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神の水

物の弾みでというか、いつの間にか巻き込まれて福島県小野町の工場を一つ抱え込むことになった私は、昔のラグビー部の仲間に助けられて、2001年4月2日、新しい株式会社シマニシ科研を発足させます。

私自身はまだ会社勤めの身ですから、社長はガンさんの名前にしました。
まさに名前だけの社長で設立総会に出席しただけで、その後、2004年7月に私が引継ぐまで一日も出社しませんでした。

旧・シマニシ科研株式会社を新・株式会社シマニシ科研と改称して会社を設立すると、

「嶋西先生とは随分一緒にやらせてもらいました。」

という人が続々現れ始めます。
「シーマロックス』という商品、過去15年間売れてきた市場の実態など全くわかっていなかった私たちは、とりあえず話をよく聞くことにしました。
風化した花崗岩(バーミキュライト)を無機酸抽出した天然ミネラル群溶液「シーマロックス」は最初、汚水処理剤として開発されましたが、30種類近いミネラルが高濃度で含まれる「シーマロックス」はいろいろ不思議な効果を表すようになります。

一つは、植物の生体活性剤として、優秀な一面を見せます。
1993年、日本は冷害で大凶作となりタイからお米の緊急輸入までしました。その年、和歌山県の米作農家で「シーマロックス」を葉面散布していた人が平年並み以上の収穫を上げNHKから取材に来ました。
その後、発展して登録肥料、液体微量要素複合肥料「シーマロックス液肥」として当社の主力商品の一つとなっています。

二つ目は、ミネラルサプリメントとして、清涼飲料水の分野で売られてきました。
徳川時代から連綿として続いてきた日本農業は、第二次世界大戦終戦を期に大きく変わりました。
すなわち、無農薬有機栽培から、農薬漬けの化学肥料農業に徐々に変化しました。
結果として農作物に含まれるミネラルとビタミンは7分の1にまで激減し全国民総ミネラル栄養失調という状態が続いています。
(5年ごとに発表される日本食品栄養分析で政府自身がそのことを認めています。)
20世紀後半に入ると、いろいろな奇病が蔓延します。若年性糖尿病、若年性ガン、アトピー等々、しかしながら医薬品でも医薬部外品でもない清涼飲料水に過ぎない「シーマロックス」がミネラル水としては法外な高額(1リットル4~5千円)で売れ続けている現状を見ると首をかしげざるを得ません。
実際、個人的な体験報告としてではあります。

「血糖値が劇的に下がった」、「初期のガンが消滅した。」

という報告がいくつも寄せられます。
しかし、日本には薬事法という法律があり、実際に効果が確認できてもそれを謳うことは出来ません。でも売れ続けています。

三つめは、消臭抗菌材としての性質です。
最近では、コロナウイルスに対する不活性化効果が、99.4%もあることが実証され新しい市場が開けていく予感がしています。

これらの不思議な効果によって、1986年旧・シマニシ科研創業以来、継続してこの水に取り組んでいる人たちがいます。
35年経過した今も、リピーターは浮気することなく続けてくれています。
理由は、「飲んでみればわかる。」といいます。

良いものが売れるとは限らない。

それでも、「シーマロックス」愛好家は、世間では少数派です。
効能を謳うことは出来ません。
当社はこの水を世に広めることに情熱を傾けている人達をサポートするために、なるべく消費者に直接当社品を売ろうとはしませんでした。あくまでも原料供給者というポジションを続けています。

今では、10社以上の会社が、ミネラルサプリメントとしての「シーマロックス水溶液」を様々なブランドで販売してくれています。

それでも、当社の売り上げは市場規模に比べて微々たるもので、最初は毎月の運転資金がショートして私の定期預金を崩して工員さんの給与を払うことがよくありました。
勿論、役員は無給のボランティアです。
(そのため当社役員はすべて年金受給者で固めました。)

いったい何時まで頑張れるのか不安になりましたが、「シーマロックス液肥」を農水省に登録してからは液肥の売り上げが伸び始め、私の預金取り崩しはしなくても済むようになりました。
発足後、3年目のことでした。

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