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『護られなかった者たちへ』を読んで・虚構の世界から感じること

先日ふらっと書店に行ったとき店頭の目立つ場所に映画の原作本として高く積まれていて、最初は「ふーん、映画の原作本か」くらいにしか思ってなかった。

けど何気なく手に取ったら中山七里さんの本で思わずkindleをスマホからポチった小説『護られなかった者たちへ』について感じたことを書きたいと思う。

数か月ぶりに『護られなかった者たちへ』を一気読みしたのだけど、やはり著者・中山七里さんの小説はいつも読了後に考えさせられる。


この『護られなかった者』というのはだれかというのは、ミステリ・サスペンスものではネタバレとなるので言及は避けたい。

今回のメインテーマである生活保護という憲法25条に基づく社会保障制度と国家財政のひっ迫と現場と制度の疲労。一つの切り口からよりマクロ的な問題と関係する人たちの生活といったマクロ的な問題の両方を行ったり来たりして自分の心を揺さぶられる作品だった。

以前読んだ『御子柴礼司シリーズ』もそうだが、中山七里さんの作品は妙にリアリティがあって、まるで読んでいる自分がフィクションと現実の狭間にいるかのような感覚を覚える最近のお気に入りの作家さんだ。


そして、直前にたまたまAmazon Primeで観ていた『閃光のハサウェイ』の主人公 ハサウェイ・ノアとの葛藤の違い加減の対比が個人的に面白かった。(主人公のハサウェイはいわばお金持ちの家に育って何不自由ない生活をしているが世界を憂いている)

二つの作品はフィクションだし世界観もまるで違うけれど、改めて虚構の世界が持つパワーは素晴らしいと改めて実感した。自分はあまり外向的ではなくて内向型な人間だと自覚している。(最近の分類では内省型というらしい)

自分の外側、特にアニメや映画、小説といった虚構の世界が好きなのだけど、それを観て、想像したり感じたことを現実と比較して考えてみることで新しい世界が拡張されて自分が作られていく。最近は人との関わりの中でも感じることが、虚構の世界には叶わない。

最近忘れがちになっていた虚構の世界にもっとダイブして、自分の凝り固まった世界感を拡張していきたいと思った今日だった。

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