笹井清範

お客様を愛し、お客様に愛され、未来を明るくする商いを目指す商人を伴走支援する「商い未来…

笹井清範

お客様を愛し、お客様に愛され、未来を明るくする商いを目指す商人を伴走支援する「商い未来研究所」代表。「商業界」編集長として取材した4000人超の商人から学んだ「選ばれ続ける店のあり方とやり方」を講演や執筆でもお伝えしています。 https://akinai-mirai.com

マガジン

  • 店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる

    日本商業の父、倉本長治の教え「店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主とともに滅びる」を唯一の座右の銘として自身の経営の中心に据えるのが、柳井正・ファーストリテイリング会長兼CEO。地方商店街の紳士服店の二代目として生まれた彼が「ユニクロ」を立ち上げ、服を変え、常識を変え、世界を変えていくために、みずからの執務室に掲げ、たった一つの原理原則として守り続ける理由は何か? 倉本の名言を100編厳選の上、その意味するところ解説します。

  • 今日の商う言葉

    「商人の父」と言われた商業経営指導者であり、経営思想家の倉本長治が遺した膨大な著作・発言の中から、そのエッセンスをコンパクトな言葉にまとめて超訳、私なりの解釈を添えます。 日々の仕事の中に不安を持ったり、商いに迷いが生まれたとき、この中のどれか一つでも二つでも、あなたを励まし、ヒントとなる言葉があれば光栄です。 #今日の商う言葉 #朝礼で話してみよう

  • 売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則

    『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』に登場する20人の「売れる人」が繁盛の法則を語ります。 ヒントは、人口減少、少子高齢、成熟経済という未知の環境下でも、お客様に「ありがとう」と言われて成長するためのマーケティングの新しい4P。 ①PRICE(価格)からPHILOSOPHY(哲学・理念)へ ②PRODUCT(製品)からSTORY-RICH PRODUCT(物語性豊かな商品)へ ③PLACE(立地)からPERSONALITY(個性・人柄)へ ④PROMOTION(広告宣伝)からPROMISE(約束・絆)へ これらを高め続ける「売れる」人と、これまでの4Pに留まる「売る人」には、大きな違いがあります。売る人は「説得」しますが、売れる人は納得いただきます。前者にはクレームが生まれ、後者には共感と絆が育まれます。 商い未来研究所 https://akinai-mirai.com

  • 飯田雄太「浅草かっぱ橋商店街リアル店舗の奇蹟」外伝

    ノルマなし! 売上目標なし! 営業方針はまさかの「売るな」――型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成する料理道具専門店「飯田屋」。廃業寸前の老舗を行列の絶えない人気店へと変身させた“シンプルな常識”を店主自ら初公開。 このマガジンでは、書籍編集時にあえて外したコアな部分をこっそり紹介します。 「どんなに頑張ってもうまくいかない」「何をしたらいいかわからない」 そんなあなたは、ぜひ本編へGO! https://tinyurl.com/yeang5au

最近の記事

日曜日のお悩み相談補講

昨日の投稿「日曜日のお悩み相談」で値上げについて書きました。今日の投稿はその補講。ある駄菓子メーカーの値上げの話です。 1979年発売開始以来、42年間も価格を維持してきた商品が値上げされたときのことです。2022年4月1日、国民的駄菓子「うまい棒」の定価が10円から12円に引き上げられました。 うまい棒を手掛けているのは、1960年創業の株式会社やおきん。「キャベツ太郎」や「蒲焼さん太郎」など、子どもの頃に誰もが親しんできた駄菓子をつくってきたメーカーです。 値上げ額

    • 値上げは愛と真実

      ◆今日のお悩み 歴史的な円安で海外からのモノの買い付けに苦戦しています。商品の値上げはやむを得ません。顧客にどう納得してもらうべきですか? 会社で働く人が受け取る名目賃金から、物価変動による影響を除外した賃金の動きを見る指標「実質賃金」。厚生労働省は前年同月比の増減率を毎月公表していますが、7月発表段階で26カ月連続マイナスとなる過去最長を記録し、インフレ率に賃金の伸びが届かない状況が続いています。 背景には、原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービス、電気・ガスなど

      • カレー物価指数急上昇

        昨晩、何を食べましたか? もしくは最近、カレーはいつ食べたでしょうか? ラーメン、ハンバーグと並んで「日本三大国民食」と言われるカレー。全日本カレー工業協同組合および日本缶詰びん詰レトルト食品協会が公表している統計によると、日本人は一年間にカレーを約79.1回食べていることになります。 つまり、週に1回以上は何らかの形でカレーを食べていることになります。専門店、うどん・そば店、喫茶店、ファミリーレストランなどカレーを供する業態もさまざま。近ごろでは「健康にいい」と“朝カレ

        • さわるとふれる

          ある病院でのこと。胸の計器が外れているのに気づいた看護師が、何も言わずに患者の体をさわったところ、足蹴りされてしまいました。その患者はおそらく、いきなりさわられたことが怖かったのでしょう。 ところが、退院時にかかりつけ医に渡す情報提供書には、「この患者には暴力行為がある」と書かれていたそうです。患者からすれば、自分の体に突然さわる看護師のほうがよっぽど暴力的だったはずです。 ここに欠けているのは「信頼」です。患者は、信頼のもとで看護師に「ふれて」ほしかったのです。けれども

        日曜日のお悩み相談補講

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        • 店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる
          5本
        • 今日の商う言葉
          145本
        • 売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則
          7本
        • 飯田雄太「浅草かっぱ橋商店街リアル店舗の奇蹟」外伝
          3本

        記事

          街づくり×商業

          街とそこで商う店はサードプレイスであるべき――これが長年の現場取材でたどり着いた私の結論。ましては、ほとんどの商品がインターネットで買える時代にあって、商品の売り買いだけならば街や店よりもはるかに便利です。しかし、人の暮らしは便利なだけでは満たされません。 サードプレイスとは、家庭(ファーストプレイス)と職場・学校(セカンドプレイス)と別にある心地の良い時間を過ごせる“第三の居場所”のこと。アメリカの都市社会学者、レイ・オルデンバーグが1989年に発表した著書『The Gr

          街づくり×商業

          欠点を見つめる

          私たちは互いに諸々の欠点を背負って生きています。人間に完全な人格者がいないように、商店にも完璧な店はありません。けれど、その欠点を恥じることはありません。むしろ恥じるべきは、これといった特徴のないことです。 商店がお客様を惹きつける魅力は、大抵においてこの特徴のありなしにかかっています。だから、どんな特徴でもいいから、他店と断然違う特徴を持ちたいものです。価格でひけをとらないとか、常に目新しい商品があるとか、店のムードが際立っているとか……。多くの店がある中で、あなたの店な

          欠点を見つめる

          案内

          昨朝、出張先のホテルのカーテンを開けると、虹が空一面に架かっていました。虹を見つけると、いつも思い出すのが「虹の端には金の壺が埋まっている」というイギリスの俗言。昨日もしばらく飽きることなく虹を眺め、端にあるという金の壺を思いました。 忙中閑あり。忙しい中にも、こうした時間を大切にしたい。そういえば、「忙しい」という字は「心を亡くす」と書きます。漢字ってすごいなあ、なんて思いながらまたしばし虹を鑑賞。そして消える前に写真をパチリ。 昨夜のお酒を抜こうと、ホテルの浴場で湯船

          数奇な人生

          「人生は複雑とは限らない。求めるものを知っていれば……」 スコット・フィッツジェラルドによる1922年の短編小説を原作に、デヴィッド・フィンチャー監督による2008年の映画「ベンジャミン・バトン」を、出張先のホテルで久しぶりに観ました。冒頭の台詞は、その中で耳に残ったワンフレーズです。 「The Curious Case of Benjamin Button」という原題にあるとおり、老人として生まれて年を重ねるごとに若返る人生を与えられた男の一生を描いた数奇な物語。それま

          数奇な人生

          幸せという美しい蝶

          商人であれば、ビジネス書は読むでしょう。しかし、それだけでは「ひと」としての幅も広がらず、深さも深まりません。人の暮らしはビジネスだけで成り立つわけではありません。 仕事を離れた時間を持ち、仕事と関係ない本を読む習慣を持ちましょう。私の知るかぎり、人間としての魅力にあふれた経営者の多くは多読家です。 「関係ない」と書きましたが、生きていく上で関係ないことなどありません。すべてがあなたの個性や人柄、つまり『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』で提唱した新しい「4P」

          幸せという美しい蝶

          言葉は品格

          好きな作家を一人に絞るのは難しいのですが、その一人は間違いなくこの人です。昭和を代表する脚本家、作家の一人、向田邦子さんの物書きとしての出発点は、「映画ストーリー」という月刊誌の編集者でした。 彼女の本や特集号はずいぶんと読みました。その中でも、彼女の新鮮な才能を感じさせ、折々に読むのが『向田邦子・映画の手帖』。副題に「二十代の編集後記より」とあるように、新米編集者として「映画ストーリー」の編集に携わり、退社するまでの8年間、毎月の校了日直前の疲労と高揚を綴った短文が

          言葉は品格

          引き継がれる教え

          ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が「私の座右の銘はこれ以外ない」と明言する一文がある。店は客のためにあり、店員とともに栄え、店主とともに滅びる――とは、「昭和の石田梅岩」と言われた経営指導者、倉本長治のものである。 倉本はその生涯を通じて、じつに多くの商人を導き、育てた。それゆえ、人は彼を「日本商業の父」ともいう。倉本長治の教え子たちの系譜を『店は客のためにあり店員とともに栄え店主とともに滅びる』に見ていこう。まずは「流通革命の旗手」と言われた商人である。 商売人

          引き継がれる教え

          シンデレラと赤パンツ

          まず、17世紀後半のルイ14世の絶対王政時代に活躍したフランスの童話作家、シャルル・ペローが書いた一人の少女を主人公とする童話を紹介しましょう。 灰かぶり娘の物語 病気で母を亡くし、父が連れてきた新しい家族と一緒に暮らすことになった少女がいました。彼女は新しい母親につらい仕事を押しつけられたあげく、2人の姉にいじめられて、「灰かぶり」と呼ばれるようになります。 ある日、王様が3日間にわたってパーティを開催し、そこで花嫁を探すという話が舞い込みます。少女もパーティに参加し

          シンデレラと赤パンツ

          共に同じ方向を見つめて

          「愛とはお互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」とは、『星の王子さま』『夜間飛行』『人間の土地』で知られるフランスの作家、サン=テグジュペリの言葉。それを思い出す出来事がありました。 お惣菜の母の思い出 おはぎ、お惣菜で名高い宮城・仙台の小さなスーパーマーケット「主婦の店さいち」で、夫・佐藤啓二さんと共にお惣菜づくりに打ち込まれた、妻・澄子さんが享年84歳でお亡くなりになったのが2020年1月27日のことでした。 それから4年後の5月22日に啓

          共に同じ方向を見つめて

          他者の利益と己の利潤

          2024年2月22日は、日経平均株価が1989年の大納会でつけた史上最高値の3万8915円を更新した日として記憶に新しい。「負のバブルは正常化へ」と一部の識者たちは評価し、強い日本企業の復活が喧伝された。 一方、こんなデータもある。1989年の世界時価総額ランキングを振り返ると、NTTを筆頭(1位)に上位10社のうち7社を日本企業が名を連ね、トップ50のうち32社を日本企業が占めていた。ところが、2024年のトップ50にはトヨタ自動車の1社が39位にランクインするのみだ。

          他者の利益と己の利潤

          巨象に勝つ地域一体経営

          ◆今日のお悩み 「地域密着」を掲げたビジネスが苦戦しています。地域のお客様の心をつかむためにどうアクションすべきですか? 2967対17。これはある飲食店チェーンのトップ企業と、ある地域密着企業の店舗数の比較です。 1955年に米国で創業した前者は世界100カ国以上に広がり、日本では1971年に東京・銀座へ開業以来、業界トップを走り続けています。2位との店舗数も2倍の開きがある大チェーン「マクドナルド」です。特徴は徹底した標準化であり、どの店を訪れても、同じ店構えが迎え、

          巨象に勝つ地域一体経営

          ユニクロのエース店長が毎日していること

          ユニクロ銀座店を取材したときのこと。日本有数の繁華街、銀座にある同店はユニクロの中でもトップランクの売上げを誇ります。売上がいいのは立地がいいから? それだけではありません。 勤務中に必ず行うことを店長に問いました。そこには、当人が最も大切にしているものが反映されるからです。すると、「店の外に立って、店がお客様からどう見えるかをチェックします」と即答。それを、時間帯を変えて何度もするといいます。それほどファサードは入店率を左右する重要箇所と教えられたできごとでした。 〈店

          ユニクロのエース店長が毎日していること