「私のまち」は商人が育てる
まちは生きた人間がそれぞれの思いを抱きながら、日々を暮らすところです。その人たちが、もっと、よりよく暮らして行けるような環境をどうすればつくりだし、維持していけるかを考えること、それが商人の本来の使命です。
その「よりよく暮らす」ことに皆を引っ張っていく先頭に立ち、または誰にも気づかれないようにそっと後押しするのが、そのまちで「あきない」をさせてもらっている商人の当然の任務なのです。自分がお金を稼ぐ場所だと考えると、権利意識ばかりが先に立ってしまいます。
仕入れも、ただ売れるもの、売りやすいもの、利益が取れるもの、回転が速いもの、ロスの出にくいもの、売れ足の速そうなもの、つまり自分が儲かる商売ばかり考えるのはやめましょう。お客様に損をさせない商品、お客が求めている商品、価格も納得もできる商品、その上で店の経営にプラスになるような商品、いつもお客に自慢してみたくてわくわくする品揃えができる商人であってほしいのです。
まちなかにこのような気持ちの店があふれていれば、お客はこのようなまちを「私のまち」と呼んでくれるようになるに違いありません。商人の役割はこんなところにあると思います。
家族、職場だけで人の暮らしは豊かになりません。その二つと同じように大切な、人とのつながりの中で自身を開放できる第三の場所が必要です。商店街の役割はそこにあります。
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