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フローレス島⑥

2018/3/31

安宿で乗合バスのチケットを入手して、モニへ。
今までは乗用車だったが、今回は大型のバスだった。荷物をバスの屋根にくくりつけて出発する。

出発時刻が遅かったのか、道のりが長かったのかは記憶が定かでないが、途中に昼休憩があった。幹線道路沿いのワルンでローカル料理を食べた。
ちなみに、このバスには日本人が乗車していた。正体不明のロン毛のおじさんである。旅人っぽくもあるし、学者っぽくもあった。
ぼくは旅人同士の交流なんか一切求めない偏屈な人間なので、話しかけなかった。相手が怪しいおじさんだからなおさらである。これが若い女の子とかだったら話しかけていた可能性はある。
幸い、向こうもぼくのことを日本人だとは認識していないようだった。
ぼくは東アジア人にしては濃い顔をしていて、尚且つ真っ黒に日焼けしていたから、やや薄い顔立ちの現地人くらいに思われていたのだろう。

ちょっと話はそれるが、シンガポールに行くと中国語で話しかけられることが多い。同伴している友達は英語で話しかけられるのに、ぼくだけ中国語で捲し立てられたりするので、南方に住んでいる華人に勘違いされるのだろう。

閑話休題。
モニの村に着くと、バケツをひっくり返したような雨が降っていたので軒先で雨宿りをする。
スコールなのですぐに雨は上がり、青空を見せるようになる。
前日のうちに予約していた宿は村の中心からちょっと離れたところにあった。
長閑な一本道を1人で歩く。

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さて、ぼくが予約していた宿だが、森の中にあるバックパッカー宿だった。
小さな長屋を4つほどの部屋に区切ってある簡素な安宿だ。すでに欧米人カップルが何組か宿泊していた。
宿のオーナーは、ジャマイカ辺りにいそうなドレッドヘアーの若い男の人だった。

宿に荷物を置くと、村の散策に出た。
といっても歩いて行ける範囲には特に見るべきものはない。
森の中を軽くトレッキングした。

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さて、宿の夕食だが、宿泊客みんなで長テーブルを囲んでおしゃべりしながら食事を摂るタイプだった。
ぼくが一番苦手なタイプの宿だ。
さっきも書いたが、ぼくは旅人同士の交流というものがあまり好きではない。そもそも普段から人付き合いが良くないうえに、こだわりが強そうなバックパッカーたちと積極的にコミュニケーションが取ろうと思わないのだ。偏見もりもりの意見だけど、そういう性格だからしょうがない。

会話は英語で進む。
なんとか聞き取ることはできるが、自分の意見を伝えることができない。他の欧米人は「日本人って本当に英語苦手なんだな…」と思ったことだろう。
夕餉の団欒の中でほぼ空気のようなぼくだったが、収穫もあった。
モニの近くにはクリムトゥ山という、美しい火口湖を持つ山がある。フローレス観光の中では、コモド島に次いで有名な観光スポットである。
朝日に照らされる湖が美しいということで、翌日の未明に宿を出発しようと思っていたのだが、他の欧米人宿泊客も同じことを考えていて、オーナーのレゲエ兄ちゃんがきゅうきょツアーを設定してくれたのだ。1人で車をチャーターすれば高くつくが、みんなでシェアすれば安価に済ますことができる。バックパッカー宿のいいところだ。

ちなみに、クリムトゥ山への入山料はインドネシア人と外国人で異なる。レゲエ兄ちゃんはぼくに対して「君ならローカル料金でごまかせるよ」と言った。やっぱりそういう顔立ちなんだろう。

ということで、早朝の出発に備えて夜は早く寝た。



つづく

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