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พี่อาทิตย์ ☀️


P' Arthit

アーティット先輩…

春だからBLでも見るかと思い、タイのドラマ「SOTUS」をアマプラで見た。

結論から言って、ここにキングオブカップルが誕生した。。。

彼らに出会えた奇跡に感謝したい。

このドラマ、所謂BLものなのだが、(タイではBL文化がエンタメとしてメジャーになっている)、全14話の中盤くらいまで全くいちゃつく気配が無いことにまず驚かされる。
舞台はタイの大学、新入生が先輩からの謎のパワハラ指導に耐えるストーリーを軸に、リーダー格のスカした先輩アーティットと、正義感の強い生意気な後輩コングポップとの関係性が描かれる。
のだが、序盤はこれがどうやってBLになるの?って感じで一向に甘い展開にならない。それどころか、お互いに好きになる要素がないのではとすら思えてくる。しかし微かな期待を持って視聴を渋々進めていくと、人間描写がとにかく丁寧で、この二人の感情を探りたいと思えてくる。
悪く言えば演出がだるい、間延びした感じがずっとあるんだけど、よく言えば大らかで、感情をセリフで説明的に伝えるシーンが無いため、微妙なアイコンタクトだったり、態度で匂わせる感じが続く。そうするうちに、だんだんキャラが分かってくる。あ、これってツンデレなんか?とか、こいつはドMか?など。しかしパターン化されたキャラには決してならずに、あくまで二人の関係性が自然に丁寧に描かれる。
BLものだからどうせくっつくんだろと分かっちゃいるんだけど、あまりにゆっくり確信もなく進むので、期待値が揺さぶられる。
アーティット先輩はツンデレなんだけど、ツンが強すぎて、デレがほぼ無い。フルーツを渡す(睨みを効かせながら)とか、ジュースを奢る(一旦帰るふりをして)、などが中盤くらいまでの最大値のデレである。これはデレなんか?という。そのあまりに小さすぎるデレに対して、後輩コングは忠犬のような目線をいつも向けるのだ。そんなコングの異常さに、こいつはおかしいと誰もが気付く。それはアーティット先輩の素顔を彼だけが見抜いているからなのだが、そこには隠しきれない愛が含まれている。そのまっすぐな想いは、アーティット先輩の心を少しずつ溶かしていく。。という具合の作品なのである。

つまり、精神的な繋がりの変化と構築がすごく丁寧に描かれる。
しかし、ここがBL特有なのだが、なぜかその繋がりは友情ではなく愛になるのである。ただし、愛と言っても、この作品ではそれが性愛には結びつかない。コングは男が好きなわけではなくアーティット先輩だから好きだと言い、アーティット先輩はノンケだったことが判明する。直接的なエロ描写は一切無く、キスは言葉に添える程度の爽やかさ。ここでは、性に囚われない心の絆こそがメインなのである。
この辺りの描き方は、BLの中でも作品によってかなり違いがあると思う。そして見る者によっては賛否が分かれる部分かと思う。
しかし、僕は不自然には不思議とそんなに見えなかった。他のBL作品に比べて、という意味であるが。どうも男女間のセックスを男同士に置き換えただけのBLは僕は受け付けない。それこそファンタジーだ。こういうピュアな関係性の方が世界のどこかにはあるかもしれないし、その存在を信じたくなる。人間同士の関係なんて理屈ではなく無限に様々なのだから。ただピュアな繋がりだけで終わらず、しっかりと現実に直面する姿も描かれていた。二人の関係性は多くの部分で僕の共感を呼んだ。だからこそ、二人が尊く見え、ただひたすらに幸せを願ってしまうのであった。
最後のパーティーで仲間に「付き合ってんだよ」とあまりにあっさり答えるアーティット先輩の男らしさは、この作品のハイライトだった。アーティット先輩は最強のヒーローでありヒロインだ。「SOTUS」は彼の魅力を引き出すための物語だったと言っても過言は無い。

BLって、ただ男同士のイチャイチャを愛でるものと言えばそうなのだが、その描き方は実に多様。
タイではBLドラマはY系と呼ばれ、一つのエンタメジャンルとして成立している。(Yとは無論やおいの意。)様々なシリーズが制作、テレビで放送され、世界中に拡散されている。そして作品ごとにその「ボーイズラブ」の描き方は異なっている。
「SOTUS」は2016年放送だが、昨年制作の「2gather」はまた違った意味で衝撃的だった。純粋なラブコメとしてのパワーがハンパなく、同性間に付き物の倒錯としてのネガティブな葛藤が一切描かれない。ゲイとかバイとか、LGBTという言葉すらない世界のよう。直球の恋があらゆる障壁、疑問を無視して突き進んでいく。というか、壁なんてもはや無いのか?と錯覚するほど。これってアンダーグラウンドなコミックの世界では別に珍しくも何とも無いけど、リアルなドラマでやることの意味はまた別で、ティーン向けに堂々と放映されるって、度胸がすごくないか?と感じた。
時代は進みすぎてる! 

  

p.s.
ツンデレが許されるのはフィクションの中のみであり、現実でいたらそれはただのめんどくさい奴なので、関わらないようにするのが一番だと思う。

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