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「今日はいい風が吹いてる。記録が伸びそうだな」トオルは屈伸しながら、隣でアキレス腱を伸ばしているタクヤに言った。「まあ、記録なんてどうでもいいんだけどな」 「トオルは日本記録持ってるから、皆期待してんじゃないか。82mなんて記録、そうは出ねえよ。見ろ、お前のライバルがお出ましだ」タクヤが言い、スタート位置に目線を向けた。 そこにはハンググライダーを持ち、助走に入ろうとしている男がいた。180cmを優に超えた巨体だ。 「ハンググライダー幅跳びなんて、背が小さくて、