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殺人鬼にインタビュー『いのちについて』
今回は殺人鬼であるジェイソン・ボーヒーズさんにお話を伺いたいと思います。
ジェイソンさんは昔、クリスタルレイクに落とされ、それ以来人を殺し続けています。
ジェイソンさん自身も何度も殺されてはいるんですが、不思議な力で復活し、また殺します。
その後もクリスタルレイクに留まらず、ニューヨークへ行ったり宇宙に行ったりと活躍の場をますます広げるジェイソンさん。
一体「いのちについて」どうお考えなのか。どういう気持ちで殺し続けるのかを徹底的に聞いていきたいと思います。
★★★
ージェイソンさん。今日はお忙しい中、ありがとうございます。
「ええけど、早めに切り上げるで。今も若いヤツがキャンプに来てるんやから」
ー今日のテーマは「いのちについて」です。ジェイソンさんはなぜ人を殺し続けるんでしょうか?
「うーん。まあ『そこに人がいるから』って言ったらええんかな。やっぱりワシかていじめられて湖に落とされたんやから人間への恨みはあるわいな」
ー殺された人はあなたを湖に落とした人ではありません。それは八つ当たりというヤツでは?
「まあ、そう受け取ってもうてもええわ」
ーところでジェイソンさんは「イチャイチャしているカップルから殺す」という特徴があります。これにはなにか理由があるんですか?
「あんた、ワシのドキュメンタリー観てないんかいな。まあええわ。ワシが湖に落とされたとき、監視員がセックスしててワシが死にかけてるのに気つかんかったんや。だからカップルから殺すねん」
ー決して「リア充が憎い」という理由ではないんですね?
「当たり前やろ。アホか」
ー申し訳ありません。本題に行く前にいくつかお聞きしたいことがあるんですが、ジェイソンさんは一度、ニューヨークへ行かれたことがありますね。
「そやな。たしかタンカーかなんかで行ったかな」
ーそのとき、普通に地下鉄に乗っておられましたね。
「なんや、あかんのかいな」
ーいえ、ダメなことはないんですが、ちょっと気になったもので。というのも、ジェイソンさんって見た人片っ端から殺していくのが特徴だったので、なんか普通に地下鉄乗ってる画がちょっと、おかしいというか……
「ええがな、別に。ワシかて、誰も殺さんと地下鉄くらい乗るわい」
ー切符は買われたんですか?
「なんや、おちょくってんのかい。人殺すー言うてんのに、切符なんか買うわけあらへんやろ。」
ーそうですね。すみません。次の質問に行きますが、ジェイソンさんはチェーンソーをお使いになられますが……
「おい、ちょっと待て。ワシ、チェーンソーなんか使こたことないで」
ーえ? そうなんですか?
「お前、全然ワシのドキュメンタリー観てへんやないか。ワシはオノとか、その辺にある道具とかやな、なんもなかったら素手で頭潰したりするんや。チェーンソーはその、アイツや、肉工業勤務のレザーフェイスっちゅうやつな」
ーも、申し訳ありません。私のリサーチ不足で。
「まあええけど。よう勘違いされるから、慣れたわ」
ーなるほど。そろそろ本題に入らせていただきます。
ジェイソンさんは何度も殺されてますが、そのときは苦痛は感じられるんですか?
「そりゃ、ワシかて、元人間やさかいな。ごっつ痛いで」
ーそのときの苦痛を他人にも与える、ということに何か罪悪感を持ったりはしないんですか?
「それはない。苦痛を知ってるからこそ、やるんや。他人にも味わわせることでワシも気持ちよくなるんや」
ーどうせだったら、人が喜ぶようなことをしてみてはどうですか?
「なんや、マッサージとかかいな。そんなんして、一体なにが楽しいねん。『クリスタルレイクに丁寧なマッサージをしてくるホッケーマスクのオッサンがおる』いうてウワサになるわ。それはそれで面白いけどな」
ーええ。少なくとも、『殺人鬼がいる』よりは良いかと思います。
「まあ、それを面白がってくる若者が後を絶たんしやな、それを面白がって観るヤツが世界には何万人とおるんやから、殺人鬼は殺人鬼で存在意義はあるんと違うか。そう思わんとこっちもやっとれんわ」
ーなるほど。需要があるから、人を殺すと。
「そやな。ある意味、人の役に立ってると言えるな、それは」
ー最後になりましたが、ジェイソンさんにとって「いのち」とは?
「うーん、まあ、『愛』かな」
ー『愛』ですか。本日はありがとうございました。
「ちょっと待て。ツッコめや。ボケやがな、ボケ」
ーありがとうございました。
「なんや、こいつ、殺したろかな」
働きたくないんです。