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【US-2神話】ゾンビ飛行艇を礼賛するテクノナショナリズムは国を滅ぼす



未だに論理的に考えることができず、「日本が世界に誇る技術すげー」的なお気持ち表明なテクノナショナリズムむき出しの記事はもういい加減やめて欲しいものです。
そういうヨシヨシ記事ばかりだから、現実に目を背けて無能やムダが意識されずに、過去の栄光にしがみついてお互いにヨシヨシされて自己正当化をする。これが、日本企業が凋落した理由でもあるでしょう。

US-2はゾンビです。あるいは海自のリソースを食いつぶす胃ろう老人装備です。US-2を礼賛することは海自のリソースを食いつぶして中国に利する行為ですらあります。


「US-2が助けてくれる」海洋国家の守り神は本当に“コスパが悪すぎる”のか 日本が持つ世界唯一の装備とは
https://news.livedoor.com/article/detail/26097100/

>海上自衛隊が保有する救難専用飛行艇US-2。海上での救難に特化した機体はUS-2が世界唯一、しかも飛行艇を製造できる国は日本を含め3か国のみです。コストが高すぎるといわれますが、果たして「コスパが悪い」のでしょうか。

この記事はこの命題に答えてはいません。

>「何時間かは漂流して我慢しなきゃならないけど、必ずUS-2が来てくれる」
>そう思っている航空機の搭乗員も少なくないことでしょう。海上を飛ぶ彼らにとって最大の不安は、不時着水して広大な海原に投げ出されてしまうことです。それでも助けてもらえるという保障があれば、大きな安心感につながります。その保障の一端を担うのが、海上自衛隊の救難飛行艇US-2です。

ではその大型飛行艇を保有している国がどれだけあるのでしょうか。ないでしょう。つくれないのならば日本から買うでしょう。
では米海軍や英海軍は将兵の命を軽視しているのでしょうか?いいえ、実戦を経験している国は日本より、よほど将兵の救命に熱心です。それらの国の海軍がなぜ救難飛行艇を装備していないのでしょうか。
US-2を導入してまで救命に熱心な海軍がなぜ護衛艦や潜水艦に本来のっているべき医官を乗せていないのでしょうか。


そもそも論で先の大戦中まで世界で使用されていた飛行艇が廃れたのか、と考えれば日本だけ飛行艇を運用しているのでしょうか。日本民族は選民だから飛行艇を維持しているが、それ以外の軍隊は無知蒙昧だから飛行艇やめたんでしょうか?

ぶっちゃけ時代遅れになったのですよ。US-2礼賛派は電車全盛になっても「世界最高のSLです!日本すげー」といっているわけです。

>EEZをコントロールできる実行力も必要です。それは安全保障上の意味のみならず、日本のEEZ内であらゆる船舶や航空機に必要な援助・支援を提供する意思と能力を持つことは、責任ある海洋国家としての矜持でもあります。

>US-2は八戸、厚木、岩国、鹿屋、那覇、硫黄島、南鳥島を拠点に配備されており、EEZをカバーすることができます。救難に特化した飛行艇というのは現在US-2が世界唯一で、そもそも飛行艇を製造できる企業を有する国は日本、カナダ、ロシアの3か国のみ。中国がAG-600を開発中という具合です。

繰り返しますが、ではなぜ長大なEEZ持つ米国やカナダ、英国などが飛行艇もっていないのですか?
飛行艇は波が高いと運用できないし、夜間に着水もできません。夜間に救命しなくていいのでしょうか。

自称軍事通のJSF君が、ロシアだってチャイカ使ってるーとか10年以上前に強弁していましたが、製造はとっくに終わっており、稼働率も殆どない。しかも使えるのは黒海みたいな静かな海ですよ。事実ロシアは太平洋では使っていません。例外を出して「世界でも飛行艇がー」というのはためにする議論です。

>太平洋戦争時、アメリカ軍は日本にB-29戦略爆撃機を飛ばしました。しかし基地のあったサイパン島から日本までは往復約5000km。その間はほとんど海です。日本軍の迎撃で被害が出たり、故障してサイパン島までたどり着けなかったりすれば不時着水するしかありません。アメリカが大きな犠牲を払っても硫黄島に上陸占領したのは、B-29の不時着場を確保する意味もありました。それだけ陸上の滑走路には価値があったのです。

それは80年ぐらい前の話です。その米軍がなぜ飛行艇を使うのやめたのでしょうか。その論理なら東海道は籠が便利だったか籠は今でも有用な交通手段という話も成り立ちます。

>US-2は調達コストも維持コストも高価すぎるといわれます。世界唯一の救難飛行艇を運用するコスパが適正かは、安心安全の代価としてだけでなく、日本が責任ある海洋国家であることを国際社会に示す意味まで含めて、総合的に考える必要があると思います。

「安心安全の代価としてだけでなく、日本が責任ある海洋国家であることを国際社会に示す意味」それってどんなに高くても人命救助で必要です!と強弁するに等しいですよ。

総合的に考える必要があるといいつつ、これまでの記述はUS-2全肯定ですよね。
US-2の調達は5年に一機です。そして前回は約一機500億円、次は700億円です。
既に工業としては成立していません。胃ろう受けている高齢者ですよ。当然維持費もものすごく高い。それだけの予算を使う必要があるのでしょうか。

帝国海軍海上自衛隊だけが必要だというのであれば、それをロジカルに説明する必要があります。

できないでしょう。

世界で必要があれば世界市場で売ればいいんです。武器でもないし。新明和の技術が世界一であるなら、世界の市場でUS-2あるいはもっと小さな飛行艇を売って世界市場を支配しているでしょう。世界最高の技術をもった新明和がなぜそれができないのでしょうか?

それに海自が人命尊重しているのであれば、艦隊で運用する大型ヘリであるUH-Xを中止したのでしょう。UH-Xは本来CH-101のような大型機を導入するはずが、現場の幹部が暴走して救難任務で1~2名しか救助できないSH-60系を入れようとして、海幕長から注意されたら海幕長の方が悪者にされて、UH-X計画は霧散しました。
海自がそれほど人命に敏感ならばUH-Xが頓挫して平気ではないはずです。

海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その1
https://japan-indepth.jp/?p=34774
海自ヘリ選定巡る下克上と内局 その2
https://japan-indepth.jp/?p=34784

そして将来飛行艇を採用し続けることは無理です。1機千億円とか2千億円とかになっても「日本の誇る伝統芸」として調達し続けるのでしょうか。カネの問題ではないというのでしょうか。現在ですらUS-2は金食い虫であり、海自のリソースを食いつぶしています。

そして将来新明和が飛行艇を開発し続けることは不可能です。つまり散々税金を浪費した上で、新明和は飛行艇製造から撤退するでしょう。コマツが装甲車から住友重機が機銃から撤退したのと同じことになります。

「世界に冠たる日本の技術」というテクノナショナリズム以外の理由がない情緒にしがみつくために、毎年何百億円もの税金を溝に捨てるのは許されざる行為です。結果として中国に利する行為であるといってもいいでしょう。無能な味方は敵より始末が悪いというのはこのことです。

率直に申し上げて、新明和工業は国民と株主の敵であるといっていいでしょう。将来性皆無な事業から撤退できる勇気を持たない無能な経営陣が延々と
だめな事業を惰性で続けて税金を浪費している。これは本来成長に振り向けるべきリソースを食いつぶしているいるわけで、投資家にとっても不利益です。経営陣の見識が疑われて然るべきです。

頭の悪い自衛隊原理主義の軍オタと国士様に迎合して「愛国オナニーのおかず」を提供すればPVは稼げるのでしょうが、そういう記事を書き続けて恥ずかしくないのでしょうか。

■本日の市ヶ谷の噂■
値段高騰の激しいUS-2だが新明和営業は一週間でしれっと、見積書を100億円も上げてきた、との噂。


月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。


軍事研究 2024年 04 月号 [雑誌]

apan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
https://japan-indepth.jp/?p=81695

次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1
駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
https://japan-indepth.jp/?p=81667

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