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デルバーミラーガイドライン ~先手ゲーで6割勝つ方法~【2022改訂版】

こちらの記事は2020年(アルカニスト.オーコ期)に作成したデルバーミラーガイドラインの改訂版です。
ラガバンも去り、環境変化もひと段落しか感じがありますので改めてミラーについて記載しました。
今の環境でkiyoaggroが気にしてることを書きましたので是非ご一読ください。

※本稿はデルバーミラーで勝率が伸びない人、ゲームの焦点が分からない人向けです。

改訂版では現環境で採用されているカードの使い方、または弱い使い方を紹介しています。
ほぼ完全ミラーである今のデルバーデッキでは構築で差を出すことは非常に難しいです。
なので"同じカードを対戦相手より強く使うには"にフォーカスしています。

この環境で勝つには決して避けては通れないデルバーミラー、苦手意識のあるプレイヤーはこの記事を読んで他のプレイヤーと差をつけましょう。

※「導入」〜「後手から先手に切り替える方法」までは改訂前とほぼ変わりありませんので読み飛ばしていただいても結構です。
※本稿は基本無料で読むことができますが、今回は応援していただいた方に少しだけ追加記事があります。今後の活動モチベーションになりますので、応援していただけると大変喜びます。

導入

先手だから勝てた or 後手だから負けた
これはデルバーミラーでよく聞くフレーズです。
ではなぜ先手だから勝てたのか、または後手は何が不利なのかを考えたことはあるでしょうか?

デルバーミラーはよく先手ゲー(先手が有利)と言われます。しかし、実際のところ両者全く同じデッキを使い、さらに先手後手比率が同じでも勝率が高い人とそうでない人に分かれます。
先手ゲーと言われるこのゲームにおいて強者は後手からも勝っています。そもそもこの記事のタイトルにある勝率6割にするには必ず後手から勝たなくてはなりません。そのためにもこの先手ゲーを紐解くことで勝率を伸ばせると私は考えます。
細かい話ではなく、まずはミラーを対戦するにあたってのマクロなイメージを持っていただけたらと思います。


kiyoaggroのミラー勝率

そんな私のミラー成績は一体どれ程のものなのか気になると思いますので、各シーズン毎に表示しておきます。
※すべてMOでの成績です。

2018/9〜2021/5(MH2発売前)
同色ミラー:25勝10敗 71.4%
全体:51勝23敗 68.9%
※詳細は前記事参照

MH2発売〜2022/1(ラガバン禁止まで)
Jeskai ragavan 

vs UR delver 4-1 80%  vs Jeskai ragavan 3-0 100%

UR delver

vs UR delver 4-1 80%  vs Jeskai ragavan 1-0 100%

2022/1(ラガバン禁止後)〜2022/4/18
UR delver

ミラーマッチ62.1%

この成績を見て普段kiyoaggroがミラーで何を考えているのか気になっていただけたでしょうか。
さあ、ここからデルバーミラーを掘り下げましょう。

マクロの世界 〜なぜ先手が強いのか〜

皆さんも感じていると思いますが、ミラーは先手が強いです。ではなぜ先手が強いのか、簡単な場面で考えましょう。

デルバーvsデルバー

互いの盤面にデルバーが1体ずつおり、睨み合っている状況です。しかし、どちらか一方にだけデルバーが1体追加されたらどうでしょうか。
クリーチャー同士の均衡が崩れ、デルバーが多い方のプレイヤーは相手のライフを攻めることができます。

このゲームのゴールは「対戦相手のライフを0にする」です。

ここに到達するためには多くの経路があるにせよ、相手よりクリーチャーを1体多く出すことが大きな目標になります。
その点、先手のプレイヤーは対戦相手より土地を1枚多く出せ、クリーチャーも展開できます。
後手のプレイヤーは先手のプレイヤーと同じ動きをした場合、土地枚数もクリーチャー枚数も同数から上回る事はありません。

さあ、もう分かりましたね。先手が強い理由
それは常にクリーチャーを1体多く出せる可能性が高いからなのです!

当たり前だろ!とお思いの方がほとんどだと思います。

しかし、私はミラーマッチ中この「相手よりクリーチャーを1体多く出す」という目標に重点を置いてプレイを考えてます。

なんとなくプレイしている人や、ミラーで勝てない人はここを1つの指標にしていただくと景色が変わると思います。

デルバーミラーで勝つ2ステップ

さて、ミラーの目標である「相手よりもクリーチャーを1体多く出す」には準備が必要です。その準備とは、土地です。

このmtgというゲームは基本的に土地からマナを出しクリーチャーを唱えるので、相手よりも多くクリーチャーを出すにはそれなりの土地が必要です。

よって序盤は土地の多い方が有利と考えます。

なので私はマリガン基準を土地2枚以上または、土地1枚+土地を探せる思案や定業をキープ基準としています。(1ターン目に唱えにくい渦まく知識ではあまりキープしたくありません。)

ここまでがファーストステップの考え方です。

ではセカンドステップはどうかと言うと土地は必要ありません。あくまでミラー目標は「相手よりクリーチャーを1体多く出す」です。

ここを勘違いしている方がいます。
序盤にしっかり土地を置き、クリーチャーを手札から吐き出す努力をした後であれば、仮に土地が0枚になろうが勝ってしまいます。
こう言われると当たり前に感じますが、実際にはクリーチャー枚数が自分の方が少ないのに不毛の大地を使用して相手の土地を割りに行くプレイヤーが結構います。

この記事ではクリーチャーを展開したプレイヤーに対して不毛の大地を使用して土地を割りに行っています。悪手です。
土地単などのアーキタイプであればあり得る選択肢なのかも知れませんが、ミラーにおいて後手プレイヤーはパーマネント数をなるべく同数に持っていく努力をするべきです。
先手のプレイヤーに必死に追いつき隙を見てクリーチャー枚数の逆転を狙います。

極論を言われると当然と思う内容だとしても、実際の試合の流れでは今がファーストステップなのかセカンドステップなのか判断を見誤るケースが多く存在します。
たしかに序盤は土地が多い方がいいですが、だからといってセカンドステップである「相手よりクリーチャーを1体多く出す」と言う目標を見失ってはいけません。

また、序盤だから相手の土地を狙いに行ったのに、相手のハンドに土地が多くて効果が無かったパターンや、土地ハメをケアしてドローソースで土地を集めすぎて後半クリーチャーを探す手段が少なくなってしまったパターンはファーストステップとセカンドステップのバランス感覚がズレた結果です。

特に後手時は無闇に突っ込むのではなく、まずはパーマネント数を同数にする努力をしましょう。そうするとそのうち相手のプレイからハンド内容が透けてきます。
相手の土地が止まったのを確認してから不毛の大地を起動しても遅くはありませんし、相手の土地が多ければリソースがその分割かれているので、こちらは相手の土地の分クリーチャーを1枚多く出せる可能性があります。
ドローソースで土地を貰うのかクリーチャーを貰うのかしっかり見極めバランスを保ちましょう。


ここまでがミラーにおけるマクロなイメージです。
ガイドラインと呼ぶには曖昧な内容になってしまいましたが、基本はすべてここにあると思っています。
試合中にファーストステップとセカンドステップは何度も行ったり来たりします。クリーチャー展開か除去かドロソのどれを選択するか迷った時は一度マクロの世界に戻って考えてみてください。

次の項からはミラーで重要なカードにフォーカスしたミクロの世界に入ります。


後手から先手に切り替える方法

まずはこちらから

レガシーを代表するカウンター呪文

デルバーデッキに欠かせないピッチスペルの一つである目くらまし
島を1枚手札に戻す事で唱えることができ、相手に1マナ要求するスペルです。

レガシーをプレイした事がある人なら多くの方が知っているかと思いますし、所謂デイズケアをしてカードをプレイした事もあると思います。
この目くらましと言うカードはミラーにおいて心強い味方の時もあれば"敵"にもなりえます。
"敵"という言葉にピンときていない方はこちらの盤面を見てください。

対戦相手の後手1ターン目です。
マクロ目標のセカンドステップである「相手よりクリーチャーを1体多く出す」に則ると、相手のデルバーに対して目くらましをプレイするのは一見いいように見えます。しかし次の相手のターンを想像してみてください。

後手プレイヤーは2マナ分行動する事ができます。
対して、先手プレイヤーは目くらましで手札に戻した土地をセットし直すので、2ターン目も1マナ分しかプレイできません。

もう分かりましたね。
目くらましと言うカードは使うと(使われると)先手後手が入れ替わるカードなのです。
上の例でいくと後手プレイヤーは実質1ドロー付きの先手に置き換わっています。
先手のプレイヤーがドローしてからターンを始めたら強すぎますよね。この感覚を持っておくと、後手のプレイヤーが唱えたスペルに対して目くらましを使用して打ち消した方がいいのか、それとも先手を維持した方がいいのかの判断ができると思います。

さて、ここまでは前回記事とほぼ変わりありませんが、大切なので記しました。
ここからは現環境最強と言われるURデルバーに絞った話をします。まずはメインからです。

メインプラン 〜最強の濁浪選手権〜

相手より大きい濁浪の執政を出してください。

2マナ8/8飛行

紅蓮破や厚かましい借り手はありますが、ほぼ濁浪の執政でゲームが決まります。そのために私が今までのデルバーデッキではあまりやってこなかったアクションがありますので紹介します。

まず、このURデルバーというデッキは2ターン目の2マナスペルが実質存在しません。

kiyoaggroのMO最新リスト

表現の反復は3ターン目以降にアドバンテージを取れるように唱えるのがほとんどですし、2ターン目に濁浪の執政を出せることもほぼなく、相手の場に濁浪の執政がいなければ厚かましい借り手は唱えることはないでしょう。
よって、2ターン目のアクションは1マナ2枚のアクションとなります。あまりやりたくはないですが、能動的なアクションがなかった場合2ターン目に渦まく知識を唱える事もあります。

私が以前書きました渦まく知識の記事にもありますが、渦まく知識は基本的に後半に唱えた方が強いです。

早く唱えた時のデメリットとしてシャッフル手段がなく、トップに戻したカード2枚を無駄にドローしてしまう(ブレインロック)などありますが、それでも今はそのデメリットが薄いと感じています。

デメリットが薄まってる要因
①ドラゴンの怒りの媒介者がいれば諜報込みで4枚掘ることができ、その後も諜報でブレインロックから抜け出せる可能性がある。
②次のターン含めて能動的なアクションが含まれない可能性の方が少ない。
③墓地を速やかに肥やすことで相手より大きい濁浪を出しやすくなる。
④序盤の1マナスペルに相手の目くらましが消費されるとこちらの濁浪の執政と表現の反復が通りやすくなる。

もちろんクリーチャーを出したり除去を唱えたりできるならそちらを優先しますが、何もしないよりは渦まく知識を積極的に唱えるのも選択肢の一つとなります。

メイン戦はとにかく大きい濁浪の執政を出せるように行動しましょう。
しかし、サイドからはかなりゲームが変わります。

サイドプラン 〜最強の反復選手権〜

サイドボードは意志の力をサイドアウトし紅蓮破と赤霊破(パイロ系)をサイドインします。
メインとは違ってパイロ5枚体制なので濁浪の執政イージーゲームはかなり減ります。

以下の盤面を見てください。

墓地のインスタントソーサリーは6枚

対戦相手はわたくしkiyoaggroです。
序盤の捌きあいが終わりお互いドローゴーが続きましたが、あなたは濁浪の執政を引きました。
濁浪の執政を唱える場合どのようなサイズで唱えますか?

メイン戦の雰囲気を引きずってマックスパワーで唱えたりしてないでしょうか。

対戦相手がドローゴーしてるということは能動的なスペルは少なく、反対にカウンターや除去のようなスペルがあることが予想されます。よって1匹目の濁浪の執政に貴重なインスタントソーサリーを食べさせる必要はありません。稲妻で倒されない4/4でも十分でしょう。
パイロ系が少なくなってきた終盤に相手より大きい濁浪の執政を唱えられるように節約する方が賢明です。

このようにサイド後は最初の濁浪の執政がゲームを決めることはほぼありません。
サイド後はお互いに対処できないスペルが少なくなりますので、消耗戦になりやすいです。では何で差をつけるのか。

唯一のアドバンテージ源

互いに対処札があるならその枚数を上回ればいいという事で表現の反復が重要となってきます。

表現の反復、強く使えてますか?

まずは表現の反復単体についてです。
「表現の反復はいつ唱えると強いか?」の問いかけに答えるとしたら前半、後半いつがいいでしょうか。

まず前提として、表現の反復の最も強い運用は確実に2枚分のカードを有効活用することにあります。

しかし、実際には3ターン目に2マナから唱えてしまい、土地が捲れず追放したカードが唱えられない経験あるかと思います。これではせっかくのアドバンテージカードが台無しです。
そのシーンは本当に表現の反復を唱えなくてはならなかったのでしょうか。
思案や渦まく知識など他に選択肢はなかったでしょうか。2マナで表現の反復を唱え手札を1枚入れ替えるだけでは思案の下位互換となってしまうことを考えると無理に唱えなくてもいい場面はたくさんあるはずです。

確実に2枚分有効活用するためにいつ唱えるといいか考えると捲れたカードが全て唱えられるマナが沢山ある場面で唱えた方がいいでしょう
よって、終盤に唱えた方が強いカードであると考えます。

しかし、運悪く追放したカードが唱えられないような状況もあるかと思います。そうならないようなデッキ構築下準備をするべきであると考えます。

反復のためのデッキ構築 〜基本土地は危険〜

基本土地は不毛の大地で破壊されず、安定して2マナ以上のプレイを支えてくれます。

安心安定の基本土地

しかし、リスクも潜んでいます。

例えば、島2山1を採用したデッキリストで最初の土地3枚をすべて基本土地で揃えたとします。
ここから表現の反復を唱えた場合、島のみアンタップ状態になります。

リスク①
捲れたカードから唱えることができるのはデルバーかドロソに制限される。

リスク②
そもそもデルバーかドロソはその場面で唱えたかったスペルなのか。本当は除去を唱えたかったのではないか。

リスク③
土地を貰って赤マナから必要なスペルを唱える選択肢もあるが、それでは島が1枚無駄になっている。

これらを考慮すると3枚目の土地はVolcanic Islandであるべきと考えます。

Volcanic Islandからスタートした場合でも表現の反復から基本土地が捲れる確率は高くなるので確実に2枚分有効活用できないシーンが発生します。

先ほどからただアドバンテージを得るのではなく有効活用と表現しているのは他に無駄になっているカードがないかを強調したかったからです。


次は表現の反復を唱えるまでの下準備についてです。

反復を強く唱えるための下準備

デイズする?しない?

あなたは先手です。1ターン目にクリーチャーを唱え、2ターン目にも同じくクリーチャーを設置しています。
対して対戦相手のkiyoaggroは1ターン目島からデルバーを唱え、2ターン目のメインで土地を置かずに渦まく知識を唱えました。

直感でこの渦まく知識を"目くらましする"と答える人は少なくないと思います。

(目くらまししたら土地が止まって楽に勝てるのではないか…)
(相手は赤マナが見つからずにこちらのチャネラーで殴り勝てるのではないか…)
(今目くらまししても相手の土地が止まれば表現の反復が1ターン遅れても大丈夫なんじゃないか…)

などと心の中でつぶやいてはないでしょうか。

実際この対戦ではkiyoaggro側はハンドに土地があるにもかかわらず、土地を置かずに渦まく知識を唱えました。

何がしたかったかというと…

ほぼ同じカード同士で戦うミラーマッチなので、相手のどのカードとトレードされると美味しいか考えています。
自分の表現の反復と濁浪の執政が相手の目くらましとトレードされるか、それとも自分の1マナスペルと目くらましがトレードされるかであれば後者の方が嬉しいと感じるはずです。

また、土地枚数が入れ替わる事で目くらましを受けた側は表現の反復に関するリスクが減り、目くらましを唱えた側はリスクがあがります。
後手プレイヤーは先手プレイヤーから不毛の大地を連発され表現の反復まで辿り着かないとかなり厳しい戦いになりますが、最序盤で土地枚数が入れ替われば先手プレイヤーは不毛の大地を使いにくくなるので最悪のシチュエーションは回避できると考えます。

まとめ

・最序盤に目くらましや不毛の大地の使い方を誤り、相手に先手をプレゼントしないようにしましょう。
・プレイヤーレベルが同等以上だと最序盤に先手後手が入れ替わることも少なくなりますが、後手の時はなんとか相手に食らいつきましょう。
・メインは相手より大きい濁浪の執政を唱え、サイド後は相手より強い表現の反復を唱えられるように努めましょう。

以上がミラーにおいて気をつけている事です。
私は今までミラーマッチを構築で差を出して勝ってきたため、ほぼ完全ミラーの現環境はかなり勝ちにくいと感じています。
それでも上記の内容をあまり意識してなかった人であればそれなりの結果は得られるはずなのでぜひ参考にしてみてください。

最後に 〜狂乱の呪詛を添えて〜

実は大事な要素を伝えていないのですが、諸事情で説得力のあるものが書けないので本文では割愛した項目があります。

何かというと、私は家庭のあれこれで紙イベントにほとんど参加できていないため狂乱の呪詛を使用したリストをあまり回していません。(MOでは狂乱の呪詛が未実装)

しかしながら、紙環境において狂乱の呪詛なしで大会に臨むのは非常に厳しいと感じます。

知見はあまりありませんが、私が紙環境で戦うならという事で以下に狂乱の呪詛入りのリストと考えを載せました。
もしも記事制作を応援していただける方がいましたら、以下を覗いてみてください。よろしくお願いします。

それでは一旦、ここまで読んでいただきありがとうございました。

kiyoaggro

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