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映画館で『風の谷のナウシカ』を観た

先日、映画館で『風の谷のナウシカ』を観た。初めて映画館でナウシカを観た。テレビで何度も観て、内容もよく知っているナウシカも、スクリーンで観ると当たり前に迫力が違った。

大きなスクリーンを埋め尽くす王蟲の群れ。風に形を与えたような躍動感に溢れるメーヴェ。そして何より迷いのないナウシカの心が、映画館という映画を上映するためにのみ存在する場所で、途轍もなく強度を増して私にまで届き、圧倒された。

私の子供時代はジブリと共に育ったといっても過言ではない。日テレの金曜ロードショーでジブリ映画が放送されるときは必ず見ていた。だからといってはなんだけど、テレビで見るのに慣れてしまって、映画館で観なくてもいいのではと思ってしまい、最近のジブリ映画は上映時にリアルタイムで観ていない。まあ他に映画館で観ない理由としては、ジブリは初期作品を超える映画はもう作られないと思っていることもある。それくらい私はスタジオジブリの初期作品に思い入れがある。ディズニーよりもサンリオよりも、私はジブリだ。

唐突に好きなジブリ作品ランキングを挙げさせてもらうと、
1位 天空の城ラピュタ
2位 魔女の宅急便
3位 ルパン三世 カリオストロの城 (これはジブリじゃないけど私の中ではジブリなんです)
4位 耳をすませば
となる。

今回観たナウシカは上位にランクインしていない。だからといって嫌いなわけではなく、ナウシカも好きなのだが、この映画が苦手なのも事実だ。

初めて『風の谷のナウシカ』を見たのは小学生のときだったが、とにかく怖かった記憶がある。ナウシカの回想シーンが本当に怖かった。その記憶が未だに残っていて、今も苦手だ。同じように『となりのトトロ』も実は怖い。トトロは都市伝説みたいなのがまことしやかにインターネットに流通しているけれど、そんな噂を全然知らなかった小学生時分の私でも、後半の展開がとても怖かった。

ナウシカやトトロは苦手だが、ラピュタや魔女宅は大好きだ。この分類とも関連するのだが、映画と出会うタイミングは本当に大事だ。

好きなジブリ映画として挙げている作品は、すべて私が14歳前後のときに観た作品だ。ラピュタや魔女宅はテレビで、『耳をすませば』は友達と映画館で観た。これら思春期真っ只中に観た作品に、私は大いに影響を受けている。中学生の私はキキに憧れて、自分も絶対に親元を離れようと決心したし、『耳をすませば』の坂の多い街に憧れて、聖蹟桜ヶ丘に住みながら通える大学を探したりもした(結局住んでいないけれど)。ラピュタは、まあ、もう全部かっこいい。ジブリ以外にも、とにかく思春期に触れた作品には特別な思いがある。

ナウシカやトトロも同じ14歳頃に見ていれば、もっと印象は変わったかもしれない。本当に出会うタイミングは大事だ。今好きでいる人やもの、それらは本当に適切なタイミングで出会えたから、私も好きでいられるのだ。

私はいつも人気の後追いで好きになることが多いので、好きな対象にもっと早く出会いたかったなと思いがちなのだが、実際そんなことはない。出会うべきタイミングで出会うことが大事なのだと、早すぎたと思われるナウシカとの出会いで考えてしまう。

そんなこんなで今回初めて映画館で『風の谷のナウシカ』を観て、好きは好きだけど子供の頃の記憶は上書きされず、依然苦手なままだった。トラウマをアピールする人には弱さの自慢を感じてしまい、自分はトラウマという言葉をあまり好きになれないのだけど、私にトラウマがあるとすればナウシカの回想シーンかもしれない。

私が苦手なのとは関係なく、『風の谷のナウシカ』は素晴らしい。世界に人間は不要だという気持ちにさえなってくる。懸命に生きるナウシカは美しいし、ナウシカとメーヴェの飛ぶ姿は最高にかっこいい。私はメーヴェが大好きなので、大きなスクリーンで風を切って飛ぶメーヴェが観られて本当に幸せだった。

映画館で観たナウシカは、内容とは別に、出会うタイミングについて考えさせられた映画だった。もしこの企画に次があるならば、私的ジブリランキング1位のラピュタの上映をお願いします。あと蛇足だけど、私が観たのと同じ日に出雲にっきさんもナウシカを観ていて、これがシンクロニシティなのかなとうれしくなった。

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