ボードゲーム制作に役立った書籍のご紹介
こんにちは。きよみずかつやです。
Board Game Design Advent Calendar 2024という、ボードゲームデザインに関する記事を日替わりで投稿する企画の4日目の記事として書かせていただきます。
前々からどこかで紹介しようと思っていた、僕がボードゲーム制作を行う上でこれまで勉強に使ってよかった書籍を紹介したいと思います。
なお、アフィリエイトみたいに書籍のリンクを多数貼っていますが、ここから購入いただいても僕には一銭も入ってこないただの紹介記事なので、そのあたりはご了承いただければと思います。
とりあえずまず読んどけって本
錬金術師たちがボードゲームをつくるようです
はじめてボードゲームをつくる人、ゲムマに出展を考えてる人は、まずこれ一冊買っておけばほぼ間違いないんじゃないでしょうか。
ゲームの作り方、テストプレイの心構え、コンポーネントに関すること、販売・宣伝方法、ゲムマのいろは、全て載ってます。
この記事はこの後「ルールやシステムの作り方」「イラストやデザイン」「売り方・宣伝」などジャンルに分けて書籍の紹介をしていくのですが、この本が全部網羅してるのでまず最初に紹介させていただきました。
上のリンクから第一章の試し読みも出来るようなのでまずは一度読んでみて下さい。
あと渾身のあとがきも必見です。
ルールやシステムなどに関する本
ゲームメカニクス大全
これは恐らくかなり有名な本で、世の中のほぼ全てのボードゲームのメカニクス(デッキ構築とか、ワーカープレイスメントとか、ダイスロールとかもそうだし、対戦・協力といった基本的な要素も含め)を網羅・紹介している本です。
各メカニクスごとに、代表的なゲームの名前とその概要が記されていたりするので、初めて見るシステムでも説明を読んで何となく面白そうだなと思ったり、よく知ってるゲームでもあまり意識しなかったメカニクスの用語で解説を読むとまた違った一面が見えてきたりします。
この本をパラパラとめくっているだけでも、面白そうなメカニクスがいくつも出てきて、「これとこれを組み合わせたら面白そうだな」「このゲームのこのシステムは楽しそう」というのが思いついて読むだけで楽しいです。
やや難解な言葉づかいもありますが、自分にとってある程度なじみがあって理解できるページにざっと目を通すだけでも十分読み応えのある一冊ではないかと思います。
ゲームのルールやシステムにおいて、何かもうひとひねり欲しいな…という時にこの本を読んでヒントをもらったりしています。
遠藤雅伸のゲームデザイン講義実況中継
こちらは以前図書館で借りて読んでみて、あまりに面白かったので返却後にすぐ購入して手元に置いた、僕のボードゲーム制作におけるバイブルのような本です。
紹介されている話は「ゲームデザイン」全般で、ボードゲームに限らずデジタルゲーム、ソーシャルゲーム、トレーディングカードゲーム、ゲームセンターのアーケードゲームなど多岐にわたります。
文体が、「講義をする著者と、その講義を受けている生徒の会話」調で書かれているので読みやすく、難解な用語も比較的少ないので分かりやすい本です。
著者は『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』などを手掛けた遠藤雅伸さん。ご自身で「『ドルアーガの塔』は当時は自信作だったが今にして思えば最低のゲームデザインだった」「本書の内容も2011年時点のもので、数年で陳腐化する可能性が高い」と述べられており、時代に応じて変わっていくゲームデザインの常識を思うと情報の古い本なのかもしれないですが、それでも遥か昔から続く「ゲーム」というものについて基本的なところから解説してくれて、歴史を踏まえた上での様々なゲームデザインの実例が挙げられており、ゲームデザインをしない人でも読み物としてとても楽しめる一冊です。
ボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームのデザインについてもそこそこの分量で記述されており、特にゲームバランスの項目に書かれている「インフレ」「バランスブレイカー」の項目、周回型すごろくのゲームデザインの実践で語られる「ゲーム性やバランスだけでなく『面白いという気持ち』に正直でなきゃいけない」という言葉は僕にとって金言であり、ボードゲームデザインをしていくうえでの座右の銘みたいなものにもなっています。
ゲームデザインをする全ての人に読んでほしい一冊です。
イラスト、UIなどデザインに関する本
長谷川登鯉 拾年図録
ボードゲームのアートワークに関する勉強会を定期的に開いてらっしゃる、長谷川登鯉さんがこれまで手掛けた数々のゲームの画集です。
画集と言いつつ、イラストだけでなくカードやボードのUI、アイコンなどを載せて下さっているので、カードデザインやボードのUIの参考としてとてもありがたい一冊です。
アートワーク勉強会を受けた後にこの本をめくると、なるほどこの文字はこういう意図でこのデザインなんだなとか、このアイコンがこういう見た目なのは話してたあの意図があるからか…!という気づきがたくさん得られます。
アートワーク勉強会の参加の費用として、長谷川登鯉さんの作品を購入する機会があると思うので、ぜひ選択肢の一つにこの図録の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
プロのアートワークはすごいんだな…と実感・勉強できると思います。
なるほどデザイン
こちらはボードゲームとは全く関係のない、純粋にデザインに関する勉強がしたい人向けの本です。
色調の使い方などの基本的なことはもちろん、「データ上では中央になってるけど、実際の見た目ではもう少し上に設定した方が真ん中っぽく見える」などのやや高度なテクニックが紹介されていて、DTPなどカードデザインを自力でやっていく上で知っていて損はない様々な学びを得ました。
今パラパラめくって見てたら結構忘れていることがあるので、次回作をつくる前にもう一度目を通しておきたいなと思った一冊です。
自作ゲームのデザインを一歩洗練されたものにしたい方、ボドゲに限らずデザインに関する仕事や趣味をお持ちの方は是非一度書店で手に取ってみて下さい。
売り方・宣伝に関する本
同人は宣伝が9割
こちらはコミケ参加を前提に書かれた、コミケで自著を認知・購入してもらうための様々なノウハウが書かれた本です。
コミケ出展者向けの本なので、ボドゲとは関係のない話題もありますが、基本的にTwitterなどでの宣伝・ゲームマーケットなどのイベントでの販売を考えている方にとってはコミケと同じ宣伝・設営・販売方法が使えるので、この本は宣伝のやり方が分かっていない方にとってはとても有益な情報であふれています。
一部、Twitterで最も効率的に見せられる画像サイズの縦横比などの情報が今のXの仕様と異なっていたり、イベントでのポスターの使い方(裏表に掲示してバックからも攻める)が現ゲムマのルール上禁止されていたりする点だけ注意が必要です。
ただ、僕はこの本で紹介されているTwitterの宣伝方法をかなり活用して、「宣伝に関しては手段を選ばないことで定評のあるきよみずかつや」という二つ名(?)を得たつもりです笑
人と違った宣伝や、イベント当日の売り方のコツなどを知りたい方にとっては目からウロコのテクニックが盛りだくさんですので、そのあたりに自信がないという方は読んでみて下さい!
その他、デザインや売り方以外のこと
ボードゲームで社会が変わる 遊戯(ゆげ)するケアへ
これはゲームデザインに直接かかわる本ではないですが、ボードゲームが好きな方なら一度は手に取って読んでほしい本、自身のボードゲーム作家としての在り方にちょっとした方向性を見出したい人にはおすすめの本です。
この令和の時代において、ボードゲームという媒体が持つ可能性というのはどんなものなのか、ボードゲームはどのように社会を変えていくのか…ということを、かの有名なTable Games in the Worldを運営している小野卓也さんと著者の與那覇潤さんの対話を通して感じられる一冊です。
「ボードゲームを教育や啓蒙の道具として扱うこと」に抵抗のある人にこそ是非読んでほしい内容となっています。
僕はこの本を読んで、改めてボードゲームが好きになりました。
以上、ボードゲームデザイナーとしての今の僕を構成しているであろう、いくつかの有益な書籍についてご紹介させていただきました。
全部買え!とはなかなか言いづらいですが、それでもボードゲームをつくる人、作らないけど遊ぶのが好きな人であれば、ここに挙げた本に限らず、なにか1冊くらいはボードゲームに関する書籍を読んでみてはいかがでしょうか?
知見が広がり、また一歩深くこの素晴らしいボドゲ沼に沈む感覚を味わうことが出来るかと思います。
最後に、この記事をもし皆さんが読んで、良いなと思って拡散して下さることがあるとしたら、その時は皆さんのお気に入りの一冊やおすすめの本についても一言紹介を添えて下さったら嬉しいです。