芸術とは受け手の中に。
僕はただ、振り向いただけだった。時が止まったかのような感覚を覚えると、室内は静けさの中に溶けていった。すぐに地響きのような鳥肌が背後から迫りきて、それが脳天まで達したとき、力が抜け、今にも涙がでそうな感覚を抑えた。”緑の絵” がそこに掛けられていた。心震わす芸術とはいつもこう。また、消せないほどの出会いであると感じていた。きっと、日常の隙間においておき、何度も、何度も迎えにいくことになるだろう。
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2017年のいつ頃だったか。東京・上野公園にある美術館でモネの作品