朗読第12回 ぼくはチャッピー第4回
今年も残り数日。仕事や学校から帰る人の足が心なしか速くなってきたなと思う。18時はもう暗いですね、夏なんてまだ明るくて、帰宅してもアレコレできると思っていたのに、暗くなると眠らなきゃいけない気分になってきます。そんなときのぬいぐるみたち…
この物語はぬいぐるみが、人間の生活をつぶさに観察した、ちょっとシュールなお話です。もしかしたら幼い頃の私が愛してお別れしてきたぬいぐるみたちも、こんなことを話していたのでしょうか。私のことを観察し続けていたのでしょうか。
そして、愛してくれていたのでしょうか。
ぬいぐるみや人形は、心が宿りやすいように思えます。私の両親も、いくらおねだりしても簡単にぬいぐるみやお人形を買ってくれませんでした。女の子にありがちなリカちゃんとか、キティーちゃんとか、スヌーピーもミッキーも。
“捨てる”時に困るから。
人形やぬいぐるみを、モノと思えない気弱さ、私は嫌いじゃありません。が、しかし先日、女優の中村メイコさんが“大切なモノから捨てなさい”という本を上梓されたそうです。自分が愛したもの、愛されたモノを捨てるというのは、なかなか厳しい。
私の部屋にはグランドピアノがあります。まとまった休暇が取れないと触れることができませんが、自室に黒い巨体がいるだけで心が和みます。私が死ぬときはこの黒い巨体に寄り添っていてほしい…と書いてみたけれど
ピアノにとっての幸せは「自分を活用してくれる人のところへ行くこと」でしょうから
ゆっくりと、この子を譲り受けてくれる先を探したいと考えています。チャッピーはそんな風に私の心に入ってきたお話でした。
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