アルコール依存症~飲酒欲求を抑え込んではいけない

重度アルコール依存症の kiyopi です。

現在アルコール依存症において、『飲酒欲求は悪いもの』『飲酒欲求を感じてはいけない』『飲酒欲求が湧くのはお酒への執着があるから』といった考え方が深く深く浸透しています。

しかし、飲酒欲求というものはお酒を知った人なら誰でも湧き起こるものなので、本来は良いも悪いも、ダメでもいけないものでもなく、ましてや執着の表れでもありません。

なのに、アルコール依存症の世界では飲酒欲求を悪いものとして、とにかく我慢、抑え込むように考えられていますし教えられます。

ですが鵜呑みにしてそんなことしていたら、どんな危険があるのか?

今回はそこを説明したいと思います。


我慢や抑圧は鬱など精神疾患の素とされてるのに何で?

鬱、自律神経失調症、統合失調症、適応障害などの精神疾患になる原因は思いや感情を抑圧して我慢し過ぎたことが大きな原因だと言われています。
多くは症状を抑える投薬による対症療法ですが、カウンセリングや療法治療も行います。

ですが、アルコール依存症の治療となると全く変わります。

元々抱えていた精神疾患も、双極性障害以外はお酒の影響とされることが多いです。
アルコール依存症には離脱症状の中に酒鬱と呼ばれる状態があるので、鬱や抑うつ状態は酒鬱と判断されてしまう場合が本当に多いからです。
アルコール依存症者には強い怒りや憎しみを抱えている人も多いので、双極性障害だけは同時診断されやすいという事があります。
アルコール依存症者に双極性障害を持っている人が多いのも、「元は○○疾患もあった」と言う人が多いのも、これが理由です。

※僕も鬱を持っていますが診断からは消えているので、掛かりつけではあくまでも自称扱いされます。

『まず断酒ありき』が現在のアルコール依存症治療の基本になっているので、飲酒も飲酒欲求も我慢が前提とされています。

それによって、『飲酒欲求はいけない』という考えが患者自身にも生まれ、飲酒欲求が湧く度に気を逸らそうと焦ったり無理に趣味を作ろうとしたり、「いけない、いけない」と抑え込んで我慢したりして、ストレスとして蓄積していく事になるのです。

飲酒欲求を我慢して抑え込んでいくとどうなる?

「スリップしたら以前より酷くなった」「長年断酒していたのに、飲んだら大きくスリップして止まらなくなった」と聞いたことがある人も多いと思います。
その原因が『飲酒欲求を我慢し抑圧してきた事』です。

「断酒は続いてるんですが、鬱が酷くて・・・」「鬱が悪化してしまって」と言う人もいます。
中には飲酒欲求を感じる事が本当になくなっていてもそうなっている人はいますが、多くは口で言うほど飲酒欲求がない訳ではありません。
根本的な精神的原因が解決できていない事も理由の一つですが、飲酒欲求を我慢し抑圧しているのも大きな原因の一つです。

飲酒欲求とどう向き合えばいいのか?

「だったら飲酒欲求をどうしたらいいの?」と思うと思います。

僕の答えは「自分の飲酒欲求を理解しろ」です。

飲酒欲求が湧く時には色々あります。

①世間的な常識としての飲酒、ドラマ、アニメ、歌、TVCMなどによって刷り込まれた固定観念的なものから生まれる飲酒欲求
(仕事終わりに、週末だから、暑いからビール、寒いから熱燗、寒い時にお酒を飲むと温まる、辛さ苦しさ怒りを忘れるため、この食べ物にはこの酒が合う、歓迎会、送迎会、新年会、忘年会、打ち上げ、記念日、イベントなど)

②自分の固定観念から生まれる飲酒欲求
(ご褒美として、良いことあったから、気分が良いからなど)

③生きてるのが辛い、苦しい、希望が持てない、つまらない、死にたい・・・などの現実逃避から生まれる飲酒欲求

僕が思い付くだけでも上記の様に色々あります。

自分は「どんな時に?何で?飲酒欲求が湧くんだろう?」と考え、自分を知り、理解しておくのが飲酒欲求との向き合い方だと僕は思います。
そのような自分への理解もないままに、湧き起こってしまった飲酒欲求を漠然とさせたまま「いけない」として誤魔化そう・抑え込もうとするから振り回されてしまいます。

理解さえしておけば、飲酒欲求が起こっても「そういう時」「こういう時もある」「まあ飲酒欲求湧いてしまうだろうね」と湧いた飲酒欲求を受け流すことも出来る様になっていきますし、飲酒欲求の湧いた自分を許すことも出来る様になります。

①のように洗脳されたままの自分でいるのは、プログラムされたことしか出来ないロボットと同じようで僕は嫌だったので今回まとめてみました。

一度、自分で自分の飲酒欲求を良く考えて知ってみてほしいと思います。



今回は以上です。
参考にして頂けたら幸いです。

あなたの断酒が楽になりますように。
ご家族様の消えない苦しみが少しでも軽くなりますように。

最後まで読んで頂き有難うございます。

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