SESクソ体験（1） 某保険会社

僕は18年、SESで働いていました。SESはクソだと思っています。SESがどうクソであるかはググればいろいろ出てきますので、自分の体験談だけ話そうと思います。

人生で最初の客先（常駐先）は、保険会社でした。2001年7月のことです。どういう仕組みだかわかりませんが、隣のフロアの人たちは、たびたび不具合を起こす例の銀行システムを作ってました。「二重振込がどうのこうの」言って、僕が終電で帰るころまだ会議やってたのを覚えています。
初めての案件だったのでそれが普通だと思ってましたが、今思えばびっくりするくらいのクソシステム、クソチームでした。

クソチームの日常 

まず、設計書が残ってませんでした。金額計算に関わるシステムなのに、設計書がないって、今思えばどうやって作ったのか謎です。ソースコードが唯一の資産だったので、「プログラムをこう修正して欲しい」という依頼が来た時、まずはソース解読（今なにやってんのか解読する）から始まります。そこで設計書を起こせばいいのに、納期に追われてとにかくソースコードを直しちゃうから、次に直すときにはまたソース解析から始まる。

ソース管理システムも無いから、ソースコードの先頭に修正履歴を残すルールでした。前回直した人を特定して、まだ職場にいれば声をかけて記憶をたどってもらうという、恐るべきナレッジマネジメントシステム。ソースコードを書いているのは全員派遣なので、多くの場合、プロジェクトが終わったら別の職場に行ってしまいます。なのでいればラッキー、ソース解読から始まるのが普通、みたいな感覚でした。自分は新人なのに、その職場で3年契約し続けたので、今思えば上手くやってたみたいです。

常態的に負荷が高い

そんなクソマネジメントなので、みんな年がら年中残業していました。だってちょっと直すだけなのに、いちいち影響範囲調査から始まるんですもの。料率を変えるだけなのに、その料率を使っているソースコードをGREPして、１つずつ直してテストしてってやっているので、定例変更なのにバカみたいな時間がかかる。

業務委託のおじさん数名が人海戦術で対応しているので、何ヶ所か変え損ねるおじさんがいたり、切り捨てなきゃいけないのに四捨五入するおじさんがいたり、いつも炎上してました。おじさんを責められないんですけどね、端数処理をどうすべきかを定めた設計書が無いんですから。社員が「切り捨てに決まってんだろぉ！？」と声裏っ返して怒鳴ってましたが、そんなの知らねえよと思ってました。僕はたまたま、切り捨てで端数処理をしているソースコードを見かけてたので、空気を読んで対応してましたが、たまたま切り捨てじゃないコードを見てしまったおじさんがクローンコードしたって誰が責められますか。むしろおじさんだけが合ってて、他大勢が間違っていた可能性だってある。──逆だったかもしれねェ…。
ちなみにこのあと、既存の端数処理のミスが元で、新聞沙汰になりました。ザマァ見ろと思いました。職場周辺にはマスコミがちらほら現れ、業務委託を含む従業員は箝口令を敷かれました。某保管会社は2週間の業務停止処分を受け、私は自社でお茶汲みしてました。

メンバーの作業を誰も把握してない、そして仲間割れ

管理者が「あいつなんか早く帰ってるから仕事を振る」という行動を取っていました。仕事が終わったので定時で帰ろうとすると「余裕あるならこれお願い」と呼び止めてくる。なので、仕事が速いと損をする、という共通認識が出来上がっていました。

そして、みんながみんな、意味のない残業をしていました。仕事は無いけど、雑談しながら19時くらいまで暇を潰して職場を出る。そうすると、新しい仕事が増えないという寸法でした。

さらに始まったのは、チクリ合いでした。派遣社員同士で状況を探り、「あの人実は暇ですよ」と現場リーダーにチクる奴が現れました。同じ職場で働いてはいますが、別の会社から来ている赤の他人ですので、自分が忙しければ他人を差し出すという行いになんの呵責もないんですよね。やられればやり返すのが人間なので、派閥を作ってギスりあってました。
特に『四天王』と呼ばれるおばさん4人の結束が固く、共有端末を占有して仲間内で回したり、口裏合わせてリーダーに嘘を吹き込んだりと、やりたい放題でした。四天王が困った時は、口裏も合わせず満場一致で見捨てるという、本当に腐った人間関係が構築されていました。

銀行保険系に近付くのはやめましょう （個人の感想です）

この体験があったので、後輩や学生には「銀行保険はやめろ」と口を酸っぱくして言ってきました。にも関わらず、知り合いの学生が保険会社のシステム部に入ってしまい「だってここしか無かったんですもん」って言うのを聞いて、落胆した覚えがあります。
まぁ、15年くらい経ってるし、マシになってるのかな？と期待もしました。ところが「18人/月の仕事を、3名＆3ヶ月でやれ、だってシステム使用開始日が決まってるから」というクソ案件に放り込まれているのを見て、自分のいた現場だけが狂ってたわけじゃないし、変わってないんだなと思いました。