Trovatoreさんの質問「NHK茨城のニュースによると、茨城県東海村の原子力機構という研究機関でデブリの臨界を調べる実験装置が稼働するそうですが、この実験でデブリの臨界がどの程度分かるのでしょうか」への回答 いまの技術で、具体的には、コンピュータシミュレーションで、詳細で、精度の高い解析ができますから、実験をする価値は、ないように思えます

質問

2024年7月20日 16:59
Trovatoreさんからの質問
NHK茨城のニュースによると、茨城県東海村の原子力機構という研究機関でデブリの臨界を調べる実験装置が稼働するそうですが、この実験でデブリの臨界がどの程度分かるのでしょうか。https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20240719/1070024579.html

回答

炉心溶融物のデブリ(いわゆる、がれきのことであり、燃料と燃料被覆材と炉心構造材と原子炉圧力容器構造材などの不均一な物質)の炉物理現象は、実験をしなければ分からないほど高く難解な次元の問題ではなく、いまの技術で、具体的には、連続エネルギーモンテカルロ計算コード(MCNPやMVP)を利用したコンピュータシミュレーションで、詳細で、精度の高い解析ができますから、実験をする価値は、ないように思えます。
上記URLの内容から判断すると、新たな臨界実験装置は、既設の定常臨界実験装置STACYを軽水炉燃料棒配列のタンク型臨界実験装置TCA型に改造したレベルで、燃料配列の中心領域にデブリ模擬体を入れ、反応度価値(サンプルワース)の測定を意図するもので、炉物理の専門的視点から分析すれば、問題点は、
・デブリは燃料、構造材、水などの割合が、千差万別で、特定が困難、
・各構成物質の寸法が臨界性に大きく影響するが、これも、特定が困難、
・全炉心をデブリにするのなら、意味があっても、反応度価値で何が分かるのか不明、
などです。
結局、本質的な実験研究ではなく、それらしきことをしているが、本質的なことが、何も分かっていないお猿の電車のお猿さん的実験研究の次元。

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