年金について調べてみた

最近「DC」とか「iDeCo」とか色々聞き、そういえばあまり理解していなかったので、この機会に調べてみた。

年金の分類

色んな種類がある「年金」だけど、主に以下3つの軸で分類できる。

 (1) 公的年金 or 私的年金
 (2) 確定給付型 or 確定拠出型
 (3) 企業型 or 個人型

公的年金 というのは、法律や法律に近いルールで、毎月払う掛け金(拠出金)や将来受け取るお金(給付金)が決められている。すべての国民が対象になる 国民年金 と、会社員・公務員が対象になる 厚生年金 の二種類がある。(昔、会社員は厚生年金、公務員は共済年金、と分かれていたが、2015年に厚生年金に統一された)

私的年金 は、公的年金以外のすべての年金で、公的年金に上乗せするもの。

確定給付型 というのは、給付金、つまり老後に受け取るお金が確定しているタイプの年金。何歳から毎月いくら貰えます、というもの。積み立てるお金を毎月払って(または給与から天引きされて)、誰かがそれを運用してくれて、老後に一定の金額の年金を受け取る。運用のリスク、つまり年金支払いの原資が増えたり減ったりする可能性については、年金提供者側が責任を持つ。

確定拠出型は、拠出金、つまり今から毎月支払うお金が確定しているが、将来いくら貰えるかは確定していないタイプ。Defined Contribution Plan で DC とも呼ばれる。運用のリスクは、加入者が責任を持つ。つまり、拠出金を毎月払うだけでなく、積み立てたお金の運用方法も個人が選択する。その運用の結果によって、積立金が増えたり減ったりするので、老後に受け取れる年金の金額が変わる。

企業型 は、企業から社員に提供されるタイプの年金。個人型は、個人が自分で加入を決めるタイプの年金。

確定給付型で企業型:例えば、大企業の退職後の年金制度
確定給付型で個人型:例えば、保険会社が提供する個人年金保険
確定拠出型で企業型:例えば、企業型DC
確定拠出型で個人型:例えば、iDeCo

企業型DC は、企業型なので、企業が社員のために一定の金額を積み立ててくれる。確定拠出型なので、給付金の金額は、運用成績次第で変わる。加入者、つまり社員個人が、積立金の運用方法を選ぶ。あらかじめ用意されたいくつかの投資信託のなかで、どれに何%投資するかを決める。

iDeCo は、個人型なので、個人が加入するかどうか、加入する場合は毎月いくら積み立てるか、選択する。確定拠出型なので、運用方法も自分で選び、その成績次第で給付金の金額が変わる。

確定拠出年金のメリット

企業型DCやiDeCoを使うことの個人にとってのメリットは、主に以下三つ。

(1) 所得税・住民税の節税
(2) 運用期間中は運用益が非課税
(3) 運用先の投資信託は手数料率が低い

節税について。確定拠出年金への拠出金の全額が、所得から控除される。つまり所得が無かったことになり、その分の所得税・住民税を節約できる。

運用益の非課税について。運用期間中、運用先の投資信託を売却して、別の投資信託へ再投資できる。この時、もし利益が出ていても、税金がかからない。株式投資など一般的な金融投資では、売却した時に利益が出ていると、20%程度の税金を徴収されてしまう。iDeCoでは、元本と利益が丸ごと手元に残るので、次に投資する先により多くの金額を投資できる。

運用先商品について。基本的に投資信託。具体的な商品は、口座を作る先(企業型DCの運営会社、iDeCoの口座を作る銀行・証券会社・保険会社)によって異なる。確定拠出年金の運用先となる投資信託は、販売手数料(投資信託を購入する時にかかる手数料)が無料のものが多く、信託報酬(投資信託を持っていると毎年かかる手数料)も低く設定されていることが多い。手数料が少ない分、一般に販売されている投資信託よりも、確定拠出年金用の投資信託のほうが、利益が出やすく有利。

確定拠出年金のデメリット

続いて、確定拠出年金のデメリット。

(1) 60歳まで引き出し不可
(2) 口座管理料などのコストがかかる
(3) 拠出金に上限がある

引き出し不可について。確定拠出年金は、税制優遇がある代わりに、60歳まで引き出しができない。急に必要になった時に備える貯金を別で持っておき、あくまでも余裕資金の範囲で取り組むことが大事。これは推測だけれど、老後に向けた資産形成を目的とするため、という建前と、個人資産を投資に振り向けることによって金融業界を活性化したい、という思惑があるんじゃないかと思う。

コストについては、iDeCoだけ要注意。加入時に一回だけかかる手数料と、口座を持っている限り毎年かかる 口座管理料 など、いくつかの費目で費用が発生する。このうち口座管理料は、iDeCoの口座を作る金融機関によって異なる。企業型DCの場合、こういう手数料も会社が負担してくれるので、ちょっぴりお得。参考 https://ideco.morningstar.co.jp/pension/fee.html

拠出金の上限について。これはデメリットっていうほどデメリットではないかもしれないけれど、趣味で株式投資とかするのに比べて、上限があるぶん自由度が下がる、という観点で。企業型DCは、基本的に企業が掛け金を決めるので、個人の判断で掛け金を増減できない。iDeCoは、年収額におうじて、積立金額の上限が定められている。参考 https://www.resona-tb.co.jp/401k/begin/upper-limit.html

企業型DCには、 マッチング拠出制度 というオプションが用意されている場合がある。これは、企業が積み立ててくれる拠出金に上乗せして、毎月いくらかを追加拠出する制度。オプションなので、1円も追加拠出せずにお給料として受け取ってもいいし、3万円とか5万円とか追加で積み立てて老後に備えてもいい。この追加拠出分も、所得から全額控除されるので、節税になる。

マッチング拠出制度が用意されていない場合は、企業型DCとiDeCoの併用が認められていたりする。この場合は、企業型DCとiDeCoで口座が分かれ、それぞれで積み立てできる。この場合、iDeCoでの積立金額の上限は、iDeCoの制度で定められている基準に従うことになる。

まとめ

・公的年金は気にしてもしょうがないので、粛々と払い続ければよい

・保険会社の年金保険に加入するより、会社のDCやiDeCoを始めるほうが、節税の面で有利そう

・60歳まで引き出しできないっていうのは、結構大きなデメリット。節税メリットに惑わされて確定拠出年金に全振りするのではなく、貯金やいつでも引き出せる投資とのバランスをとって資産形成していきたい

そのほかに思ったこと

投資商品としてiDeCoを見ると、節税機能のあるファンドラップって感じ。ただ、選択肢になる投資信託は、販売手数料・運用手数料が高くないなど厳選されているようなので、世に数多ある投資信託()から選ぶよりは成功可能性が高そう。

2017年1月にiDeCoの加入対象が拡大された背景を推測すると、

(1) 個人資産を投資に振り向けたい(金融の活性化)
(2) 企業型DC加入者が企業型DCの無い企業に転職する時の受け皿を用意したい
(3) 国民年金の条件悪化に備えて国民各自で資産形成させることで社会の安定を担保したい

の三つかなぁ。

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