東京から福岡に移り住んで
2020年10月、東京から福岡に移住した。
生まれて初めての関東以外での生活だ。移住した理由は、ちょうど部屋の契約更新のタイミングで引越そうと考えたところ、東京は暮らしやすいけどなにがなんでも東京に住みたいという感じでもなくなってきたので、いっそのこと東京を離れてもいいかなと思ったからだ。ただ関東近郊だとやっぱり東京に未練が残りそうなので、思いきって関東を離れて福岡に移ることを決めた。私のことをよく知っている人から、当然の疑問としてなんでそこで瀬戸内ではないのかと聞かれたけれど、東京は離れても私は都会でしか暮らせない気がしたので瀬戸内は選択肢から外した。まだ島で暮らす勇気はない。
仕事は現状フルリモートなので問題なかった。働き方の多様性に理解のある会社でよかった。
まだ福岡での生活は始まったばかりで、今後どうなっていくのかはわからないけれど、とにかく生きるぞという気持ちで漲っている。
引越しを経て、私はかなり前向きになった。それまでの私は惰性で生きていた。めちゃくちゃ稼いでいるわけではないけれど必要十分の収入はあって、将来の不安はあれどそこそこ幸せで、というよくある独身三十代。
仕事で疲れた夜、布団に入って暗い天井を見つめながら、いつふらっと死んでしまったとしてもあまり未練はないなと思うことがよくあった。もちろん本当は死にたくはないけれど、結局ここまで生きてこれたのは単に運が良かったのだと思うし、いつその幸運が離れるかもわからないわけで、天に運を任せるみたいな諦念に包まれていた。ここまで生きてこれたのは奇跡みたいな気持ちがある。
しかし引越しと福岡での新生活を始めてみて、そのようなネガティブ思考が薄れてきた。
新しい住まいを決めてから引越しまでの約1ヶ月間はやらなければいけないことが多く、精神的にとても疲れた。何かを決めることはとにかく疲れる。面倒になって諦めたくなる時もあったが、ここで止まってはいけない、最後までやり通さなければとなんとか気合いを入れて頑張った。
そのような引越しの忙しさ、そして新しい土地での暮らしは私をネガティブな思考から遠ざけてくれた。ポジティブになったと言える自信はないけれど、少なくとも新生活を楽しむ意欲はある。自分の選択に間違いがなかったことを確かめるためにはとにかく楽しむしかない。
今のところ引越してよかったと思っている。東京の友人とも離れて、今は完全に独りの生活だけど根拠のない余裕もある。大丈夫、私はまだ大丈夫。
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