腰痛の原因を突き止めるために必要な知識
皆さんはじめまして、こじろう(https://twitter.com/reha_spine)です。
今回は初投稿になりますので腰痛に対する基本的かつ、腰痛治療を行う方は知っておくべき内容を中心に話していきたいと思います。
皆さんは臨床の中で「腰部痛」に数多く接することがあると思います。
しかし、仮に「腰が痛い」という主訴で
外来患者が来た場合、
20分という時間の中であなたならどのように評価や治療プランを立てますか?
腰部周囲の痛みを訴えられていた場合、
どこから手を付けていけばいいのだろう?
と一瞬固まることはありませんか。
その結果・・・
・とりあえず、痛い場所を触っていませんか?
・痛い場所はとりあえずマッサージ
していませ んか?
・もしくはそんな人達を見かけることは
ありませんか?
そんなフリーズした頭の中をクリアにすることで治療方針が立てやすくなります。
この記事はこんな方にオススメです。
●腰部痛の知識・評価について理解を深めたい方
●腰痛患者の治療の際に治療方針を立てることが苦手な方
●腰部痛の原因を評価することが苦手な方
ではさっそく記事の内容に移っていきましょう。
▶︎腰痛を引き起こす原因
【痛みを感じる組織】
・神経(硬膜)
・脊椎周辺の靭帯(特に後縦靭帯)
・筋・筋膜
・椎間関節の滑膜関節包組織
・椎間板(線維輪)
・骨膜
・血管など
これらの組織が障害されることによって、
腰痛が発生します。
【腰痛の原因別分類】
原因別で腰痛を分類しますと、①〜⑥に大きく
分類されます。
①脊椎とその周囲運動器由来 ②神経由来
③内臓由来 ④血管由来 ⑤心因性 ⑥その他
①脊椎とその周囲運動器由来
脊椎腫瘍
脊椎感染症(化膿性椎間板炎、脊椎炎、
脊椎カリエスなど)
脊椎外傷(圧迫骨折など)
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎分離すべり症
腰椎変性すべり症
代謝性疾患(骨粗鬆症、骨軟化症など)
脊椎変形(側弯症など)
非化膿性炎症性疾患(強直性脊椎炎など)
脊柱靭帯骨化
筋・筋膜症
脊柱構成体の退行性病変(椎間板性、
椎間関節性)
仙腸関節性
股関節性
②神経由来
脊髄腫瘍、馬尾腫瘍など
③内臓由来
腎尿路系疾患(腎結石、尿路結石など)
婦人科系疾患(子宮内膜症など)
妊娠
④血管由来
腹部大動脈瘤、解離性大動脈瘤など
⑤心因性
うつ病、ヒステリーなど
⑥その他
▶︎ 理学療法士が知っておくべき診断に関する知識
理学療法士は診断名をつけることはできません。しかし、医師が行っている診断の手順を把握しておくことはリハビリを行う上で、非常に大切なことだと思います。
腰痛患者の診察で必要な手順としては、まず悪性腫瘍、感染、骨折などの危険性の高い重要脊椎疾患を見逃さないことが必要となります。
そこでまず、
①危険信号(red flags)を有し、重篤な
脊椎疾患の可能性がある腰痛
②神経症状を伴う腰痛
③神経症状のない腰痛
の3つにトリアージすることが大切になります。
まず、①の「危険信号(red flags)を有し、重篤な脊椎疾患の可能性がある腰痛」がないかを確認していきます。
①の腰痛の中には具体的に以下のようなものになります。
☑️悪性腫瘍(原発性、転移性脊椎・脊髄腫瘍
など)
☑️感染(化膿性椎間板炎・脊椎炎、
脊椎カリエスなど)
☑️骨折(椎体骨折など)
☑️重篤な神経症状を伴う腰椎疾患
(下肢麻痺、膀胱直腸障害などを伴う
腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症)
まずは、これらの腰椎疾患の鑑別を確実に
行わなければいけません。
もちろん、内臓疾患由来の腰痛の有無についても鑑別しなければいけません。
【重篤な脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)の
合併を疑うべきred flags(危険信号)】
red flagsは腰痛患者の既往歴や全身状態から発見されるリスクファクターであり、このような特徴を持たない患者と比較した場合に、
腰痛を引き起こす原因となる重篤な疾患リスクの高さと関連します。
以下にred flagsについての項目を示しています。
・発症年齢が20歳未満もしくは55歳以上
・時間や活動性に関係のない腰痛
(安静時に軽減しない)
・胸部痛
・癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
・栄養不良
・原因不明な体重減少
・構築性脊椎変形
・発熱
・広範囲に及ぶ神経症状(馬尾神経症状を含む)
※馬尾神経症状は、膀胱直腸障害、括約筋の
障害、下肢の全体的衰弱または歩行障害などを
訴える場合に存在する可能性が高いです。
ここで注意したいのは、red flagsがあったからといって、特異的病変に必ずしも関連しているわけではありません。
重篤な脊椎疾患(腫瘍、感染、骨折など)の診断には1つの危険信号だけでなく、複数の危険信号を重視することが勧められています。
red flagsについて詳細な記事があります。
▶︎腰痛患者の評価手順
先程も述べましたが、大きく腰痛をカテゴリー別に分けると以下の3つに分類されます。
①危険信号(red flags)を有し、
重篤な脊椎疾患の可能性がある腰痛
②神経症状を伴う腰痛
③神経症状のない腰痛
まずはこの3つの分類にトリアージすることが大切になります。
これを念頭に評価手順を以下に示していきます。
【評価手順】
1)まずは問題が筋骨格系を起源としていること
を確認し、非脊椎病変を除外します。
2)次にred flagsを確認し、①の「危険信号
(red flags)を有し、重篤な脊椎疾患の可能性
がある腰痛」がないかを鑑別します。
3)①の腰痛でないと鑑別できれば、次に②の
「神経症状を伴う腰痛」か否かを鑑別
していきます。
画像所見や疼痛分布、疼痛パターン、深部腱
反射、筋力の評価などを組みわせながら評価
していきます。
4)②の腰痛でもないとなれば、③の「神経症状
のない腰痛」
すなわち、、、
「非特異的腰痛」と分類されるわけです。
③では椎間板性、椎間関節性、筋・筋膜性、
神経根性、靭帯性などの脊柱を構成する組織
から生じる腰痛を検討していきます。
それらは加齢による耐行性変化によるものが
多くを占めます。
※非特異的腰痛に関しての評価は今後の記事にて
説明していきたいと考えています。
まとめると、以下のような腰痛評価の
アルゴリズムになります。
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