項目以上にのぼる「事項要求」を盛り込む方針だ。同省では、事前に見通しの立ちにくい米軍関係経費を除けば事項要求は例年ほとんど盛り込まれていなかった。

>多数の事項要求が入ることについて「実質的には青天井となる。盛り込めるだけ盛り込んだ可能性がある」との見方もある。

>事項要求はコロナ対策などで認められてきたが、不必要な予算が多く計上されたとも指摘される。乱発されれば予算の膨張につながり、財政規律が損なわれかねないとの懸念がある。(成沢解語)

他の省庁は知りませんが、「事項要求」は第二次安倍政権から使われ始めた手法です。「事項要求はコロナ対策などで認められてきた」という記述は読者を誤らせる記述です。

事項要求の何が問題かというと、第一に金額を入れずに安易に要求を出せる。第二に金額を入れないので、財務省の査定が甘くなる。第三に概算要求金額を実際よりも小さく見せかける事ができます。新聞の見出しで「概算要求5.3兆円」でも事項要求の金額が3千億円ならば、本来5.6兆円の概算要求を過小に見せることができます。
これはある意味、納税者に対する情報操作と言えます。

普通の人は見出しに「5.3兆円」と書いてあれば、それをそのまま信じます。


これは第二次安倍政権から始まった悪癖であり、行政の透明性を危うくするものです。
それを記者クラブがグルになって報道しなかったといっていいでしょう。それとも第二次安倍政権まではそんなものはなかったわけで、この政権から官僚が急に無能になったのでしょうか?

実際にぼくは幾度となく事項要求に書いてきたし、大臣会見でもこれまた幾度となく質問をしてきました。当然ながら防衛記者クラブの記者もそこで認識をしたはずですが、後追いで記事を書かなかった。フリーランス風情の後追いなんぞしない、というプライド故か、
事項要求の問題点に気が付かなかったのでしょうか。そして今頃になって事項要求を問題にしている。いずれにしてもジャーナリストとしてどうかと思いますよ。

間抜けなんじゃないですか?

その程度の記者クラブの記者が、非会員やフリーランスを会見やレクチャー、その他の取材機会から締め出しています。このような報道アパルトヘイトにしがみついて、国民の知る権利を奪っているのは民主国家の基盤を脅かしていると思います。

今週の週刊ダイヤモンドの自衛隊と軍事産業特集。期待していなかったのでが大変面白いです。


軍事ビジネス&自衛隊 (週刊ダイヤモンド 2022年 8/27号) [雑誌] - ダイヤモンド社, ダイヤモンド編集部

Japan In Depth に以下の記事を寄稿しております。
10式戦車の調達は陸自を弱体化させるだけ(上)
https://japan-indepth.jp/?p=63876
10式戦車は生き残れない(下)
https://japan-indepth.jp/?p=68931


■本日の市ヶ谷の噂■
かつて陸幕の防衛部長が国産水陸装甲車を導入し、AAV7は第7師団転用と主張、との噂。

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