防衛費増大は安倍晋三の嘘隠しの煙幕
防衛費を5年で43兆円まで上げるというのは安倍晋三の保身のためです。
日本の防衛環境を憂いていたのであれば安倍政権時にもっと防衛費を増やしていたはずです。ですがそれを安倍晋三が言い出したのは、菅政権がレームダックになってからです。
恐らく安倍晋三総理辞任は潰瘍性大腸炎ではなく、アベノミクスの失敗です。自称保守派が礼賛した社会実験だった「アベノミクス」は大失敗でした。円安誘導で輸出を増やして、インフレにすれば消費者は我先に消費をして景気は拡大、10年でGDPは600兆円、個人所得は150万円増えるというのは全く実現できませんでした。
そして増税と社会保障費負担の激増です。アベノミクスが成功しているならば税収も増えて社会保障費負担を増やす必要はなかったでしょう。
そして安倍晋三は唐突に防衛費をNATOの目標と同じGDP2パーセント、二倍にすると言い出しました。ではその時点で急に安全保障環境が変わったのか?そんな事はありませんし、本当に必要であれば自分が総理のときに手を付けていたわけです。
更に申せば当時の選挙公約にもこれを掲示しましたが、GDP比2パーセントの根拠を今のこれまでの我が国の計算でやるのか、NATO基準でやるのかも決めていないという雑なものでした。単なるスローガンです。
政治家が外国の脅威を急に持ち出すのは得てして内政に失敗して、国民の視線を失敗からそらすためです。恐らく安倍晋三はそれにより「強いリーダー」を演出して、情弱を騙して総理に返り咲こうと画策していたのでしょう。
しかも財源の裏付けはなく、国債で借金して大軍拡すればいい、国民の懐は傷まないという。嘘で固めた無責任な話を吹聴していました。ただで軍拡できると騙せば、納税者の批判はないだろうという計算です。
そんなことをすれば、現在ですらアベノミクスの失敗のせいで景気は良くならず、財政赤字はGDPの2.6倍を超えました。借金で軍拡すれば向かうところソ連と同じ経済と国家の崩壊です。無限に借金できるわけがないでしょう。
だからこそ社会保障費もこんなに増えているわけです。
今は意図的な低金利誘導ですが、いずれかのタイミングで金利を正常化しないといけない。例えばいまの2倍の金利になれば国債償還費だけで国家予算の半分になります。当然ながら無軌道に借金はできません。それをやり続けるならば円の価値は落ちます。1ドル30円とか500円とかになるでしょう。エネルギーや食料、さらに生活必需品をどうやって輸入するのでしょうか。
そして安倍晋三はその後殺されたわけです。暗殺を肯定はしませんが、安倍晋三が総理に返り咲いていたらと思うとゾッとします。
それでも清和会(安倍派)は約100人で自民党最大派閥です。ですから岸田政権も無下にできない。だから未だにアベノミクスは大成功で、安倍路線を引き継ぐと寝言を言わざるを得ないし、壺議員を要職に付けざるをえない。防衛費急増は安倍晋三の負の遺産です。
防衛費5年で43兆円を語る上でこれを前提にしなければなりません。
防衛費43兆円、さらに8000億円以上も超過の恐れ 防衛省幹部も「これはかなりまずい」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/284756
>2023年度から5年間の防衛費を総額43兆円とした政府の防衛力整備計画を巡り、円安や資材高などの影響で装備品の単価が跳ね上がり、既に計画額より8000億円以上超過する恐れがあることが、本紙の試算で分かった。防衛省が調達数量や単価を公表していない装備品も多く、本紙の試算は一部にとどまる。岸田政権が決定した巨額の防衛費の超過額はさらに膨らみ、国民の負担がより重くなる懸念が早くも高まっている。(川田篤志)
>>防衛費の増額 政府は昨年末、国内総生産(GDP)比で1%程度で推移していた防衛費について、5カ年計画の最終年となる2027年度には関連費と合わせて2%に倍増する方針を決めた。27年度には年約11兆円となる。GDP比2%は、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める共通目標で、自民党も選挙公約で2%への引き上げを求めていた。
これは円安誘導とインフレが大きな要素を占めています。
>本紙は、23年度予算や24年度予算編成に向けた概算要求の単価が27年度まで続くと仮定し、残り3年間で予定数量を購入した場合の主な装備品の経費を試算。計画額と比較した。
>ステルス戦闘機「F35A」のうち、23年度は8機で1069億円を計上。24年度概算では8機で1077億円を要求した。計画策定時に見積もった単価100億円に対し、23、24年度の単価平均は134億円に上昇。今後3年間で残り24機を購入した場合、計画額より1400億円近く膨らむ。
>試算ではさらに、護衛艦「FFM」12隻の購入費が計画額より約1900億円の超過。輸送ヘリコプター「CH47」34機も、1機当たりの単価が最大70億円増え、超過額は約1600億円に上る。潜水艦など他の装備品の超過額も合わせると、本紙の試算で超過総額は8517億円に達する。
既に計画は瓦解しているといっていいでしょう。円安だから輸入品が高くなって、国産品が比較的安くなるというわけでもありません。国産装備も輸入コンポーネントを多数使用しています。更に調達レート上げるということはメーカーも投資が必要です。そして将来もこの増産レートが続く保証がないので、いつでも逃げる体制が必要です。
ですからCH-47も200億円などという数字になるのでしょう。ですが少し前韓国軍がFMSで調達したCH-47Fの単価は100億程度です。それがなぜ2倍になるのか。財務省は防衛省とメーカーに質する必要があるでしょう。
さらに言えば、そのような割高の国産装備を調達し続けて、国益があるのか、ということです。三菱重工に自社製ヘリを開発する能力はない。川重も同じで昔作ったBK117がほぼ唯一の海外や民間市場で売れるヘリです。スバルのUH-2も開発はほとんどベルが担当してスバルに開発力はなく、自衛隊以外には少数しか売れていません。
日本のヘリメーカーは弱小規模であり、その売上の殆どが防衛省です。警察や海保すら調達していません。しかも世界の軍民ヘリ市場に打って出るつもりもないし、その実力もない。
率直に申し上げて、2倍以上の調達・運用コストを払い続けても、将来廃業間違いなしですから、ヘリ調達予算はすべて捨て金となります。
ヘリ産業を維持するのであれば、まずは事業統合です。そしてメーカーに自立したヘリ産業としてやっていく覚悟と計画を質すべきです。
やる気はありません、防衛省にタカって食っていきますというのであれば全部輸入に切り替えるべきです。
F-35は当初日本で組み立てでしたが、輸入に比べて割高でした。そこで財務省は高い、輸入に切り替えろと迫りました。不思議なことにコストの見直しとやらで国内組立の方が安くなりました。
CH-47に関しても財務省は輸入と国内生産の見積もりを出させるべきです。
それにCH-47を生産するのであれば、米国と交渉して、アジアでの販売するものに関しては日本で生産し、世界で売るコンポーネントの一定割合を日本製を採用する、というようなスキームも作れるはずですが、防衛省も経産省もやってこなかった。
割高で先のない事業を漫然と繰り返して、税金を溝に捨てていてるだけです。
>敵基地攻撃能力(反撃能力)に使う国産長射程ミサイルなど、「相手に手の内を明かす」として予定調達数量を公表していない装備品も多数ある。
この相手=敵というのは納税者のことでしょう。
アメリカはじめ民主国家の軍隊ならば当然公開している情報です。こういう秘密主義、隠蔽主義が防衛調達を歪めています。米国ではF-35の稼働率だってGAO(会計検査院)が公開して詳細なレポートをだしています。いったい同盟国から何を学んでいるのでしょうか。
率直に申し上げてバカや無能が防衛費を使うな。
>防衛省は増額理由として、円安や資材高、労務費の高騰などを挙げる。昨年末の計画策定時は原則1ドル=108円で換算したが、今年8月の24年度概算要求時は1ドル=137円で換算した。木原稔防衛相は18日、本紙などのインタビューで「(43兆円の)金額の範囲内で行うことが重要だ」と述べ、経費の精査などを徹底すると強調した。
このレートは先の概算予算レクでぼくが質問しました。現状ならば1ドル約150円です。既に10パーセントの値上がりです。これは装備だけではなく、燃料費にも直接響いてきます。
金融緩和と放漫財政を続ければ続けるほど、円安になってますます防衛費の実質的な目減りは続きます。
>予定通り装備品をそろえようとすれば、将来的に防衛予算を確保するための増税などで国民負担が膨らみかねない。
「これはかなりまずい」。防衛省幹部は護衛艦やヘリコプターなどの価格の上昇に危機感を隠さない。5年計画の2年目となる2024年度予算の概算要求でも、円安などが響いて計画実現に大きな影を落とす。
>昨年の23年度分の計画策定の際は、直近の為替レートを基に財務省が示す各府省統一基準を用いて、1ドル=137円で計算した。24年度以降の残り4年間分は「137円では過去10年の為替水準より安い」という理由で、22年度基準の108円を採用し、必要な装備品などを積み上げて総額43兆円をはじき出した。
清和会の顔色みてこんな計画作ったんでしょう。昨年の10月でも一時期1ドルは150円ほどになりました。少子高齢化で国内市場は縮小、輸出もさほど伸びない、社会保障費は野放図に増えて歯止めがかからず、国民負担は増加の一方。財政赤字をへらずどころか、税収75兆円ほどに対して100兆円の予算を組む。お先真っ暗で、普通に考えて円の価値が上がるとは思えない。ぼくだったら1ドル160~180程度のレートを採用しました。
>8月に締め切った24年度概算要求では、23年度の1ドル=137円を仮置きして試算。輸入に頼る装備品や、国産でも海外産の部品に頼る装備品の単価が跳ね上がった。
>特に輸送ヘリコプター「CH47」は、概算要求で示した航空自衛隊の使用機種の単価が216億円で、計画額より約70億円も高くなった。円安の影響はあるにせよ、ヘリ1機が最新鋭ステルス戦闘機「F35A」の単価134億円をも上回る理由について、防衛省から納得のいく説明はない。
これの状況は先にご説明した通りです。財務省は防衛省に輸入に切り替えることを進言すべきです。じゃないと予算を認めないと脅してもいいでしょう。それと将来のヘリ産業の統廃合を迫るべきです。先のない「子供部屋おじさんヘリ産業」に多額の血税を注ぎ込み理由はありません。高いヘリを採用するならば輸入で予備機を多く買った方が戦時に有利ですし、戦時に外国から調達も可能です。
むしろ国産装備、特に国内開発のものほど戦時に増産もできず、外国から調達もできません。
>5年で43兆円を明記した防衛力整備計画。その前身となる「中期防衛力整備計画(中期防)」では、物価や為替の上昇分が全体の計画額の枠外とされたが、今回からは物価上昇分なども計画額に含めるようにルールが変更された。14〜18年度の中期防では最終的に計画額を1兆7000億円超過したが、基準年の13年度の価格では範囲内に収まって問題なしとされていた。
>財務省関係者はルール変更の理由について「財源確保策も決まらない中、(基準年の価格で計算することを明示すれば)43兆円からさらに増える余地を残す。そうした記述は削らざるを得なかった」と打ち明ける。防衛費を大幅に増やしたのだから、計画額を超過する事態にならないよう歯止めをかけるという狙いだ。
>43兆円には、老朽化した自衛隊施設の強靱化きょうじんか4兆円や、弾薬や装備品の維持整備11兆円など先送りが難しい費用も含まれる。超過額がさらに大きくなれば、増税を含め、財源確保策の練り直しが迫られる。
しかも財源すら未だ決定打はありません。すくなくとも「ふるさと脱税」こと「ふるさと納税」は廃止にすべきです。行政や政治はこれは地方交付金の中での話だとよくいいますが、国全体の予算から毎年5千億円も税金だだもれしているのは事実です。
そして不要な基地や駐屯地の統廃合もなく、割高というよりも野放図な調達コストの見直しも不十分です。
以前から申し上げているように、防衛費を増やす前に徹底した無駄を省き調達を適正化することが先です。
ですが、防衛省は事業の統廃合を進める気がまったくなく、利益が低いからと利益率を上げてばらまきをする予定です。これでは体質改善どころはますます防衛産業を弱体化するだけです。このような防衛省の態度に財務省は極めて厳しい視線を送っています。
■本日の市ヶ谷の噂■
陸幕はサーブ社に300門以上のカール・グスタフを調達の契約を行ったが、新型のM4ではなく、これは今まで通り旧式のM3。サーブ社は生産を全部M4に切り替えたかったが、調達途中でM3の調達を5年も中断した間抜けな陸幕にどうしても旧式のM3がいいですう、と泣きつかれて仕方なくラインを動かして生産。M3の最終的な顧客は陸自だけでこれが最後のM3調達、との噂。
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